2024年新作から選ぶ、ダイバーズウォッチベスト5!

FEATURE2024年新作時計
2024.04.17

2024年(4月現在)に発表された魅力的な新作を、ジャンル別に俯瞰する企画として「ダイバーズウォッチ」を取り上げる。人気ジャンルであるだけに、各社のアプローチには各社の個性や現在のスタンスが良く表れている。では、注目すべきダイバーズウォッチの新作を見てゆこう。

佐藤しんいち:文
Text by Shin-ichi Sato
[2024年4月17日公開記事]


超高性能ダイバーズウォッチの18KYGモデル ロレックス「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」

オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー

 「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー」は2008年発表の深海潜水用のダイバーズウォッチコレクションだ。長らくオイスタースティール製モデルのみがレギュラーラインナップされてきたが、22年にRLXチタン製で1万1000mという非常に高い防水性能を備えた「オイスター パーペチュアル ロレックス ディープシー チャレンジ」が発表され、ラインナップの拡充が図られている。

 今般発表されたのは、オイスタースティール製モデル同様の3900mの防水性能を備えるオイスター パーペチュアル ロレックス ディープシーの18Kイエローゴールド製モデルである。ゴールドの色調に映えるブルーラッカーダイアルと、ブルーのセラクロム製ベゼルインサート、ブルーのセラミックス製耐圧リングが組み合わされ、鮮やかかつ華やかな仕上がりとなっている。18KYG製ブレスレットは従来モデルと異なって中コマがポリッシュされてエレガントさが加えられている。ブレスレットの長さ調整を可能とするグライドロックエクステンションシステムを搭載するバックルも18KYG製となる。

ロレックス「オイスターパーペチュアル ロレックス ディープシー」Ref.136668LB
自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径44mm、厚さ17.7mm)。3900m防水。751万800円(税込み)。(問)日本ロレックス Tel.0120-929-570

 エクストリームな環境に対応したモデルにてゴールド製の本作を選ぶ需要がどこにあるのかについて筆者には疑問が残るものの、本作はロレックスに対する極めて高い人気を反映するとともに、高い防水性能を18KYGで実現し、ブレスレットも同素材で高いレベルで仕上げるロレックスの技術力を体感するには好適な選択肢であると言えるだろう。


1965年発表モデルのデザインを受け継いだセイコー「プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」

セイコー メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ

セイコー「プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」Ref.SBDC197
自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。300m防水。17万6000円(税込み)。2024年6月8日(土)発売予定。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 現代に続くセイコーのダイバーズウォッチの原点で、かつ国産初のダイバーズウォッチである1965年発表モデルのデザインを受け継いだ新作「プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」が発表された。近似のデザインを採用した従来モデルのRef. SBDC101は、200m空気潜水用防水と約70時間のパワーリザーブを備えていたのに対し、本作はセイコーの空気潜水用ダイバーズウォッチとしては最高スペックとなる300m防水を備え、パワーリザーブは約72時間となっている。

セイコー プロスペックス「メカニカルダイバーズ 1965ヘリテージ」

セイコー「プロスペックス メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ」Ref.SBDC195
自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。300m防水。17万6000円(税込み)。2024年6月8日(土)発売予定。(問)セイコーウオッチお客様相談室 Tel.0120-061-012

 性能だけではなく、デザインの見直しも行われている。日付表示は4時半位置に改められたことでシンメトリーなデザインとなり、視認性も高められている。ベゼルインサートはアルミニウム製でクラシカルな雰囲気を添えつつ、レーザー加工により彫り込まれたダイビングスケールに塗料を入れることで精緻に仕上げるとともに、塗装の剥離も防いでいる。

 ケースはRef. SBDC101に対して僅かにコンパクトな直径40mm、厚さ13mmに仕立てられ、精悍さが高められている。新開発のブレスレットは、しなやかに動く短いピッチのコマとコンパクトなバックルで構成され、サイズダウンしたケースとの組み合わせにより装着感の向上が図られている。

セイコー プロスペックス「メカニカルダイバーズ 1965ヘリテージ」

 ダイアルは、セイコーのダイバーズウォッチの基本とも言えるブラックと、鮮やかなブルーの2色が用意される他、セイコーブランド誕生100周年記念モデルとしてチャコールグレーモデルも用意される。

 性能アップだけではなくコンパクト化が図られたことは、近年のセイコーのスタンスが良く表れている。


1969年の歴史的な600m防水モデルを復刻したゼニス「デファイ A3648」

 1969年発表で、当時としては偉業と呼べる600m(1969フィート)の防水性を実現した、ゼニスの歴史的なダイバーズウォッチ「デファイ A3648」の復刻モデルが発表された。近年、歴史的モデルの復刻に取り組むゼニスであるが、ダイバーズウォッチの復刻は本作が初となる。

ゼニス デファイ エクストリーム ダイバー

 オリジナル同等の600m防水を実現するステンレススティール製ケースは直径37mmで、初代「デファイ」のシグネチャーである角ばったフォルムを踏襲したものだ。ラグを持たず、ケース背面にブレスレット接続部を持つデザインは60年代後半から70年代にかけて見られたデザインで、本作にも受け継がれている。4時位置のリュウズも本作のアイコンである。

 特徴的な14面のステンレススティールベゼルもオリジナルに準じつつ、プレキシガラス製であったインサートはサファイアクリスタルとなって、モダンかつ優れた外観が与えられている。インサートおよびダイアルはオレンジとブラックのコントラストが効いたデザインで、分表示を目立たせる矢印型の分針が、高性能な本作にポップな印象も加えている。

ゼニス デファイ リバイバル A3648

ゼニス「デファイ リバイバル A3648」Ref. 03.A3648.670/21.M3648
自動巻き(Cal.エリート 670)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径37mm、厚さ15.5mm)。600m防水。101万2000円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861

 また本作はトランスパレントバックを採用しており、搭載するムーブメントCal.エリート670を鑑賞可能となっている。組み合わされるブレスレットは、フォールディングバックル付きのステンレススティール製5連ブレスレットであり、デザインはオリジナルモデルが採用していたゲイフレアー製のものに準じている。


チタン製G-SHOCK「MR-G フロッグマン」の登場

 タフなツールウォッチの代名詞とも呼べるカシオ G-SHOCKのラインナップの中で、ISO規格に準じたダイバーズモデルである「フロッグマン」。今年、フロッグマンの上位モデルに位置するチタン製の「MR-G フロッグマン」が発表となった。

 ケースおよびブレスレットにはチタンを採用し、縦56mm、横49.7mm、厚さ18.6mmと大柄な体躯でありながら重量は170gに抑えられている。デザインは、フロッグマンのアイコンである9時側に飛び出した非対称なシルエットに、爪状の外装がケースを掴んでいるようなディティールが踏襲されており、ファンならばひと目でフロッグマンと分かる個性を備えている。

カシオ MR-G フロッグマン

カシオ「MR-G フロッグマン」Ref. MRG-BF1000B-1AJR
光発電クォーツ。Ti×DLCケース(縦56×横49.7mm、厚さ18.6mm)。200m防水。69万3000円(税込み)。(問)カシオ計算機お客様相談室 Tel.0120-088925

 タフソーラー、電波受信による自動時刻修正、スマートフォンとの接続機能、ワールドタイムなどの近年の高性能G-SHOCKに準じた機能の他、潜水時間計測や水面休息時間表示、タイドグラフなどのダイビングに求められる機能を備える。

 また、高い防水性を確保するスクリューバック仕様を採用しつつ、ケースバック中央にサファイアクリスタルを圧入して電波の受信感度を向上させるなど、細やかな改善も加えられている。

 G-SHOCKの中で、チタンの採用はフロッグマンが先んじていたため、歴史的背景から鑑みて本作の登場を喜ぶファンも多いことだろう。


「フィフティ ファゾムス」待望の(少し)コンパクトなモデルが登場

 ケース径42mmの「フィフティ ファゾムス オートマティック」がレギュラーモデルとして追加された。従来のレギュラーモデルはケース径45mmであり、ケース径42mmのモデルは2023年発表のユニークピース「フィフティ ファゾムス70周年記念 Act1」に限られていた。今般の発表は選択肢の拡充となっており、コレクションの注目度が更に高まることが期待される。

ブランパン フィフティ ファゾムス オートマティック

ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」
自動巻き(Cal.1315)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。Tiケース(直径42.3mm、厚さ14.3mm)。300m防水。ブレスレットモデル:287万1000円(税込み)。ストラップモデル:272万8000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233

 フィフティ ファゾムスは現代ダイバーズウォッチの祖とされているだけでなく、高い外装品質とラグジュアリーさも感じるディティールを備えた近年のダイバーズウォッチのトレンドの先駆けとなったコレクションである。今般発表された42mm径モデルは、チタンと18Kイエローゴールドの2種類のケース素材に、それぞれブルーダイアルとブラックダイアルが用意されて4モデルのラインナップ構成となる。いずれも厚さは14.3mmで、300mの防水性能を備える。ムーブメントは自動巻きCal.1315で、パワーリザーブは約120時間と申し分のない性能を備える。

ブランパン「フィフティ ファゾムス オートマティック」
自動巻き(Cal.1315)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約120時間。18KRGケース(直径42.3mm、厚さ14.3mm)。300m防水。「トロピック」モデル:509万3000円(税込み)。459万8000円(税込み)。(問)ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233

 全体的なデザインとプロポーションは45mm径モデルを踏襲していることから、そのサイズがネックであった方にとって福音となることだろう。チタンモデルにはブレスレットが用意される他、ファブリックストラップ、NATOタイプストラップに加え、1953年のオリジナルモデルにインスパイアされた「トロピック」なども用意される。

 従来モデルに対してコンパクトになったとはいえ42mmのサイズ感がある本作。着用感などが気になるところだ。


2024年のロレックス新作時計を一気読み!

https://www.webchronos.net/features/112785/
MR-G「フロッグマン」の新作MRG-BF1000Bをレビュー。チタンブレスレットと深紅の挿し色で着用シーンをさらに拡げた1本

https://www.webchronos.net/features/111989/
「最旬」ダイバーズウォッチ ランキング10

https://www.webchronos.net/ranking/101861/