ミドリフグさんのブログ

(一般に公開)

旋盤を買ったお話【導入編】2025年12月14日14:06
『もっと高度な修理技術を習得したい…!!』


皆様ごきげんよう。
いきなり魂の叫びから始まりました。といいますのも、以前こちらの場にて自己紹介と決意表明をした通り、Zenithのアンティーク(変わり種)時計収集を始めしばらくの時が経ちましたが、やはり立ちはだかる第一の壁が「部品の破損問題」です。

<身分の限界>
私のような身分では、現行品の時計達を購入・維持しながら、更にアンティークでもコンディションの良い個体をポンポンと買ってすべての個体をプロに整備依頼することなど夢のまた夢であります。ですので、コンディションの悪い個体をお安く手に入れて、「動かないなら動かしゃええんじゃい」の精神で修理・整備も楽しみながらここまでやってきました。
その中で特に多い破損の原因がやはり「天真折れ」になります。

<アマチュア殺し>
幸い、海外では時計修理は趣味の1ジャンルとして確立されているため、eBayを筆頭に様々なショップで当時の部品や、パーツ取り用のムーブメントなどが豊富に出品されており、プロ・アマ問わず平等に取引されているため私もそれらを利用して部品調達を行っておりました。
しかしその方法にも限界があり、特に天真のような破損しやすい部品は人気が高く、目当てのムーブメント用の物が見つからなかったり、見つかったとしても年式による僅かな仕様変更が原因で適合しなかったり、海外取引きなので送料が部品より高かったり、注文から到着まで早くて2週間以上かかるといった、アマチュア殺しの壁が幾重にもわたり立ちはだかってきます。

<旋盤がほしい…!>
こうしてマゴマゴしているうちに気付けば我が家のコレクション棚は修理待ちの時計で行列ができてしまい、心を痛めながらも治しやすそうな時計から優先順位をつけて修理を行わざるを得なくなっているのが現状です(無能)。
そんな中、天啓の如くある偉人の詩が脳裏をよぎります。


無いのなら 作ってしまえ ホトトギス


かつて天下布武でその名を轟かせたかの有名な戦国武将もこう言っている通り(言ってない)、部品が無いのなら作ってしまえばいいのです。同じ行動から違った結果を求めるのはすなわち狂人であり、この修理行列を解消したいのであればいつまでも現状のままいるわけにもまいりません。
ということで修理技術の幅を広げ、更に速度を上げることで、最初から並んでいるのにいつまでも順番が来ない彼らをなんとか修理してあげたいなと思い至りまして…時計用旋盤を買うに至った次第であります(写真1)

<旋盤の紹介>
いきなり完成図です(写真2)
ガンプラと違い、時計用旋盤は当然ながら旋盤だけでは完結せず、旋盤以外にもベースからモーターまで自分で用意する必要があります。ある意味ミニ四駆みたいですね(笑)

構成としては

・旋盤:Boley 8mmチャック ジェノバベッド旋盤 値切って¥27万(送料込み)くらい
・旋盤の固定:ホムセンで売ってたマシンバイス ¥3000
・ベース:ホムセンで売ってたスノコ ¥1500
・モーター:オリエンタルモーターM540-001(スピードコントロール付き) ¥20000
※後日、デジタル顕微鏡・モバイルモニター一式も追加設置して今(写真2)に至ります。

…といった感じにしました。

<気になる精度は>
自分なりに色々調べて結構良いのを選択したつもりですが、所詮は中古品の上に素人判断。とんでもないジャンク品を掴まされる可能性も0ではありません。
旋盤用ワークスペースが完成してまず最初に行ったのは軸精度の測定でした。
手持ちのマグネットスタンドとダイヤルゲージを用いて、チャック挿し込み部分の軸ブレ、チャックに3mm棒を噛ませてワークの軸ブレの測定を行ったところ、どちらも約1~2μmでした(写真3)
どうやらちゃんと実用に足る個体だったようで、「時計用工具コレクション第一号」になるのは避けることができました(笑)
ちなみにこれが10月末の出来事でありました。

<次回予告>
無事(たぶん)に旋盤のセットもできたので、実際に天真を作ってみましょう。
当然ながら旋盤を買ったら万事解決というはずもなく、タガネの製作、切削条件、視力の限界、etc…
地獄の検証の日々が待ち受けているのでした…

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本文
写真1
写真2
写真3
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