『クロノス日本版』の編集部員が話題のモデルをインプレッションし、語り合う連載。今回は、編集長の広田雅将、副編集長の鈴木幸也、細田雄人、そして土井康希の4人で、G-SHOCK誕生40周年を記念したリクリスタライズドシリーズの「GMW-B5000PG-9JR」を着用した。ステンレスを再結晶化し深層硬化処理を施すことで、初代モデルのデザインのまま、まったく新しい外観を生み出した。
阿形美子:文 Text by Yoshiko Agata
2023年10月20日掲載記事
斬新な外装のフルメタルG-SHOCKが登場
細田「今回、皆さんに着けてもらったのは、G-SHOCK40周年記念モデルの『GMW-B5000PG-9JR』。リクリスタライズドというシリーズ名の通り、部品形状に加工したステンレスパーツに熱を加えて再結晶化させ、さらに、深層硬化処理を施しています」
鈴木「だから独特な質感があるんだね」
細田「深層硬化処理というのは、炭素を表面層に浸透させて硬質層を生成する技術で、被膜を作るのではなく素材自体を硬化させることで強度を高めているそうです。ただ、表面にはさらにIP(イオンプレーティング)などのコーティングが施されているので、手触りはツルツルっとしていますね」
G-SHOCK誕生40周年を記念したフルメタルモデル。初代「DW-5000C」のデザインはそのままに、ステンレススティールの外装に再結晶化と深層硬化処理を施すことで、独特の輝きと従来の3倍の硬度を得た。結晶粒に差が生じるため、1本ずつ異なる表情となる。クォーツ。タフソーラー。SSケース(縦49.3×横43.2mm、厚さ13mm)。20気圧防水。12万1000円(税込み)。
鈴木「普通のフルメタルより面白い見た目だし、腕当たりも全体的になめらかで、袖口の邪魔にならない。そういう意味では、見て楽しいし触っても実用的で、メタルの中では新感覚で良いですね」
土井「バックルを見ると、ここだけヘアライン仕上げになっています。これって多分、硬化処理をしてから加工しているんだと思いますが、それでもキラキラが残っているので、深層まで処理が届いている証拠だなと思いました」
鈴木「確かにそうだね」
細田「なお、リクリスタライズドシリーズのフルメタルは、金と銀の2色展開です。今回は、全員に金を試してもらいましたけど、どっちの色が好みですか?」
広田「金でしょ!」
鈴木「だよねー」
細田「実際、金の方が圧倒的に人気だそうです」
土井「自分の好みは銀です(笑)」
鈴木「若いと銀を選ぶかもね。僕も若かったら銀だったと思う(笑)」
変色は洗ってケアすれば解決!?
細田「さて、僕の記録が曖昧なんですけど、今手元にある状態だとブレスレットとヘッドの色味が微妙に違うじゃないですか? 最初からこうでしたっけ?」
鈴木「元は違ったはずだよ」
土井「僕も言おうと思ってたんですけど、この素材、手の油とかが付くと色が変わりますよね?」
広田「でもこれ、表面処理してるから、洗ったら多分落ちますよ! (洗いに行く)」
鈴木「でもこれで洗って色が戻るなら、ブロンズみたいに個体差とか、経年変化を楽しめば良いんじゃないかな」
広田「(戻ってきた)中性洗剤で洗ったら戻りましたよ!!」
鈴木「まったく違うじゃん(笑)。再結晶加工で表面に油とかが留まりやすいのかもしれないけど、表面はコーティングされてるから、汚れてもキレイに落ちるんだね。これって防水性は?」
細田「200mですね」
鈴木「200mあれば洗ってもまったく問題ないね」
きらめきつつマットな質感が大人にちょうど良い
細田「それから、実はこの座談会でオリジンのフルメタルは取り上げたことがなかったんですけど、実際に着けてみてどうでしたか?」
広田「前に討論会をしたのはMR-Gでしたね。あれは良かった……」
細田「でも、このモデルとは価格が30万円くらい違いますからね」
広田「僕はこのモデル、結構好きです」
鈴木「この10万円ちょっとっていう価格帯の中では面白みもあって、変化を求める人には良いんじゃないかと思います」
細田「価格の話で言えば、フルメタルのG-SHOCKって7万7000円からスタートして、これまで10万円を超えるのはチタン素材のものでした。このモデルはステンレススティールに加工をした外装で12万1000円ですけど、価格のバランスについてどう思いますか?」
鈴木「個人的には問題ないと思うけど」
広田「良いんじゃないかと思います。個人的には、チタンではないフルメタル系としては、MR-Gは別としてこれが一番好きですね。キラキラしてるんだけれども、光り方は抑えられていて、なんか絶妙な感じ」
鈴木「確かに、ツヤ消しになってるから、しつこくないですよね」
土井「ベーシックのフルメタルは鏡面仕上げですからね」
鈴木「鏡面も高級感があるけど、こっちのマットな感じも良い」
土井「はい。たまに、ベーシックのフルメタルをスーツスタイルに合わせてる人を見るんですけど、それだと腕元だけ浮いている気がするので、こっちの方が合うのかもしれません」
鈴木「光り方は控えめでも表面のニュアンスを楽しめるからね。ちょっと近未来感と中東的なラグジュアリー感があるよね」
細田「中東ラグジュアリー(笑)。でも、いわゆるストリート系のファッションには絶対にハマるルックスです」
鈴木「チェーンブレスとかとの重ね付けにも良さそう」
ハズしモデルと思いきや、その高い完成度に納得!
細田「さて、実際に着用してみての意見はどうですか?」
土井「使い勝手で言えば、ソーラーなのは便利ですよね」
細田「時刻合わせもBluetoothでスマホと同期させれば調整不要だしね」
土井「スマホ画面からストップウォッチやタイマーの設定ができるのも良いです」
細田「そうだね。時計本体のボタンだと細かい作業になるけど、スマホからだと楽です」
土井「着用感については、1コマ目の角度が足りなくて、腕の細い人が着けると浮くんですよね。そこは残念です。コマはたくさん外して調節できるので、一コマ目があと2〜30度曲がってくれていると良いんですが」
細田「それはメタルだけの話なのかな? ラバーもそう?」
広田「ラバーストラップは柔らかいから気合でもっていけますよね(笑)。メタルだと1コマ目がガチっと留まっているから頑強さはあるけど、その分、着ける人の腕を選ぶことになってます」
鈴木「日本ブランドだから腕の細い人にもうちょっと配慮があっても良いかもね」
細田「ただ、さっき土井くんが言っていたように、コマの調整は非常にやりやすいですね。ピンの両端がバネ棒状になっているから、片側ずつ押していくとポンっと取れる。だから、専用の工具はいらなくて、何なら爪楊枝一本でも外せちゃう。こんなに簡単なのに、耐衝撃性が求められるG-SHOCKで採用されているってことは一定の水準はクリアしているわけだから、スゴい」
土井「ブレスレットのコマの遊びも耐衝撃性を考慮したものですよね」
広田「そうですね。あんまりガチガチにしてないってのもG-SHOCKらしいです」
鈴木「確かに、衝撃がそのまま伝わっちゃうとマズいしね」
広田「ヘッドも重いかと思ったけど意外と軽いし、一見すると遊んでるけど、質感とか耐衝撃性とか、ちゃんと作られてるのが伝わってくる。なんだかんだで完成度高いということは改めてわかりました」
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