世界各国の図書館や大学が提供するデジタルライブラリーを見るのは楽しい。時計関係の不思議な図版を見かけたのでご紹介。
[2025年1月29日公開記事]
デジタルライブラリーの楽しみ
「一体ワタシはどうしてこの商売をやっとるんじゃろうか?」と、たまに考え込む。「機械が好き」というのは理由としてある。そして「古いものが好き」というのも、理由としてあるかもしれない。(古い物が『クロノス』に多数取り上げられるわけではないけど)
さらに、「調べもの」が好きだったことも、理由のひとつだったことを思い出した(ような気がする)。今はありがたいことに仕事が忙しいので、あまりチェックはできてはいないが、世界各国のデジタルアーカイブを見ることが、かつて趣味だったのだ。
自由気ままに、その時々の「気になること」をテーマとして、デジタルアーカイブにアップされた図版をながめている時は至福の瞬間だった。「なにこれ?」なイメージに運よく遭遇できたら、そりゃもうサイコーである。
なお、デジタルアーカイブは無料で使えるものがほとんどなので、ネット回線とパソコンさえあれば楽しめるのも結構大きい。繰り返すが、お金がかからないのはかなり大きい。
ウェルカムコレクションで見つけた、なんだか気になる画像
というわけで、ワタシのお気に入りのデジタルライブラリー、「ウェルカムコレクション」に収蔵された時計関連の図版を(浅ーく)紹介しよう。
18世紀ドイツの出版事業者マルティン・エンゲルブレヒトによる『Assemblage nouveau des Manouvries habilles』の中の時計師のページ。なぜ頭に時計を載せているのかだろうと思いきや、特定の職業の人物像に、その職業が扱うものを「ひっつけ」て表現しているようだ。
もひとつはカレル・エルウィンなる人物による、クロックのための紙製の飾り(なのだろうか?)。
灯りを持つ骸骨の下に書かれているギリシャ語が気になる。ウェルカムライブラリーのXアカウントによれば、「ゆっくり燃やせ、強い光はすぐに燃え切ってしまう」という警句が書かれているらしい。何の目的でこの飾りを製作したのかは気になるところだ。
ウェルカムコレクションについて
ウェルカムコレクションはイギリス・ロンドンにある医療系財団、ウェルカム財団が運営するライブラリーである。当然のことながら、医療系のため医学に関する資料が多い。だが、それ以外にも民族学的な観点から価値がありそうな写真や、歴史を伝える18世紀ごろの彩色版画も多数収蔵しており、ごった煮的な楽しさがある。
利用しやすいインターフェイス、著作権の切れたパブリックドメインの作品は商業的に使用できるところも高く評価したいポイントだ。
おのれの「趣味」を振り返って
底が浅すぎる解説を書いているうちに気付いた。自分は「調べもの」が好きッ!と表明しつつも、その本質は美術館や骨董市を流し見する程度なのだろうなあと。
デジタルライブラリーを活用した「趣味としての調べもの」界のレジェンド、“まいぼこ”(「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本)の著者、山下泰平先生ほど気合いを入れて調べものをしているわけではないし、なあ。