オリエントスター 不変の価値と先鋭の意匠

2023.10.12

2021年にブランドの誕生から70年の節目を迎えたオリエントスターは2023年、コレクション体系を一新し、本格的に次のステージへと突入した。新設された「Mコレクションズ」は、ブランド名に込めた時計製作に対する想いはそのままに、新たに独自の物語を加え、オリエントスターの魅力をより鮮明に表している。

M34 F7 セミスケルトン

M34 F7 セミスケルトン
白蝶貝とグラデーション塗装によってオーロラを表現したダイアルと、ペルセウスをイメージした力強いケースが組み合わさることで、M34コレクションが掲げる先鋭的なデザインを実現。ピッチの短いH駒ブレスレットにより、装着感は実に滑らか。自動巻き(Cal.F7F44)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。14万3000円(プレステージショップ向けクロコダイル製替えベルト付きモデルは15万4000円)(税込み)。
奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama
竹石祐三:取材・文 Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2023年11月号掲載記事]


〝M34〟に込められたオリエントスターの新たなる物語

 1950年に腕時計の製造を開始した多摩計器が、51年にオリエント時計へと社名を改称し、同年に誕生した国産機械式時計ブランド「オリエントスター」。クォーツ時計の台頭を経て、90年代にブランドを再始動。2021年には誕生70周年を迎えるに至った。

M34 F7 セミスケルトン

サファイアクリスタル風防には特許取得技術であるSAR(両面無反射)コーティングが施される。多層膜により表面の耐傷性を高め、汚れも付きにくいため、時刻が読み取りやすいことはもちろん、幻想的なダイアルの表情も愉しめる。
M34 F7 セミスケルトン

M34の由来となったペルセウスをイメージしたケースの造形。とりわけラグのクリエイションに顕著で、ポリッシュとサテン仕上げを組み合わせたシャープなデザインに力強さが感じ取れる。

 その代表的なデザインにスケルトンが挙げられるが、このクリエイションを取り入れた腕時計も、クラシカルなものからモダンなものまで多様。そのため近年では「クラシック」「コンテンポラリー」「スポーツ」といった外装デザインの方向性でコレクションを分類していたが、一方ではテイストの振り幅が広く、ブランドの柱が見えにくくなっていたのも事実だ。

 そこで今秋、オリエントスターは、主に10万円以上のモデルを対象にコレクションを再編。天文学者のシャルル・メシエが作成した、星雲、星団、銀河の分類であるメシエカタログの頭文字から命名された「Mコレクションズ」は、〝輝ける星〞と呼ばれる機械式時計を作りたいという、ブランド名に込められた想いを継承するのみならず、3つのコレクションそれぞれに新たな物語を与えることで、コンセプトの違いを明確にした。

Cal.F7F44

搭載するムーブメントは、日差+15~-5秒の精度と約50時間のパワーリザーブを備える自社製のCal.F7F44。シースルーバックから丁寧な仕上げが確認できるほか、ダイアル9時位置の窓からは、意匠登録された特徴的なフォルムのテンプ受けも見られる。

 ブランド誕生70周年を機に、次代にふさわしいモダナイズされた腕時計を発表し続けるオリエントスターは、Mコレクションズの新設によって、本格的に次のステージへと歩みを進めた。

 その第1弾を象徴するのが「M34 F7 セミスケルトン」だ。M34は、ペルセウス座のメシエ番号が付与されたコレクションで、星座の由来となったギリシャ神話の英雄ペルセウスをイメージした、力強いディテールを持つ先鋭的な腕時計をラインナップする。このモデルも、ラグの造形にエッジを効かせたり、ポリッシュとヘアラインで仕上げ分けされた時分針をセットしたりするなど、腕時計全体にシャープでモダンな雰囲気を与えているが、これに加えて本作をより印象的にしているのが、オーロラに着想を得たダイアルである。

M34 F7 セミスケルトン

白蝶貝の表面にブルーグリーンとブルーのグラデーション塗装を施し、神秘的なオーロラの情景を表現したダイアル。
M34 F7 セミスケルトン

2022年以降に発売されたブレスレットモデルと同様、ピッチの短いH駒のブレスレットを採用。手首へのなじみが良く、快適な装着感が得られる。

 ダイアルに用いられているのは、オリエントスターでも幾度となく使われてきた白蝶貝。薄くスライスした白蝶貝の表面にまずはブルーグリーン、さらに12時側と6時側に濃いブルーを施すことでグラデーションを表現し、ダイアルに浮かぶ白蝶貝の模様と組み合わさることで、まさにオーロラカーテンのような神秘的な表情を生み出している。加えて、9時位置の窓をカットしたり、インデックスをセットしたりする加飾の工程は、極薄の白蝶貝が破損する可能性もあり、高い技術力が要求される。さらに、ブラウンとチャコールグレーのグラデーションダイアルも用意され、カラーダイアルを得意とするオリエントスターの真骨頂は、ここでも見事に体現される。

 ダイアルの独創的な色調によって、ルックスの斬新さだけではなく、新たなコレクション体系のコンセプトも明確に表現したM34 F7 セミスケルトン。それはオリエントスターの新章を見事に描き出した象徴的モデルと言えるだろう。

M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン

M42 ダイバー1964 2ndエディション F6 デイト 200m チタン
海神ポセイドンの子、オリオンを示すM42を付与したコレクションが展開するのはダイバーズモデル。2022年と23年3月発売の「ダイバー1964」に次ぐ本作は、ケースとブレスレットに純チタンを採用し、SSモデルよりも約35%も軽量化。自動巻き(Cal.F6N47)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。Tiケース(直径41mm、厚さ14.3mm)。200m防水。17万6000円(税込み)。
M45 F7 メカニカルムーンフェイズ

M45 F7 メカニカルムーンフェイズ
プレアデス星団(すばる)を表すM45のナンバーが与えられたコレクションは、普遍的で品のあるデザインが特徴。このモデルでは白蝶貝と円周グラデーションを組み合わせ、オリエントスターの製造地である秋田県の田沢湖で見られる秋夜の情景を表現。自動巻き(Cal.F7M65)。22石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.8mm)。5気圧防水。22万円(税込み)。数量限定。

Contact info: オリエントお客様相談室 Tel.042-847-3380


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