2024年 クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥー新作時計を紹介

クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーが2024年に発表した「クロノメーター FB RES」を紹介する。同作はブランド2作目である「クロノメーターFB 2RE」の後継モデルだ。クロノメーター FB RESは1秒ルモントワール機構とフィゼ・チェーンを搭載しており、ケース素材や文字盤カラーはもちろん、ケースデザインなどもパーソナライズできる。

「クロノメーター FB RES」

クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーが、ブランドの2モデル目として2020年に発表した「クロノメーターFB 2RE」。フュゼ・チェーンとルモントワール機構を搭載する同作の後継モデルにあたる「クロノメーター FB RES」がデビューした。今作では購入者の希望に応じたカスタマイズが可能となっている。合計38のムーブメントが製作され、幅広いオプションを備えたパーソナライゼーションに対応する。

「クロノメーター FB RES」はムーブメントのデザインを一新しながら、前作に続き、フュゼ・チェーン式伝達と1秒ルモントワール機構によるコンスタントフォースを採用する。これらは香箱から脱進機に供給されるエネルギーを一定に保つための装置だ。

　チェーンの長さは285mmに及ぶ。ふたつの機構の間にあるゼンマイに支えられた装置が微量のエネルギーを一時的に蓄積し、その後テンプへと伝達する。エネルギーの蓄積/解放の周期は1秒と非常に短く、この連続する推進力により、中間車によって「ルモントワール・デガリテ」機構と連結した長いセンター秒針が進む。秒針は1秒ごとに運針し、ルモントワール機構から直接生成される。1秒を刻むこのトゥルー・ビート機構は、デットビート・セコンドとも呼ばれるものだ。

　また搭載されているディファレンシャル巻き上げシステムの吊り下げ式フュゼや、マルタ十字の巻き止めシステムの吊り下げ式香箱はいずれも特許を取得している。この手巻きCal.FB-RE.FCはまた、 C.O.S.C.（スイス公式クロノメーター検定局）の認定も受けている。

　これらの複雑な機構は、視覚的にもより堪能できるようになった。前作ではドーム型グランフー エナメル文字盤が採用されたが、今作ではブリッジと地板を組み合わせた技巧的なデザインが採用されている。3時位置から6時位置にかけて開口部が設けられ、輪列やミラーポリッシュ仕上げのステンレススティール製のブリッジが露わになっている。9時位置に「0」「1」の刻印とともに配されているのはパワーリザーブ表示だ。裏蓋はエッジが丸みを帯びたドーム型の両面反射防止加工サファイアクリスタルを採用する。

　すべての歯車、ブリッジ、ネジは完全に手作業で仕上げられている。歯車とブリッジには、直線にして合計2m以上に及ぶ手作業で面取りが施される。ブリッジと地板の仕上げは、フランス語で「シースルー仕上げのルモントワール・デガリテ機構」を意味するFB RESと名付けられたこのモデル独自のものだ。

　今作の大きな特徴が、多彩なパーソナライゼーションである。ケースの形状は、ラウンドまたは八角形から選択可能だ。ケースの素材はステンレススティール、チタン、セラミックス加工チタン、18Kホワイト/イエロー/ローズゴールドから選択可能で、八角形ではプラチナを含む。文字盤にあたるニッケルシルバー製の地板の仕上げは、バーティカルサテン、またはサンドブラストから選択可能だ。また文字盤と秒表示のインナーベゼルはシャンパンカラー、ダークグレー（アンスラサイト）、ブルーから選ぶことができる。

　本作のデザインは、1775年頃にフェルディナント・ベルトゥーが製作した、シースルー仕上げのテーブルクロックから着想を得たものである。ルモントワール・デガリテ機構も搭載された複雑なものでありながら、現在も完璧に作動する状態であり、フルリエのフェルディナント・ベルトゥー・ミュージアムに収蔵されている。ブランドの貴重な遺産が、高い技術力により腕時計としてモダンに生まれ変わった。