時計専門誌『クロノス日本版』の編集者は、いったいどんな仕事をしているのか? 今回、この専門誌のWEBメディア・webChronosの編集・管理に携わっている鶴岡智恵子の1日を紹介。アットホームでわきあいあい( )とした職場の雰囲気をお楽しみあれ。
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2025年1月17日公開記事]
時計専門メディアの編集者は何をしているのか?
時計専門誌『クロノス日本版(以下クロノス)』と、そのWEBメディアであるwebChronos、そしてYouTubeチャンネル「webChronosTV」を運営する我がシムサム・メディア。この出版社に入社して、明日で1年半となる。まだまだひよっこ(ただし別に若くはない)ではあるものの、徐々に仕事や職場の雰囲気に慣れてきたので、編集者としてどんな仕事をしているのか紹介。ちなみにこのブログを書いている日に、この企画を思い立ったものの、そんなに編集者らしいことをしていなかったので、最後に同僚の細田雄人の1日も紹介。なお、ほかの出版社や編集者が何をしているのかはまったく分かりませんので、ご容赦を。
今日やった仕事
弊社の定時は10時〜19時までだが、私は定時の1〜2時間前には出社している。新人は一番早く来て掃除をしなくてはいけない……というわけではなく、人のいない朝の方が集中して仕事ができるため。朝出社して、各スタッフの行動予定表用のホワイトボードの日付を直して、1日を始める。ちなみにムーンフェイズのイラストは鶴岡作。毎日を少しでも楽しくするために、こうやって日常の隙間に時計関連のものをあふれさせるのだ。
午前中はメールやX(旧Twitter)をチェックしたり、私はwebChronosの編集者なので、サイトのPVといったデータを確認したり。
この作業を1〜2時間くらいで終えたら、本日は原稿を書くという、私が最も苦手な仕事に入る……本ブログはもちろん、次号クロノスで執筆を担当した原稿があり、コンテンツの内容やページ数にもよるものの、遅筆な私はそんなに早く書けないので、1日原稿を書いて暮れていく。ちなみに原稿を書く時に欠かせないお供が、電子辞書と冒頭の画像で私が手に持っている『記者ハンドブック』。このハンドブックは新聞などで使うことを推奨している用語集で、クロノスも基準としている。例えば「馴染み」という用語は「なじみ」と平仮名にしたり(「ひらく」という)、米国のPennsylvaniaは「ペンシルベニア」と表記したり、といった具合だ。また、クロノスにはおもに時計関連用語で、独自にレギュレーションがあるので、この規則も守って原稿を書く必要がある。
この日の仕事は原稿を書く、がメインなので、そのほかの業務内容も紹介すると、ライターに書いてもらった原稿を前述した『記者ハンドブック』やレギュレーションにのっとって原稿整理したり、WEBであれば原稿をCMSツールに落とし込んでいったりする。また、1カ月に公開するコンテンツのスケジュールを組んだり、そのスケジュールに合わせてライターに原稿を依頼したり打ち合わせしたり、本誌も少しはページを担当しており、その校了前なのでデザイナーさんにページレイアウトをお願いしたりといった仕事もある。
加えてこの日は特に予定はなかったものの、取材したりフォトグラファーさんに時計を撮影してもらったりする仕事もある。個人的には一番楽しい仕事だ(まぁ取材したら原稿書かなくてはいけないんですけどね)。
取材があれば結構フォトジェニックな写真を撮影できることもあるのだが、そんなに派手さのない日にブログを書いてしまいました。
細田雄人の1日にも密着
ブログ的にあんまり面白くない1日になってしまったので、同僚の細田雄人の1日にも密着。細田が編集を担当している次号「新鋭」ページの撮影があったため、勉強も兼ねて(細田は入社7年のベテラン編集者)フォトグラファー・吉江正倫氏のスタジオまでくっ付いていった。
細田はこの日、午前中に撮影物のピックアップをしつつ、ブランドの担当者と打ち合わせ、昼食を取った後に吉江氏のスタジオに時計を搬入した。その場でコンテ(「台本」という意味だが、編集者は担当ページの構成やイメージを決めるためのラフという意味でコンテを用いる。WEBでも同じく)を作成。コンテを基に吉江氏と打ち合わせをして、撮影に入る。
細田に「編集者として、一番多い仕事はなんですか?」と質問したところ「やっぱりね、頭を下げることなんですよ。『なんとかこの日までに(校正を)戻してください』『お時間取れずに恐縮ですが、この日までに原稿をお願いします』とか」とのこと。
やりがいは何かと聞かれれば「いろんな時計を見て触れること」
時計専門誌『クロノス日本版』の編集者・鶴岡智恵子が過ごす、アットホームで楽しい職場について紹介した。はい、職場の風景や職場での仕事があまりなく申し訳ありません……結構外出していることも多いんです。
私はもともとクロノスの読者であったこともあり、入社後、仲の良い時計愛好家に「仕事は楽しいですか?」と聞いてもらうことがある。正直、まだ仕事が楽しくてやりがいあって仕方ないという域には達していない。しかし、最新作から稀少モデルといったさまざまな時計を見ることができるのはありがたいし、その詳細を取材できるというのはとてもやりがいを感じている。
これからも時計の最新情報を読者にお届けできるよう、仕事に励んでいきたい(“ブラック”ネタはSNSでとどめておきます笑)。