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(一般に公開)

万年時計のゼンマイはなぜ真鍮なのか(補習1)2015年03月15日10:27
このシリーズ第3回の末尾に――
報告書『万年時計復元・複製プロジェクト』の関係者による論文が発表されており、日本語の論文はネットで参照できず、英語の論文は参照できる旨、述べました。

それが本日、日本語の論文も「万年時計の機構解明 第1報」および「第2報」として、ネットの以下のアドレスで参照可能なのがわかりました。ご興味がある方はご覧ください。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/73/729/73...

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kikaic1979/73/729/73...

今後も、もし万年時計に関連して何か、思いつきなり発見があれば、「補習」としてアップしたいと思います。

ちなみに上掲写真は万年時計には何の関係もありませんが、ウェブクロノスの会員の皆さんにはご興味があるかとも思い、アップします。書名等のデータは以下のとおりです。

George Daniels著『Watchmaking』(Drawing by David Penney 1981年刊 Sotheby Publications)全416ページ。

この本はたしか30年ほど前、ロンドンのKeith Harding のショップ兼工房を訪れた時に購入したものだと思います。購入はしたものの、中身は読んでおりません。参考になるかもと思って購入し、ざっと目を通したあと読まないままになっている本や雑誌は私、いろいろあります。
そうやって積んでおいたものを、のちに「あ、あれが参考になるかも」と思って読んで、すごい発見(私にとって、ですよ)をしたことが何度もあります。今もそうした発見は続いていて、書籍とその著者、雑誌とその記事の作者に感謝するわけです。

この本を買ったKeith Hardingは、「オルゴールのロールス・ロイス」と言われるNicole Frere のリストアのスペシャリストとして知られていました。Keith Hardingは最近、亡くなりました。彼とは何度か手紙のやりとりをしたり、国際電話で話をしたりしましたが、会ったのはこのとき1度きりでした。工房内部の写真を撮らせてもらい、共同経営者のCliff Burnettにいろいろ話を聞いたことを思い出します。
  • 時計仕掛けの文化

コメント

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7番~26番を表示

2015年
03月15日
14:21

7: teacup

トキオさん

ヨーロッパにおけるフュジーの歴史と、それに代わる技術の登場ついてのトキオさんの説明、勉強になります。

江戸時代後期に日本の時計師が枕時計を製作するようになった時点で、つまり田中久重が万年時計を作るようになる以前に、まずは腸線を使ったフュジー、さらには金属製チェーンを使ったフュジーは、日本の時計師たちにとって学ぶべき技術であり、自作の枕時計に利用しつつあった技術だと考えてよいと思います。

2015年
03月15日
16:52

どうも有り難うございます。
> 洋時計の脱進機に至る輪列の歯数が適正ということでしょうか。
簡単に言えばそういう事です。歯車の増速計算が合っている以上
それ以外の解はありませんから、そのトルクが適正だったと
考えるしかありません。
仮に香箱軸に届くトルクが強過ぎれば、テンプが振り当たりして
時間が極端に進みますから、正確な時刻を表示できません。
当時、どうやってあの増速が適正と知り得たのか?
それは私も知りたい所です。

2015年
03月15日
17:00

9: teacup

> 当時、どうやってあの増速が適正と知り得たのか?
>それは私も知りたい所です。

すっきりしました。トキオさん、ありがとうございます。

で、新たなる迷宮に入りました。
本当にねえ。久重はどのように時計製作の技術を学び、あの万年時計を設計したのでしょうねえ。

2015年
03月15日
18:28

10: mr.hmv

今月末まで本業が超繁忙でコメント書けません•••

とりあえず
所用トルク計算は自分でゼロから設計して初めてその難しさを知りました。
つまり、経験値が支配しているのだろう、ということを知ったという意味です。
http://homepage2.nifty.com/clock/page006.html
ところが、作ってみたらそうはいかない•••
挙げ句の果てがこうなりました。
http://homepage2.nifty.com/clock/page037.html

まぁ、難しいということです。
やってみるとわかります。

2015年
03月15日
19:14

11: トキオ

teacupさん、こんばんは。
mr.hmvさん、お忙しい所恐縮です。

多分久重も色々計算した上で増速率を考えたのでしょうが、
万年時計の場合、特に難しいのは、他の機能が沢山あるという
部分ですよね。あの虫歯車のある和時計や天文表示など、
付加機能の部分でも多くのトルクを消費してしまいますし、
あの歯車の多さを考えたら、付加機能で消費されるトルクは
相当な量であったことが想像できます。

例えば腕時計の永久カレンダーでも、表示部の切り替わりに
トルクを食われるため、日付切り替えの途中で、テンプの
振り角が落ちすぎて、時計が停止してしまう事さえあります。

2015年
03月15日
19:14

12: トキオ

逆に、万年時計が洋時計と和時計の機能しか無かったとしたら
香箱軸に届くトルクが大きすぎて振り当たりしてしまうでしょう。
と言う事は、万年時計は全ての機能が稼働する状態でなければ
適正トルクの判断が出来なかったはずなのです。しかし当時の
技術でそんな複雑なトルク計算が出来たとは考え難い。

仮に全ての部品が揃った状態でトルクの過不足があったりすれば
多くの部分を作り直す必要があったでしょうし、製作時は
かなりの試行錯誤を伴いながら、適正トルクを探っていくような
気の遠くなるような作業があったのではないかと想像します。

2015年
03月15日
19:39

13: teacup

mr.hmv さん

ご案内いただいたサイトのページを見ました。
うう、内容が高度で理解できません。

>やってみるとわかります。
やれませんからわかりません(汗)(笑)(汗)。

久重は、実際に時計にたくさん触れて、機構をめちゃくちゃ分解して、自分で部品を数限りなく工夫して、再び全体を組み立てて、また分解して、朝から晩まで繰り返しやったのでしょうね。

そして常人の何倍ものスピードで技術を理解し、誰もまねできないような技で、アイデア豊かな機構を作ったのでしょうね。

2015年
03月15日
19:52

14: teacup

あ、私がコメントを考えている間に、トキオさんがコメントを書き込んでおられました。

>万年時計は全ての機能が稼働する状態でなければ
>適正トルクの判断が出来なかったはずなのです。しかし当時の
>技術でそんな複雑なトルク計算が出来たとは考え難い。

よくわかります。
部分、部分がうまく動いたからと言って、全体をつないでもうまくいくとは限らない。むしろ、ほとんど最初はうまくいかない。互いの連携を調整して、それでもうまくいかなくて、全体として動かすための工夫を再度考えて、もう一度各部品を作り直して、再度全体を組み立てて、でもうまくいかなくて、みたいな葛藤。

できあがったものは素晴らしいけど、そこに至る過程の苦しみはわかりません。

2015年
03月15日
19:56

15: トキオ

今風呂入って来たので続き書きますね。
http://www.webchronos.net/sns/?m=pc&a=page_fh_diary&targe...
以前のブログで、私はトルクの計算で時計表示部分だけを
切り取って考えてしまったのが失敗でした。
つまり付加機能で消費されるトルクを見落としていたわけです。
もし付加機能が何も無ければ、洋時計の香箱軸に届くトルクは
確かに計算上1/100になる。しかし付加機能の消費分を加えると
香箱軸に届くトルクは1/100よりも、もっとずっと少ないと
考えるのが妥当と思われます。
(というわけで、前回の考察の内容を訂正いたします。)

2015年
03月15日
20:00

16: トキオ

もしこの考え方で合っているならば、
teacupさんや、私が当初抱いていた→「1/100でも大きすぎでは?」
という疑問は正しかったと言う事になります。

時計の機構を見る時は全体を観ると言う基本を忘れていましたが
今回の補修でまた少しスッキリしました。(^^)

2015年
03月15日
20:03

17: トキオ

※間違いなどありましたらご指摘願います。m(__)m

2015年
03月15日
20:06

18: teacup

むかしの話ですが、ある仕事をまかされて、それを仕上げて、社長のところへ持って行ったら、「お前、これを仕上げるのに苦しんだか?」と聞かれました。

細部に雑なところがあるのを社長は見抜いたのです。

以来、私は仕事を仕上げる過程で、「俺は今、苦しんでいるか?」と自問自答します。それでもヌケるところがいろいろありますが。

2015年
03月15日
20:10

19: teacup

トキオさん

>もしこの考え方で合っているならば、
>teacupさんや、私が当初抱いていた→「1/100でも大きすぎでは?」
>という疑問は正しかったと言う事になります。

おお、また新たな迷宮が。楽しいですねえ。

2015年
03月22日
15:16

20: Poirot

今、直接二回目の修復に関わった人に聞いたところ、そのときのゼンマイはどこかいにいってしまったらしいです。また、鉄製のゼンマイができなかったのではなく、真ちゅう製のゼンマイの柔らかさのためだったらであろうと言っていました。鉄製はバネが強すぎるためかと。その後今は壊れていますが、いつか修復をしてくれといわれているそうですが、実現する前に依頼主が亡くなり、実現しなかったということです。

2015年
03月22日
15:54

21: teacup

buchin さん

わざわざ関係者の方にお尋ねいただき、本当にありがとうございます。
お礼の申し上げようもありません。

そうですか。過去のゼンマイは行方不明なのですね。

真鍮製ゼンマイがやわらかく、鉄製ゼンマイがバネとして強すぎるというのは、初めて聞きます。私は知識的にも、経験的にも(乏しいものですが)、鉄製ゼンマイのほうが真鍮ゼンマイより柔軟だと思っていました。
ただ、ゼンマイが巨大になればなるほど、その制御が難しくなるのは理解できます。そのあたりに、何か真鍮ゼンマイと鉄製ゼンマイの性質の違いが生まれてくるのでしょうか。

NHKの万年時計の特番を見たときも、取り出された真鍮ゼンマイが極めて硬く、試しにペンチで巻こうとして跳ね返されていたので、さもありなんと思っていたのですが……。

これは真鍮ゼンマイについて、もう一度勉強しなおさねばなりません。
buchinさん、貴重な情報を本当にありがとうございます。

2015年
03月23日
19:05

22: teacup

buchin さん、ご自身のブログでの、真鍮ゼンマイに関する追加情報、ありがとうございます。

>トルク変動が鉄製より小さいとかいっていたような

それは何となくわかるような気も。

NHKの特番で見た万年時計の香箱の中の真鍮ゼンマイは、一般的な鋼のゼンマイの場合と違い、ほどけた時の状態でも、香箱内にあまりすき間がないように見えました。
香箱のサイズと、ゼンマイの密度の関係というのは、真鍮バネの性質を考えての設計だったのでしょうかねえ。

2015年
03月23日
19:53

23: teacup

万年時計の場合、真鍮ゼンマイの厚み・長さと、香箱のサイズをうまく関連させること(あくまで私のイメージ的な推測で、そんな理屈があるかどうか定かではないのですが)によって、フュージーを利用することとは別に、ゼンマイを極めてわずかずつ解放し、トルク変動を抑えた、ということでしょうかねえ。

時計のゼンマイについてはよく知りませんが、スイスのReuge社のオルゴールには以前、香箱の上部に「ジェネバストップ」(上掲写真)という、ゼンマイのネジの巻き過ぎを防止する機構が付いていました。ゼンマイのトルク変動と香箱の仕組みは、さまざまな工夫の取り組みがあったと思うのですが、このあたり、作り手に聞いてみたいです。

2015年
03月23日
20:21

24: teacup

mr.hmv さん

>ゼンマイは
>同じ弾性係数なら長いほうが
>同じ長さなら弾性係数が小さい(柔らかい)ほうが
>全巻時と解放時でのトルク変動は小さくなります。

ゼンマイの長さと柔らかさが、トルク変動を抑制する要素になるのですね。
頭に入れておきます。

2015年
03月23日
20:24

25: teacup

金属材料の専門家を探して、真鍮バネと鉄バネの特性を深く聞いてみたいです。
それと、リン青銅の歴史も。リン青銅は江戸時代には使われていなかったことをしっかり確認しておきたいので。

2015年
03月23日
20:28

26: teacup

「補習2」のテーマはまだ模索中です。
わからんことばっかりで・・・・

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