時計を購入する際、どんな視点を大切にしているだろうか。デザインや機能など、選択のポイントはさまざまだが、「パーソナルカラー」の視点を提案したい。上手にパーソナルカラーを取り入れることで、相手に与える印象は大きく変わる。今回はキングセイコーを例に、パーソナルカラーの視点で選びたい時計およびストラップとの組み合わせについて解説する。
Supervision and Photographs by Mutsuyo Ito
鶴岡智恵子:文
text by Chieko Tsuruoka
[2023年9月9日掲載記事]
パーソナルカラーで時計をどう選ぶ? カラーコーディネートとの違いも解説
新しく時計を購入しようと思った時、どのモデルをどんな視点で選ぶのかは、各人各様だ。デザインや機能が大きなポイントとなるだろうが、今回は、「パーソナルカラー」に合わせた時計選びを提案したい。
パーソナルカラーについて解説するとともに、多彩なカラーダイアルやストラップが楽しめるキングセイコーを例に用いて、パーソナルカラー別に合わせたいモデルとストラップを紹介する。
パーソナルカラーとは? カラーコーディネートとは違う?
パーソナルカラーとは、自身と相性の良い色のことだ。しかし、個々の感覚や好みで相性を判断するわけではない。人間の視覚には、錯視という特性がある。錯視は、あるモノの形や大きさ、色などが、実際とは違った見え方として知覚されることだ。パーソナルカラーは錯視を活用し、自身の見え方や印象をコントロールする。
では、自身のパーソナルカラーを知るには、どうすれば良いのだろうか。
まずは、自身のタイプを知ろう。私たちは、肌や髪、瞳に個々の色素を持つ。この色素タイプが、4種のグループに区分できる。春・夏・秋・冬だ。各グループには特徴があるが、さらに大まかに「イエローベース」と「ブルーベース」に分けられる。春・秋がイエローベースで、夏・冬がブルーベースだ。タイプによって相性の良い色がパーソナルカラーとなる。例えばイエローベースは黄みの強い肌で、ゴールドカラーが似合う。ブルーベースはピンクが強い肌で、シルバーカラーが似合う傾向にある。
プロの細かい診断を受けることで、より自身に合ったパーソナルカラーを選ぶことができるが、イエローベースかブルーベースかを知っているだけでも、色との上手な付き合いに寄与するだろう。
簡易的な診断を載せる。当てはまる項目が多いタイプの、パーソナルカラーを取り入れてみよう。
・春タイプ(イエローベース)
肌の色素は薄めで、ツヤ感がある
地毛は焦げ茶で、艶がある
日に当たると赤くなり、元に戻りやすい
オレンジ・イエローの服を着ると顔色が良くなる
明るい暖色が似合うと言われる
ツヤのあるイエローゴールドが似合うと言われる
・夏タイプ(ブルーベース)
肌の色素は薄めで、マットな質感
地毛は黒く、細めで柔らかい
日に当たると赤くなり、元に戻りやすい
グレー・ラベンダーの服を着ると透明感が出る
スモーキー(くすみ)色が似合うと言われる
マットなシルバー・パールが似合うと言われる
・秋タイプ(イエローベース)
肌の色素は濃いめで、マットな質感
地毛は焦げ茶。太く硬めでマットな質感
日に当たると、焼けやすい
カーキ・テラコッタの服でも顔色がくすまない
スモーキー(くすみ)色が似合うと言われる
マットなイエローゴールドが似合うと言われる
・冬タイプ(ブルーベース)
肌の色素は濃いめで、ツヤ感がある
地毛は黒く、太めで硬く艶がある
白眼と黒眼のコントラストがハッキリしている
日に当たると、焼けやすい
ビビット色・モノトーンが似合うと言われる
ツヤのあるプラチナ色が似合うと言われる
また、イエローまたはブルーの布や画用紙を敷いた簡易診断方法もある。布の上に手を置き、くすみなく肌色が映える方が自身のタイプとなる。
パーソナルカラーとカラーコーディネートの違い
カラーコーディネートは色と色との組み合わせを調整し、調和させることだ。自分自身の色素タイプと相性の良い色を指すパーソナルカラーとは意味が異なるが、カラーコーディネートも意識することで、バランスの取れた着こなしを可能とするだろう。
カラーバリエーション豊富なキングセイコーで実践! 自分に似合う一本とは?
文字盤色が豊富なキングセイコーを例に、パーソナルカラーを取り入れたモデル選び、そしてストラップの組み合わせを提案する。イエローベース・ブルーベースそれぞれのタイプに合っていることはもちろん、健康的に見える色を選定した。なお、ここで言う「健康的」とは、肌がくすみづらい、粗が目立ちづらいなどの意味合いだ。
また、キングセイコーは5連ブレスレットが搭載されているが、別売りで多彩なストラップがある。文字盤・ストラップの組み合わせでも、パーソナルカラーを意識することで、1色のみの時にはなかった効果が生まれてくる。
パーソナルカラーを視点に取り入れつつ、文字盤の色とストラップで上手にコーディネートして、印象を変えるのも面白いだろう。
今回はキングセイコーの各文字盤色、そしてストラップを例として用いているが、ぜひ似た色の時計やストラップを検討しているユーザーは、組み合わせを参考にしてほしい。
イエローベースに合わせたい。SDKS015
アイボリー文字盤には、絹のような格子模様がヘアライン仕上げで表現された。かつてキングセイコーのヘリテージモデルに使用されていた「絹目模様」をオマージュしている。
自動巻き(Cal.6R55)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。10気圧防水。23万1000円(税込み)。
イエローベースに合わせたいモデルとして、アイボリー文字盤のSDKS015を取り上げる。SDKS015は2023年3月からセイコーが発売しているモデルだ。従来のキングセイコーにはなかった温かみを感じる文字盤色を特徴とする。シャープな線の多いキングセイコーに、柔和な印象をもたらしている。
黄みを多く含むアイボリーは、イエローベースの肌色を健康的に見せる。
さらに、ストラップのコーディネートによっても、また印象は変わっていく。
イエローベースのユーザーがキングセイコー SDKS015のストラップを選ぶなら、ブラウン(XSL00519)、ベージュ(XSL01319)が合わせやすい。
イエローベースに合わせたい、と前置きしたが、ブルーベースもストラップとの組み合わせによってアイボリー文字盤を存分に楽しめる。
ブルーベースタイプがアイボリー文字盤にストラップを組み合わせるなら、ダークブラウンやネイビーがお勧めだ。特にネイビーはブルーベースに合わせやすい。
ブルーベースに合わせたい。SDKS017
深みのあるダークブルー文字盤が落ち着いた雰囲気のモデル。サンレイ仕上げによって、華やかさも与えられている。
SDKS017も、23年3月から発売されている新しい文字盤色のモデルだ。人気の高い、深みを持ったダークブルーの文字盤色は、キングセイコーのベーシックなデザインと併せて、誠実な印象を本作にもたらしている。
そんなダークブルーは、ブルーベースの肌色を健康的に見せやすい。
ストラップには同系色のネイビーを合わせるのがお勧めだ。キングセイコーのストラップなら、XSL01519がブルーベースにマッチする。また、青みの強いレッドを合わせることで、肌がくすんで見えづらくなる。
イエローベースには、このタイプが得意なダークブラウン(XSL00719)やブラウン(XSL00519)を選ぶことで、ブルーに温かみを添えて合わせやすくなる。
タイプによって異なるパーソナルカラーだが、色の組み合わせで違った印象を生み出すことが分かる。
ストラップ次第でどちらのタイプにも。SDKS019
グリーン文字盤にも、サンレイ仕上げが与えられた。定番外しの色と思いきや、実はイエローベースにもブルーベースにも合わせやすい。
近年、時計業界のトレンドであるグリーンの文字盤色。コーディネートが難しそうだが、実はストラップ次第でイエローベースにもブルーベースにも合う色となる。
イエローベースに合わせるなら、ベージュ(XSL01319)やブラウン(XSL00519)ストラップがお勧めだ。
ブルーベースであれば、ブラック(XSL00319)とグレージュ(XSL00919)が良いだろう。
イエローベース、ブルーベースともに、グリーン文字盤を楽しんでほしい。
パーソナルカラーを取り入れて時計選びを楽しもう!
タイプによって異なるパーソナルカラーを取り入れると、いっそう自身に似合う、そして他人に与えたい印象へと自身を近づけることができる。そんなパーソナルカラーを知って、時計選びにも活かしてみてはいかがだろうか。
なお、セイコーのホームページでストラップのシミュレーションを楽しめるので、時計とストラップ選びの参考にしてほしい。
監修者のプロフィール
伊藤むつよ
時計とジュエリーに特化したコンサルタント。催事会場・ブティックでのコンサルティングや色彩監修・色彩セミナー開催に加えて、実践型販売接客セミナーも行っている。時計メーカーの現役色彩監修者。J-color認定講師、カラーセラピスト、時計修理技能士2級などを保有。
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