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私は、前回書いたように、あの３本の時計を所持している事で十分満足しておりました。

店で仕事をしている時も、モンブリランを嵌め、誇らしいような気持ちで仕事をしておりました。

３年前、あの男に会うまでは・・・。



月末の支払いの為に銀行さんが、私の店に毎月集金にきて下さるのですが、その日は担当の女性の方（Ｈさん）が風邪でお休みとの事で、代わりに【Ｓさん】という男性が集金にやって来ました。

Ｓさんは、私のしている時計に目をとめ、

「おや？時計お好きなんですか？私もなんです。今度、お持ちの時計を見せて下さい。」

と、おっしゃるので、次の集金は自宅に来てもらい、その時にお見せする事になりました。



翌月、やってきたＳさんは、私の３本の時計を見て、

「ふっ・・・（笑）。」

と、鼻で笑ったあと、

「いやぁ～、素晴らしい！良いもの見せていただきました！」

と、大げさに言って、帰っていきました。



（顧客に対してあの態度、・・・許さん！　叩き潰してやる。必ず・・・、虫ケラのように・・・。）

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怒りと屈辱に震え、

（彼のコレクションを凌駕する時計を集め、復讐してやる）

と、誓った私は、その日の夕方から行動を開始したのでした。



【彼を知り己を知れば、百戦して殆うからず】、まず敵がどんな時計を持っているのか調べなければなりません。

本来の担当であるＨさんに電話して、

「Ｓさんといろいろ話をして、時計に少し興味が出てきたので、彼がどんな時計を何本持っているか、それから、欲しいと思ってもなかなか手が出ない時計の名前を、それとなく聞いてもらえますか？」

と、お願いしました。

ただし、私が知りたがっているという事は内緒にしていただきました。

私が彼に教えを請うというのは、彼が私に対して優越感を抱く事につながるので、避けたかったのです。

３，４日後、Ｈさんから連絡が入り、

「聞き出すのは、大変だったでしょう？」

と、聞くと、

「いえ、『素敵な時計ばかりしてますけど、どんな時計をお持ちなんですか？』って聞いたら、すぐ教えてもらえました。」

（この時の彼の気持ちは、今は分かるような気がします。）



持っていたのは、【ＩＷＣ・ゼニス・ロレックス、後はアンティークが３本】、それと、何とかいう限定何本しかつくらないブランドのが１本でした。

欲しいの時計は、フランク・ミュラーかピエール・クンツでした。



とりあえず、敵の情報はつかめました。

ですが、ＩＷＣだのピエール・クンツだのと言われても、時計の知識の無かった私には、何の事やら分かりません。

フランク・ミュラーも、（知り合いの女性が持っていたので）レディース時計のメーカーだと思っていたくらいです。



さあ、今度はこちらの知識を上げる番です。

今は、手軽にインターネットで色んな事を調べられるので、そっちはそれほど、難しくありませんでした。

が、価格が高い・・・。

１本１００万の時計なんて、ゴロゴロしてます。

叩き潰し予算を５００万と踏んでいた私は、時計というものの価格に唖然としてしまいました。

～もっと長くなるので、次回に続く～



おまけのＱＰちゃん（今回、ＱＰの出番がなかったので・・・）

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マリオとルイージです。