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万年時計のゼンマイはなぜ真鍮なのか(6)   ――真鍮の国産化2015年02月22日12:31
万年時計のゼンマイはなぜ真鍮なのか。

真鍮のゼンマイは巻くと非常に強烈な反発力が発生しますが、鋼に比べてネバリがないため持続力が弱く、ゆるみはじめると急速にパワーを失います。しかも鋼のバネのようには薄くできません。

日本に初めて西洋のゼンマイ時計が持ち込まれたのは戦国時代と考えられますが、そこに用いられていた鋼製ゼンマイの国産化は、なかなか実現できなかったようです。

真鍮のバネは、火縄銃の発射機構に用いられていました。火縄を挟んだレバーを、銃身側面についている火皿へ瞬時に落とすためのバネです。それによって火皿に詰められた導火薬が発火し、銃身内の火薬へ引火して弾丸が発射されます。

上掲写真は、最初の写真が火縄銃の発射機構のアップです。ここに見える火縄を挟むレバーの根元部分内部に、真鍮バネが入っています。2枚目の写真は、火ぶたを開いて火皿へ導火薬を注いでいる様子です。

日本人は火縄銃を戦国時代に国産化し、世界でも類を見ない急激な速さで量産、普及させたわけですから、発射機構に欠かせない真鍮バネも、国産化には早くから取り組んだと思うのですが、日本の真鍮の国産化の歴史そのものが、いまだによくわかっていないようです。

真鍮の板材は「江戸時代初期には間違いなく国産化されていた」との研究論文があるようですが、戦国時代に作られた火縄銃の真鍮バネの組成を調べて、輸入品か国産品かを研究した論文がないかなあ、と思います。
  • 時計仕掛けの文化

コメント

1番~7番を表示

2015年
02月22日
14:00

う~ん、近代の銃の機構ならちょっと詳しいですが
火縄銃は専門外です。(^^;)

ともかく火縄銃のバネを鍛冶屋が真鍮で作っていた歴史が
万年時計のスプリングに真鍮を使う流れになった事は
想像に難くありません。

2015年
02月22日
15:30

2: teacup

トキオさん、私も火縄銃の専門家ではありませんが、火縄銃の真鍮バネには、板バネのみならず、ゼンマイバネにしたものも使用されていました。その実物を私、見たことがあります。ごついです。むしろ、引き金を引いたときに衝撃が強すぎて、銃の命中精度を落としたのでは、と心配します。

さらに、鋼製ゼンマイの入った香箱の外側が鋼輪になっていて、引き金を引くとこの鋼輪が高速回転し、ライターのように火打ち石として発火して、火皿の導火薬を発火させる短筒「輪燧佩銃(りんすいはいじゅう)」というものがあります。
この銃は、1814年(文化10)に久米通賢が開発したとされます。

輪燧佩銃については、その所有者である澤田平氏が、雑誌『世界の腕時計』No.16(1993年11月)に連載した「和時計の歴史⑥」(P124~127)に詳しく説明されています。この形式の銃はホイールロックガンとして西洋で開発されたものが16世紀にあったとのことです。ただこのあたりのことには、私、深入りしません。

真鍮は江戸時代初めには国産化されており、バネとして製造する技術が蓄積されたということで、次の第7回を今晩アップしたいと思います。

2015年
02月22日
16:30

3: mr.hmv

世界に冠たる刀鍛冶が居たのに鋼帯ゼンマイ出来なかったのかなぁ〜

2015年
02月22日
17:04

江戸時代でも鍛冶屋が鋼のゼンマイを巻く事は出来たと思いますが
完成した物が切れやすくて使えなかった・・・という推測も出来ますね。

ずっと後年の国産時計メーカーの黎明期でも、
深夜の工場で自然にゼンマイが切れる音が聞こえたと言いますし。

2015年
02月22日
17:07

5: teacup

mr.hmv さん、鋼のゼンマイを作るためにどのような技術を必要としたのか、その技術のどこがネックになって、日本の刀鍛冶は容易に鋼ゼンマイを作れなかったのか、製鉄技術の専門家に聞きたいですね~。

2015年
02月22日
17:28

6: mr.hmv

確かに手叩きで長尺鋼帯をムラなく作るのは至難の技でしょうね。
形状ムラがあれば蓄勢時に応力集中で破断するし、不均一圧延で残留応力があればやはりそこで破断するでしょう。
熱間圧延ローラーがなければ無理そうです。

2015年
02月22日
18:15

7: teacup

トキオさんとmr.hmv さんのやりとり、本当に面白いなあ。

トキオさん、時計メーカーの工場で自然とゼンマイが切れたのですか。
それは興味深いエピソードです。

mr.hmv さん、リボン鋼を刀鍛冶の工房で作るのは極めて難しいわけですね。
熱間圧延ローラーか~。また1つキーワードを教えていただきました。

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