BASELWORLD 2019 転換期を迎えた〝時の祭典〟

2019.03.21

2020年からSIHHとの連結開催を発表するなど、柔軟性を持った運営が目立ち始めたバーゼルワールド。新作発表の場として確たる地位を築いた同展に、ついに転換期が訪れる。

2019年のバーゼルワールドは3月21~26日の期間で開催される。入場料は1日券が60スイスフランで、会期中を通して有効な期間チケットは150スイスフラン。なお、チケットは公式サイトからも購入でき、その場合はそれぞれ45スイスフラン、110スイスフランに割り引かれる。
Text by Yuto Hosoda (Chronos-Japan)

 時計と宝飾の見本市として世界最大規模を誇る「バーゼルワールド」が、今年も3月に開催される。

 1917年の「バーゼル国際見本市」を第1回とし、以来、名称や主催者の変更がありながらも100年以上にわたってスイス・バーゼル市で行われている同展。その魅力は冒頭でも述べたように、世界で最も大きいと言われる見本市の規模である。世界中の時計ブランドが同展を新作発表の場として活用し続けた結果、今日ではビッグメゾンから中堅ブランドや小規模メーカー、さらには独立時計師まで、幅広い〝作り手〞が混在しているのだ。この多様性があるからこそ、バイヤーは自身が最も必要としている商品を見つけ出すことができ、また、プレスは自分たちのメディアの切り口に最適な題材を探すことができるのだ。これこそが、スマートフォンが普及し切った現在において、SNSという手軽かつコストも掛からない情報発信の手段がありながら、いまだに多くのメーカーが膨大な費用を投じてまでバーゼルワールドで新作発表を行う理由である。

 では、長い歴史の中で〝時の祭典〞としての確固たる基盤を築いたバーゼルワールドは今後、さまざまな情報発信の手段がメーカーに提示されていく中で、なおもその地位を守っていけるだろうか。少なくともバーゼルワールドは現在、将来に向けて多様な取り組みを行っていこうとしている。それを象徴するのが2018年末に発表されたSIHHとの連結開催のニュースだ。リテーラーやバイヤーの利便性を第一に、SIHHと協議してまで顧客を誘致しようという姿勢は、これからも同展が〝時の祭典〞であり続けようと積極的に取り組んでいることの証しに他ならない。まさにバーゼルワールドは今、転換期を迎えているのだ。

 より柔軟性を得た運営の下、開催されるバーゼルワールド2019が、今から楽しみでならない。