時計用語辞典

滑りバネ

Slipping spring

主ゼンマイに取り付けられた部品のひとつで、香箱の中をスリップさせるもの。ゼンマイの巻き過ぎを防止し、ゼンマイ切れやトルクが強くなりすぎることを避ける。1867年、パテック フィリップが特許を取得、自動巻きの発明にあわせて普及した。現在ほとんどの自動巻きが、滑りバネを備えた主ゼンマイを持っている。ただし滑りバネが滑りすぎるとトルクが落ち、滑らないとトルクが強すぎてしまうため調整は難しい。自動巻きを手で巻くとしばしばパチパチ音がするが、これは滑りバネが香箱の中で滑っている状態。