1時間にテンワが左右に振れる回数のこと。一般的に2万1600振動/時より上を高振動、以下を低振動という。振動数が高まるほど外乱と脱進機誤差の影響を受けにくくなり、時計の精度は良くなる。しかし振動数が高まると油の潤滑が難しくなるため、機械の摩耗が進む場合もある。19世紀初頭の懐中時計は1万4400振動/時だったが、後半には1万8000振動/時が実現し、1950年代には1万9800振動/時となった。3万6000振動/時の登楊は67年。70年代初頭にかけて一世を風靡したが、潤滑の問題が生じたため、現在は2万8800振動/時が主流となっている。時計師によって見解は様々だが、携帯時計に向く振動数の下限は1万8000振動/時と言われている。なおテンワの質量を変えないまま振動数を2倍に上げようとした場合、主ゼンマイのトルクは4倍強くする必要がある。