2022年、ゼニスは1/10秒を計測できる高振動ムーブメント、エル・プリメロ 3620を搭載する「デファイ スカイライン」を発表した。1年後、そのシリーズに追加されたのが、文字盤にオープンワークが施された「デファイ スカイライン スケルトン」である。今回は、watchtime.comによる着用レビューをお届けしよう。
10分の1秒を計測できるエル・プリメロ 3620を搭載した「デファイ スカイライン スケルトン」
もしあなたが、現代社会のスピードの速さに真摯に向き合うのであれば、腕時計には「デファイ スカイライン スケルトン」をおすすめする。この時計をひと目見ただけで、きっと心を奪われるはずだ。
まず、6時位置で軽快に回る針に目がいくだろう。そして、カウンターの上部に「10」の表示があることに気がつけば、この針は10秒で1周するのだということがわかる。
自動巻き(Cal.エル・プリメロ 3620)。30石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。セラミックケース(直径41mm)。10気圧防水。217万8000円(税込み)。
搭載されている自動巻きムーブメントのCal.エル・プリメロ 3620は、5Hz(3万6000振動/時)で駆動する。つまり、小さな針はサブダイアルを10秒で1周し、10分の1秒を刻むことができる。
「デファイ スカイラインは、ユニークで未来的なデファイ・コレクションの新たなモデルとして2022年に誕生しました。秒単位が決定的な要因となり得る、ハイペースで進む現代の世界ためにデザインされています」と、ゼニスはデファイ スカイラインの発表に際し述べている。
今回の着用レビューにあたり歩度測定器で日差を計測してみたところ、完全に巻き上げられた状態では5秒の進みとなった。そのまま24時間が経過すると、わずか1秒に縮まった。デファイ スカイライン スケルトンにはいわゆる“通常”の秒針がないことから、ゼニスはただ時間を追い求めるのではなく、ゆったりと時間を刻むこともできると示していることが分かる。
スケルトン仕様の文字盤には、幾何学模様が施されている。4つの角を持つ星形は、1960年代にゼニスが用いていた「ダブルZ」ロゴを連想させる。10時位置と11時位置の間からはテンプの振動を、6時位置からはインダイアルの針を動かす歯車の動きを見ることができる。また9時位置近くからは、シリコンを採用したエスケープメントも見ることができる。オープンワークだからこそ、これらが3万6000振動/時で駆動する様子を鑑賞することができるのだ。
10分の1秒の測定を可能とする機構は、2019年に発表された限定モデル「エル・プリメロ クロノマスター2」で披露されたエル・プリメロ 3600で開発されたもので、その2年後の「クロノマスター スポーツ」でようやく量産化された。しかし、どちらのモデルでもクロノグラフ針はセンターに配され、10秒で一周するものであった。エル・プリメロ 3620では、この構造をスモールセコンド針表示に適用し、同時に複雑機構であるクロノグラフを排除したのだ。
トランスパレント式のケースバックと星形のローター
文字盤側のスケルトン仕様に加えて、ケースバックもトランスパレント式となっている。サファイアクリスタル製のケースバックを固定しているのは、六角形の4本のネジだ。ケースバック側から鑑賞できるのは、ゼニスの星のモチーフを象った、両方向回転巻き上げ式のローターである。裏蓋はベゼルと同様に12角形をしており、デファイ スカイラインを特徴づける構造が取り入れられている。
デファイ スカイライン スケルトンのケースは、100mの防水性能を保持する。ケースの形状は1960年代のファーストモデルにあった、幾何学的な八角形からインスピレーションを得たものだ。ベゼルの土台部分は12角形をしており、ケース、ベゼルともに表面にはサテン仕上げ、側面にはポリッシュ仕上げが施されている。フランジ部分には12本のバトン型アプライドインデックスが取り付けられている。インデックスと時分針にはスーパールミノバSLN C1が塗布されており、暗い場所でも高い視認性を確保している。
八角形のケースと、12角形のベゼルを組み合わせた印象的なフォルムが、ゼニスのスターを配したねじ込み式の五角形のリュウズと、しっかりと固定されたエンドピースによってまとめ上げられている。
ゼニス独自のストラップ交換システムを搭載
ゼニスのクイックストラップチェンジ機構は、エンドピースに設けられたプッシュボタンを押すことで機能する。6時位置と12時位置に取り付けられたエンドピースは、それぞれ2本の六角ネジで表からは目立たないように固定されている。ストラップの先端は、ブランド独自の方法で簡単かつ強固に固定されているのだ。
クイックストラップチェンジ機構と同様に、両開きのフォールディングクラスプも構造的に洗練されている。人間工学に基づき設計されたこのクラスプは手首にフィットし、腕時計が前方に傾くことを防ぐ。現在、デファイ スカイライン スケルトンはステンレススティールモデルと、ブラックセラミックスモデルのふたつのケース素材で展開されている。
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