“オジサン時計”があるなら、“オバサン時計”があっても良いんじゃない?

2024.12.31

「くたびれた40代のオジサンたちが好きな時計とは?」「1970年代デザインが流行っている今だからこそ、オーデマ ピゲのオヤジ時計を推したい」などなど……。webChronosでは世のオジサンの好きな時計や、オジサンが着用していそうな時計を取り上げて記事にしている。“オジサン”と“時計”が組み合わされた言葉の響きから、なんとなく渋めのデザインをイメージしつつ、ふと「じゃあ、“オバサン時計”ってどんなのよ?」と思った。なお、このブログを書いているのは20代女子などではなく、紛れもないオバサンなので、いろいろ許してくださいね。

鶴岡智恵子(クロノス日本版):文
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2024年12月31日公開記事]


年の瀬に“オバサン時計”をなぜ考えているのか

 このブログを書いているのは、まもなく2024年も終わりを迎えようとしている12月31日、日は沈んでいるもののまだ宵の口といった時間。12月は年間を通して、最も時計業界が忙しくなる繁忙期だ。このシーズンに合わせて時計専門誌『クロノス日本版』のWEB媒体であるwebChronosではキャンペーンと銘打って、いつもよりたくさんの記事を公開したり、その年の振り返りを行ったりしている。そんな月だったので毎日が忙しく、たくさんのライターさんやエディターさんに協力してもらって、なんとか乗り切れた(いつもありがとうございます)。ただ、12月も末となってくると、だんだんネタ切れしてくることは不可避。なので、今月あと残り1本何か記事を作成しようとした時、しっかりした原稿を書く余力はなく、ブログという形式になってしまったことを許してほしい。

 さておき。このキャンペーン中に公開した記事の中で、“オジサン”や“オヤジ”をひとつのキーワードとしたものが、いくつかある。ご興味ある方は、関連記事からご一読されたし。

オークション、家族の目、終活……くたびれた40代のオジサンたちが好きな時計とは? 酒を飲んだくれながらぶっちゃける!

https://www.webchronos.net/features/129788/
「GMC−B2100D」を実機レビュー。果たして50代オヤジが着けるにふさわしいG-SHOCKか否か?

https://www.webchronos.net/features/128779/
1970年代デザインが流行っている今だからこそ、オーデマ ピゲのオヤジ時計を推したい

https://www.webchronos.net/features/127976/

 オジサンが着けてそうな時計、といった言い回しを耳にしたことがある読者も多いだろう。時に揶揄として、時に賛辞として用いられるこの表現、実は私も結構使っている。何を隠そう、私の所有している時計がしばしば“オジサン時計”と言われ、自分自身もその言葉を使って紹介することがあるのだ。

 そこでふと考える、「“オジサン時計”があるなら、“オバサン時計”があっても良いんじゃない?」と。

オメガ スピードマスター 38

さまざまなブランドのモデルがあふれるレディースウォッチ市場。昔は薄型クォーツ&エレガントなデザインといったモデルが多かったが、最近では大径サイズやスポーティーな意匠を備えたものも少なくなく、選択肢が増えているのが時計好き女子としては大変うれしい潮流だ。写真はオメガの「スピードマスター 38」。広報担当者によると、女性の“スピマス”人気が高まってきており、38mm径のモデルが女性から購入されているとのこと(このネタも、早く原稿書かなきゃ……涙)。


“オバサン時計”ってどんな時計?

 では“オバサン時計”って、どんな時計よ? そもそもオバサンと一口に言っても、自分含めて、いろいろなタイプがいる。

 まず“オジサン時計”がどういった特徴を持つのか考えてみた。人にもよるだろうが、「渋い」ということがまず挙げられるのではないだろうか。

・表示機能は3針+デイト表示の小窓付き
・文字盤の色はシルバーかホワイト。インデックスはバータイプ。
・SS製で、ポリッシュよりもサテン仕上げ多め

 自分なりに“オジサン時計”を考えてみると、40代〜50代のサラリーマンが、量産品のビジネススーツに浮かないような、悪目立ちしない、そんなデザインと機能を備えているのではないかなと思った。

 では、“オバサン時計”はどうだろうか? これは難しいぞ。というのも、オバサンという言葉は、オジサンほど定義立てて使われていないように見受けられるためだ。とはいえ、ダイヤモンドがキラキラした時計だとマダムって感じだし、清楚な時計は奥様といった言い回しが似合いそうだし……。

 自分自身が「若い頃と変わったライフスタイルの中で腕時計をどう使うようになったか」を考えると、少し答えが見えてくる。例えば年齢相応の装いが求められるシーンが増え、その場に合わせて落ち着いた服装にするため、腕時計もダイバーズウォッチなどではなく、シンプルでジャケットやブラウスの袖口からはみ出しすぎないサイズのシンプルモデルを着用する。だから“オジサン時計”と同様、悪目立ちしないデザイン・機能がひとつの条件として挙げられてくるのでは、と。

 一方であまりに地味すぎるのは、自分自身がつまらないと感じる。別に派手にカラーリングされていたり大きい宝石を載せていたりしなくても良いが、装飾品のひとつということもあり、ちょっとした遊び心が欲しいところ。

 といった、超主観に満ちた“オバサン時計”の定義から、このふたつのモデルを取り上げたい。

チューダー ブラックベイ31

チューダー「ブラックベイ 31」Ref.M79600-0001
自動巻き(Cal.MT5201)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径31mm)。100m防水。53万200円(税込み/2024年12月時点の価格)。(問)日本ロレックス / チューダー Tel.0120-929-570

IWC 「ポートフィノ・オートマティック 34」Ref.IW357413

IWC「ポートフィノ・オートマティック 34」Ref.IW357413
自動巻き(Cal.35100)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径34mm、厚さ8.6mm)。3気圧防水。92万4000円(税込み)。

 取り上げたのはチューダーの「ブラックベイ 31」と、IWCの「ポートフィノ・オートマティック 34」。どちらも大きすぎないサイズ感に、ベーシックな色合いのブラックまたはブルー文字盤を持つと同時に、細かなリンクで構成されたブレスレットがドレッシーな印象をもたらしている。一方でチューダーのブラック文字盤にあしらわれたゴールドカラーや、IWCのブルー文字盤のさりげないダイヤモンドが落ち着きすぎてはいない、少し心を弾ませてくれるようなさりげない遊び心に思われて、自分自身の「年齢相応の雰囲気をまといたいけど、若い頃から付き合ってきたセンスも大切にしたい」といった人物像に合っていたのだ。

 ブログとはいえ、超主観的な話でごめんなさい! “オバサン時計”とカテゴライズしてしまっているが、最近のレディースウォッチ市場はますます多様に、ますます面白くなっているので、時計好き女子の数だけ、この答えがあるだろう。また、良かったら読者のみんなが考える「自分的◯◯時計」を教えてほしい。


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