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(一般に公開)

万年時計のゼンマイはなぜ真鍮なのか(5)   ――サラブレッドと道産子馬2015年02月22日09:38
上掲写真は、1931年に刊行された『田中近江大掾』を1993年に復刻したもの(発行者田中浩)で、編者は『からくり儀右衛門』(1992年・ダイヤモンド社)の著者、今津健治氏です。

万年時計は、西洋製の懐中時計の脱進機によって、和時計を始めとした各種表示の時間的正確性を保っていたことになります。

しかし私は、この仕組みがよく理解できませんでした。
洋時計に付属していた鋼製ゼンマイを取り外し、巨大な真鍮製ゼンマイのパワーを洋時計の脱進機で制御するというのが、かなり無理をしている気がしたからです。懐中時計の脱進機を、元々の時計製作者が意図していない、何倍も大きく多機能な置時計の一部として組み込んで、無理なく機能させられるものなのか。

万年時計の真鍮製ゼンマイは全部で4個用意され、時計の最下部にレイアウトされています。バネの厚さは2ミリで、それぞれ外径120ミリほどの香箱に収まっています。ゼンマイは2個1組にされ、各組のパワーは、互いに天地を逆にしたフュージーの連結に伝えられ、そこから上部の機構へと、多くの歯車でつながっています。
そして洋時計の脱進機とつながった歯車は、2組あるゼンマイのうちの1組の連結フュージーのすぐ上、上部の各表示装置へと連結している大きな歯車につながっているのです。

ゼンマイから各種表示装置へつながる歯車の具体的な連結は、mr.hmvさんのブログ「万年自鳴鐘の刻時源」に図が掲載されていますので、そちらをご覧ください。ちなみに、mr.hmvさんのブログに掲載されている機構図は、復元報告書に掲載されている動力伝達図に英語のキャプションをはめ込んだものです。
http://www.webchronos.net/sns/?m=pc&a=page_fh_diary&targe...

万年時計のこの機構は、素人の私からすれば、まるでサラブレッド(西洋製懐中時計)が、道産子馬(真鍮ゼンマイ)の引っ張る荷車(和時計や天球儀等々)の先頭に立って、道産子馬の歩調を取っているようなイメージがして、すごく制御が大変だろうなと感じたのです。

私のこの疑問に答えていただいたのが、「万年自鳴鐘の刻時源」における、mr.hmvさんとトキオさんの動力伝達の仕組みのトルク計算でした(この場合「トルク計算」という表現が適切なのかよくわからないのですが)。御両者の議論は、とても興味深く面白いものでした。
いや、正直言いますと、御両者の議論は極めて専門的で理解するのが難しく、いまだに私の疑問が解けたわけではないのですが、少なくとも歯車の組み合わせの成り立ちを説明していただいたことで、疑問を解く糸口が1つ、得られたと思うのです。

このあたり、真鍮ゼンマイと洋時計の脱進機の連結について、mr.hmvさんとトキオさんに、素人にもわかるよう、ここで再度説明していただけるとありがたいのですが……(汗)。
  • 時計仕掛けの文化

コメント

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28番~47番を表示

2015年
02月23日
10:27

28: トキオ

mr.hmvさん、
> 洋時計香箱巻上軸の回転数は16.6日で1回転
支那時計の香箱軸はザックリ見積もって8時間で1回転です。
16.6日を時間に換算すると約398時間。

8時間で1回転の香箱を398時間で1回転に変換するには
洋時計側から見て約50倍の増速が必要。

逆にこれを万年時計の側から見ると、
図示されていない部分に50倍の減速を加える必要がある。

●一応ここまで考えましたが、計算はどうでしょう?

2015年
02月23日
10:36

29: トキオ

補足です。
支那時計の香箱軸は、巻き止めを外した状態で
5回転ちょっとなので、1回転での駆動時間は約8時間。

懐中時計の香箱の回転数は、支那時計や振動数に限らず
大体同じようなものです。仮説としては、機構がよく
分からないクラッチ部分に、まだ減速歯車が存在するの
ではないか?と言う事しか思いつきません。

2015年
02月23日
10:41

30: mr.hmv

もしや、前提とした365Tの環状歯車の回転数の仮定に誤謬があるかもしれません。
特段の根拠なく365だから1年で1回転と見積もりました。

実際どうなのでしょう?

2015年
02月23日
12:48

31: トキオ

私も365日→1年で1回転と思ったのですが・・・う~ん?(*_*)

2015年
02月23日
12:59

32: mr.hmv

TV番組観直して動作を再確認しないといけませんね。
拙宅のBDレコーダー、只今入院中故観られません•••
teacupさんのレポート待ち!

2015年
02月23日
12:59

33: トキオ

あ!そう言えば…ちょっと待って・・・

2015年
02月23日
13:00

34: mr.hmv

むむむ

2015年
02月23日
13:04

35: トキオ

香箱が8時間で1回転だとすると、
万年2番車は8×6=48時間で一回転となります。
今回の一連の記事の中のどこかで、万年2番車は
48時間で一回転という記述を見たような気がするのですが
今それ探してます。

2015年
02月23日
13:35

36: トキオ

48時間と言う記述が見つからないので
取りあえず大きな歯車の回転周期をザックリ割り出してみました。
計算が間違ってなければ、約一週間周期となるようですが・・・
間違ってたらすみません。

取りあえずもう少し48時間の記述を探します。

2015年
02月23日
13:39

37: トキオ

この動画に出てないかな?

2015年
02月23日
16:00

38: トキオ

出てなかった・・・orz

2015年
02月23日
16:19

39: トキオ

ようやく見つけました。
teacupさんのこちらのブログに次のような記述があります。
http://www.webchronos.net/sns/?m=pc&a=page_fh_diary&targe...
--------------------------------------------------------
洋時計の動力は、時方の48時間1回転軸に取り付けられている
カサ歯車で直交変換される。その後回転方向を変える中間歯車を
介して懐中時計のゼンマイを取り払って香箱歯車に直接取り付けた
軸の先端の小歯車と噛合う。
---------------------------------------------------------
ここにある時方(時間表示輪列)の48時間1回転軸というのが
万年2番車の事です。

2015年
02月23日
16:23

40: トキオ

なので、香箱1回転:8時間で計算がピッタリ合います。(^^)
ただリング車の周期が7,28日である理由までは分かりません。

2015年
02月23日
16:27

41: トキオ

ともかく、香箱の回転が1回転8時間で、
かつ中間車との連結がしやすい構造ならば
どんな懐中時計でも交換は可能と言う事ですね。

ただこの条件に適合する中三針の時計で
あの時代に久重が入手できた可能性があったのは
やはり支那時計だったのではないかと思う訳です。

2015年
02月23日
16:36

42: トキオ

更にもう一つ、今回の分析で明らかになったのは、
巨大な真鍮ゼンマイの発するトルクの1/100のトルクが
洋時計を駆動するのに適正なトルクであった・・・という事実です。

私は今まで、トルクが大きすぎるのではないかという
漠然とした疑問がありましたが、この疑問は解消されました。

2015年
02月23日
17:03

43: mr.hmv

めでたしめでたし

2015年
02月23日
19:13

44: teacup

ばんざ~い。ばんざ~い。ばんざ~い。

トキオさん、mr.hmv さん、お二人の昨日から今日にかけての対話を今、読ませていただきました。
いやあ、ドラマです。
仮説があり、指摘があり、検証があり、疑問が解消され、万年時計に対する新たな視座が提供されました。

しかも、今まで万年時計の洋時計にこうしたアプローチがなされたことはないのではないでしょうか。

私、この話をあちらこちらで触れて回りたい気持ちでいっぱいです。
「万年時計の洋時計、最初は支那時計が使用されたか? 修理によって商館時計に交換? 魅力的な仮説が登場!」

素晴らしい!!!!

2015年
02月23日
19:46

45: トキオ

teacupさんの情熱に引き込まれて、
mr.hmvさんと色々調べるうちに、
良く分からなかった部分が見えて来たのは、
私にとっても大きな収穫です!(^^)

2015年
02月25日
00:09

46: mr.hmv

今更ですが復元機作った当事者のレポートを見付けました。
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2005/07/60_07pdf/a0...

2015年
02月25日
00:15

47: teacup

mr.hmv さん
レポートの情報、ありがとうございます。
早速ハードコピーにしてファイルしました。

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