天文学的な情報を備えた時計で、太陽、月、十二宮、惑星の相対的な位置を示す機構などを備えている。明確な定義はないが、太陽や惑星などの位置測定のために使われたアストロラーベを自動的に表示する機構を備えたものが天文時計といえる。15世紀以前のものは水力や錘を動力源にしたとされる。世界初の精密な天文時計は、イタリア人ジョヴァンニ・ドンディ(1318〜1389年)が設計した通称「ドンディ・クロック」といわれており、現物は残っていないが、1990年代にルードヴィヒ・エクスリン博士が設計図から忠実な再現を行った。なお現在最も複雑な天文時計と称されるのは、ノルウェーのラスマス・ジョナサン・ソーメス(1893〜1967年)が製造した「クロックNo.4」(67年)。太陽、月、十二宮、などに加えて、黒点の表示も可能。2002 年にサザビーズのオークションに出品され、匿名のコレクターが落札した。