今、日本の時計作りが面白い。大手のみならず、日本発の新興ブランドや時計師が市場に投入するプロダクトは、国内外で注目されている。そんな日本の時計作りにおいて存在感を示し始めたブランドがバティックスだ。バティックスは、オーナーの個性を反映させたカスタムジュエリーウォッチという、新しいスタイルを提案する。
アライブ最新世代となる、v3のヘリテージブラックモデル。ダイヤモンドのファセットがモチーフとなったベゼルは梨地と鏡面がコンビネーションされており、質感は良い。文字盤デザインと併せて、モダンシックだ。自動巻き(Cal.SIINE20)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。SSケース(直径43mm、厚さ15.3mm)。5気圧防水。86万9000円(税込み)。
鶴岡智恵子(本誌):取材・文 Edited & Text by Chieko Tsuruoka (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2023年11月号掲載記事]
京都発。ジャパンメイドの新章
京都に本社を置くジュエラー、ジェムケリーによって創設された時計ブランドがバティックスだ。国内サプライヤーの協力の下、ユニークなデザインとジュエラー由来の審美性を両立させた、本格機械式時計の製造・販売を行っている。
「アライブ」は、バティックスが2014年から展開しているコレクションだ。そのユニークさは、カスタムジュエリーウォッチというコンセプトにある。リュウズにダイヤモンドなどの貴石をオプションとして配することで、オーナー自ら時計をカスタムするという発想を取り入れた。ジュエリー業界には手持ちのジュエリーを〝リフォーム〞して新しいスタイルに作り直す手法が浸透しており、アライブはジュエラーを親会社に持つバティックスらしい試みだ。
アライブは19年、主にベゼルのデザインが改良されたv2へと変遷した。そして23年、v3によっていっそうの進化を果たす。
v3の主な進化は「パッケージング」と「カスタマイズ性」に現れている。アライブはv2でデザインを大きく刷新し、ダイヤモンドのファセットをモチーフとしたベゼルをあしらった。v3では、このベゼルデザインはそのままに、外装のモダナイズと実用化が図られている。
まずステンレススティール製ケースはIP加工によって、シックな印象の強いオールブラックに仕上げられた。またv2と比べてケース厚は約1.2mm薄くなり、明らかに洗練された。さらに時刻や日付調整の際、リュウズの引き出しがよりスムーズになったことを実感した。ユーザー目線での改良が好ましい。
カスタマイズ性の進化にも注目したい。リュウズに任意で貴石をセットできるアライブの特徴を一歩前進させ、v3では針のカラーもカスタムできるようになった。選べるカラーは赤、青、黄、緑、シルバー、ピンクゴールドの6色。なお、視認性のみならず文字盤の判読性にも配慮し、v3からはサファイアクリスタル風防に無反射コーティングが施された。もちろん、リュウズに貴石をセットできるオプションも引き続き楽しめる。選べる貴石はダイヤモンド、ルビー、パライバトルマリンなど、豊富だ。
価格は86万9000円。この価格帯には国内外で競合ブランドが多く、多彩なモデルが展開される。しかし、オーナーの個性をアクセントとした「私の一本」という選択肢、そして進化を続けるパッケージングは、メジャーとは異なる好事家の感性と所有欲を大いに刺激するだろう。
アライブ v3にはヘリテージレッドモデルもラインナップされている。彩度の高い赤が中央にあしらわれ、シックなデザインに華やかさを添える。アリゲーターストラップのステッチは、文字盤に合わせて赤が採用された。ムーブメントはv2から引き続き、TMI製Cal.SII NE20が搭載される。パワーリザーブ表示と日付、曜日表示を備えた実用的な多機能機である。
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