日本代表ブランドとしての矜持を伝えるセイコー/バーゼルワールド日誌 5

2019.03.29


 バーゼルワールド開催初日である3月21日の朝。セイコーのプレスカンファレンスが行われました。
 世界中から集まった数百名のプレスを前に、堂々たるプレゼンを行うのは高橋社長をはじめとする幹部の皆さん。グランドセイコーでは"Japanese sence of time"という言葉とともに、プラチナモデルに施した通称"雪白"のモチーフとなった信州の山々や、工房のある岩手県雫石町などの自然美、職人たちが生み出す伝統美を伝えます。




 中盤に紹介されたのは、2016年より本格的なグローバル展開を行うプレザージュ。日本の伝統工芸である七宝や琺瑯、漆に続き、新作では日本初の磁器として400年の歴史を持つ佐賀の有田焼が採用されました。
 通常の有田焼と比べて4倍以上の強度を持つ、というダイアルの製造方法や強さを伝えるのは、セイコーPRチームによる渾身の寸劇。熱が伝わります。


 終盤に満を持して登場したのは、「プロスペックス LXライン」の開発アドバイザーを務めた奥山清行さん。奥山さんはフェラーリやアルファロメオなどのカーデザインをはじめ、プロダクトデザインの分野で活躍する世界的デザイナーです。
 既存モデルよりもケースの重心を下げて装着性を向上し、ケースにザラツ研磨が施されたプロスペックス LXライン。1968年のプロスペックスの意匠を受け継ぎつつ、高級機としての存在感が強まっています。




 奥山氏は後日行われた懇親会にも、セイコー社員と揃いの法被を羽織って登場。写真は参加していた松山猛さんとの1枚です。
「初めて手にした腕時計は父親に買ってもらったセイコー ファイブ、学生時代の思い出はアルバイト代を貯めてセイコー ダイバーを購入したこと。思い入れの強いブランドだけに、これからも私の『考え方のデザイン』をしっかりとセイコーに伝えていくつもりです」と話す奥山さん。
 技術力はもはや世界の知るところであるセイコーに、奥山さんのデザイン力が融合していく。セイコーの魅力はますます加速しそうです。


文、写真:高井智世