アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維のこと。軽くて硬いという特性を持つが、製造コストが高く、再利用が不可能である。比重は約1.8。鉄の7.8に比べて約4分の1しかないため、時計のケースやムーブメントの素材に使われることが増えてきた。なお、時計業界で採用するカーボンは、大きく2種類に分けられる。ひとつは、自然乾燥させて作る通称ウエットカーボン。製造コストは抑えられるが、加熱して成形する通称ドライカーボンに比べて、耐久性に劣るほか、比重も高くなる。一方のドライカーボンは、加熱して成形するもの。コストは高くなるが、耐久性に優れ、極めて軽い。カーボン素材の採用で知られるのは、リシャール・ミルである。