1888年にスイス・ルツェルンで創業した、老舗宝飾時計店「ブヘラ」。多様な取り組みで時計愛好家を魅了し続けるブヘラが現在力を入れているのが、ブランドの垣根を越えて厳選した時計を展示、販売する「マスターワークス」の部門拡充だ。今回は、世界のいくつかのブティックで展開されているこの取り組みについて紹介しよう。
[2023年11月1日公開記事]
ブヘラが厳選した時計を扱う「マスターワークス」部門
ブヘラは「マスターワークス」において、日常生活の中のアートと腕上のアートの架け橋を築き、オートオルロジュリーの卓越したマスターピースのための現代的なステージを誕生させた。マスターワークスでは、有名ブランドやニッチブランドの厳選された時計を堪能することができる。
チューリッヒ、ベルリン、ロンドン、ラスベガスといった大都市の中心部に、ブヘラは自らの旗艦ブティックを構え、その中に常設の「マスターワークス」コーナーを展開している。2023年末までに、マスターワークスを10ヵ所近く設ける予定だ。
このコーナーでは、大手ブランドや新進気鋭のニッチブランドから厳選された腕時計の展示が行われる。これらのブティックは、時計コレクターや愛好家にとって魅力的な場所となり、時計製造の芸術を愛する人々が情熱を分かち合うだけでなく、厳選されたセレクションに驚かされ、インスピレーションを得る場ともなっている。もちろん、これらの特別な作品は購入も可能だ。
ブヘラが何よりも重視しているのは、発見と体験が最前線にある環境を作り出すことである。1888年創業のブヘラは、自らを単なる販売者ではなく、美術館や美術展のようなキュレーターであると考えている。ブヘラは「マスターワークス」というコンセプトのもと、最高の時計芸術を提供している。これは、文脈や説明、そして何よりも時計愛好家の想像力の境界を広げる新たな衝動に対する長年の要求を満たすものだ。マスターワークスによって、ブヘラは魅力的なオートオルロジュリーの世界に足を踏み入れ、世界中のさまざまなブランドの最も重要なサプライヤーのひとつとして、その強みを発揮することができる。
トゥールビヨン、トランスパレント/スケルトン加工、カレンダー表示、ニッチの4つのカテゴリー
マスターワークスに展示されるタイムピースは、際立った特別感、高い水準の製造技術、そして強い個性を備えている。これらの共通点をふまえて顧客体験を構築するため、ブヘラはマスターピースを4つのカテゴリーに分類している。トゥールビヨン、トランスパレント/スケルトン加工、カレンダー表示、そしてニッチである。
例えばトゥールビヨンのカテゴリーには、ピアジェの「アルティプラノ トゥールビヨン」や、カール F. ブヘラの「マネロ トゥールビヨン ダブルペリフェラル」、H.モーザーの「エンデバー トゥールビヨン」、ショパールの「L.U.C フライング T ツイン」などが含まれている。
その他にも、ブレゲの「トラディション レトログラード デイト 7597」はトランスパレント/スケルトン加工のカテゴリー、IWCの「ポルトギーゼ パーペチュアルカレンダー」やジャガー・ルクルトの「マスター ウルトラスリム パーペチュアルカレンダー」はカレンダーのカテゴリーとして選ばれている。
ニッチのカテゴリーは特に魅力的である。この分野では、時計コレクターであっても驚くべき発見をする可能性が最も高いからだ。
例えば、ニューヨークのジュエラーであり時計ブランドでもあるジェイコブがスポーツカーメーカーのブガッティのために時計を作ったということは、すべての時計愛好家が知っている訳ではない。ジェイコブの「ブガッティ シロン トゥールビヨン」はこのコラボレーションを雄弁に語る事例で、それぞれの分野でトップの座を占める2社をひとつの時計で結びつけたものである。
スイス・ジュネーブを拠点とするブランド、ウルベルクもまた、時計製造における前衛的な存在の代表である。ウルベルクは、3本のアームにサテライト表示を備えた「UR-210 RG」のような、並外れた機械式時計を製造している。
ブヘラのマスターワークスは、機械式時計を愛する人々に、心地よさと同時にエキサイティングな時計体験を与えてくれる。ここではいろいろなモデルを見て、驚嘆し、悩み、そして思いがけず購入に至ることもあるだろう。しかしそれはコレクションに特別で個性的、そして技術的にも洗練されたマスターピースを与えてくれることになる。
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