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がーひらさんのブログ
(一般に公開)
- 「機械式時計講座」(小牧昭一郎) 感想2020年05月29日16:11
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今回はかなり硬派な時計本、小牧昭一郎氏の「機械式時計講座」の感想を書いていきます。
この本は日本語で書かれた機械式時計の本の中で、最も内容が充実していて、多くのサイトで機械式時計の教科書として紹介されています。
機械式時計の命とも言える、脱進機、調速機について詳しく書かれていて、設計の視点と調整の視点から、如何にして精度の高い時計を作るか、精度の高い時計に仕上げるかに多くのページが割かれています。また、アンクルの詳しい動きや、姿勢差、気温による歩度変化等、語れる知識も多くありました。
解説の中に計算式が沢山出てくるのですが、正直言って、僕は殆ど理解出来ませんでした。それでも、アンクルとガンギ車の噛み合わせ(停止安全量)についての解説や、現在のテンワやヒゲゼンマイの問題点等は、成程と思いながら、楽しく読むことが出来ました。
特にテンワの項で出てくる、バイメタル切りてんぷについての紹介は印象に残っています。これは、温度変化によって変わる歩度を、その温度変化に応じてテンワが広がったり、縮んだりして歩度のズレを最小限に留める仕組みです。現在作られている機械式時計では、ほぼ使われていない失われた技術と書かれていましたが、今以上に精度を追求するのであれば避けては通れない技術だと感じました。
また、ヒゲゼンマイの取り付けについての箇所では、取り付けられるヒゲゼンマイの外端はブレゲ式の巻き上げで対策されているのに対し、内端も同じ様に改善の余地があるというのに衝撃を受けました。この技術は恐らく未だ存在していないので、これからの機械式時計の発展に、まだまだ期待が持てることにワクワクします。
他にも時計好きであれば知っておいて損はない知識の宝庫の様な内容になっています。
この本は内容がかなり濃く、一気に読み上げるのは難しいと思います。僕は毎日少しずつ、約5ヶ月かけて読み終えました。価格も高いのですが、それに見合った価値があると思います。
誰にでも薦められる本ではありませんが、機械式時計について、入門書では物足りなくなった方や、機械式時計に詳しい方の、更なる知識獲得の為には本当に良い本だと思います。
また、この本を読む事で、技術的な内容のクロノス記事を読む際の助けにもなるので、ハードルは少し高いですが、ご一読してみては如何でしょうか?
- 時計本
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