タグ・ホイヤーは「カレラ」コレクションと、ポルシェのスポーツカー「ポルシェ911」がそれぞれ60周年を迎えたことを記念し、斬新なクロノグラフムーブメントを搭載した「タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェ」を発表した。本作は、初代ポルシェ911のスプリントタイムにインスピレーションを得て、世界で初めてとなる減速するクロノグラフ針を搭載している。
「カレラ」コレクションと「ポルシェ911」の60周年を記念するモデル
自動巻き(Cal.TH20-08)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径42mm)。100m防水。115万5000円(税込み)。
タグ・ホイヤーの「タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェ」は、自社の「カレラ」コレクションとポルシェを代表するスポーツカー「ポルシェ911」がそれぞれ60周年を迎えたことを祝うモデルだ。時を経て、両者はひと目でわかるデザインアイコンとなった。
タグ・ホイヤーとポルシェというふたつのブランドは、同じ年代のアイコニックなモデルを手掛けており、そのモデル名も同じである(一部のモデルでは911の場合)。ホイヤー家の4代目であるジャック・ホイヤーは、当時モータースポーツ用の時計としてクロノグラフをデザインし、その時計をメキシコの伝説のレース「カレラ・パン アメリカーナ・メキシコ」にちなんで名付けた。
今回のダブルアニバーサリーにあたって発表された、タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェ。タグ・ホイヤーは、1963年に発表された初代ポルシェ911の、当時史上最速だった0から100km/hの加速時間わずか9.1秒という驚異的な記録を本モデルで表現している。フランジは12時から4時にかけて赤色のアクセントが配されている。本モデルでは、カレラのクラシカルな外観を損なうことなく、ユニークな表示方法が用いられている。世界で初めてとなる、減速するクロノグラフ秒針が搭載されているのだ。
加減速するクロノグラフ秒針
加減速するクロノグラフ秒針というイノベーションを打ち出したタグ・ホイヤー。タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェのムーブメントは、中央のクロノグラフ秒針の運針を司るためにふたつのスネイル型歯車が使用された、独特の機構である。
フランジには、4分の1秒、2分の1秒、そして1秒の3つのスケールが配されている。計時の開始時点では、0秒から10秒の間を秒針が素早く動く。この最初の10秒間はズームされた表示になっており、4分の1秒スケールを正確に見て、計測することが可能だ。10秒から15秒までの間は2分の1秒間隔の表示で、それ以降は1秒単位から徐々に減速し、60秒に向けて帳尻が合うかたちだ。
搭載される新ムーブメントのCal.TH20‐08の2万8000振動/時(4ヘルツ)の振動数は、クロノグラフ秒針を1秒に8刻みで動かす。そのため1秒には4本のマーカーがあり、ポインターが正確にマーカーの上またはその間を示すようになっている。最初の15分は広く間隔が取られており、読み取りやすい。この方法では0.125秒単位で読み取ることができる。
もちろん、15秒から60秒の45秒間は、割けるスペースが少なくなる。4分の3ではなく、円形の目盛りの半分相当しかないのだ。10秒からは1秒間にわずか2本の線しかなく、15秒以降の線はまったくない。だが、これはスプリントタイムを計測するには理想的である。ポルシェ911にとって、1963年以来のすべての車両がこれで十分なものであるからだ。
基準となる初代ポルシェ911のスプリントタイムの9.1秒は、時代とともにどんどん速くなっている。現在の911カレラは、標準エンジンとしてわずか4.2秒で時速100kmに到達する。そのためタグ・ホイヤーは、特に停止とスプリント表示に優れたクロノグラフを搭載することを踏襲したのである。
Cal.TH20-08を搭載
ベースキャリバーのTH20シリーズは、高品質のコラムホイール制御機構、機能的に信頼性の高い垂直クラッチや、約80時間の長いパワーリザーブを保持する大型の香箱など、多くの優れた特徴を備えている。このムーブメント開発の起点は2011年に始まり、2013年にCal.1969という名称で発表され、直後にCH-80と改称された。その後、タグ・ホイヤーはさまざまな形でCH-80の最適化を行っている。
最も重要な改良点は、巻き上げ機構と針合わせ機構の歯車の改良と、より正確な日付設定である。2016年には、トゥールビヨン付きのホイヤー02Tバージョンとして発表され、その後トゥールビヨンなしのホイヤー02として発表され、2023年にはさらに進化してTH20シリーズとなった。
タグ・ホイヤーのムーブメント・ディレクター、キャロル・カザピは、その理由を次のように語っている。「次世代ムーブメントには、両方向巻上げを可能にするローターが搭載されました。TH20の全体的な仕上げは、革新的で技術的に高度かつエレガントな時計とムーブメントを創造するというタグ・ホイヤーのビジョンに沿って改良されています。私たちは、品質と長寿命という点で、ブランドの基準を底上げしたいと考えています」。
もちろん、技術的な品質がすべてではない。タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェは、レトロなデザインとポルシェ911のデザインを引用することで、印象付けることも目的としている。ケース、プッシャー、針の形状、そしてアプライド・バーインデックスと溝が刻まれたサブダイアルを備えたシルバーの文字盤は、初代カレラを想起させる。サファイアクリスタルの風防もまた、初期のヘサライトガラスの高いドーム形状を彷彿とさせる。
ポルシェ由来のデザイン
ポルシェからのインスピレーションも見逃せない。フランジに配された赤いラインは9.1秒まで伸びており、これは初代ポルシェ911のスプリントタイムを表わしている。ポルシェ911からのインスピレーションは、他の部分にも見られる。例えば、6時位置のスモールセコンドは、1970年代のポルシェを象徴するダッシュボードにちなんだもので、50km/h付近が強調表示され、市街地での推奨速度を示している。
ポルシェ911を連想させるもうひとつの特徴は、9時位置のアワーカウンターの赤い部分だ。これは最初の6気筒ボクサーエンジンの危険限界速度から来ており、これを超えるとダメージを受けるというものだ。6.8時間位置からの赤いラインは、6800回転/分という限界を意味する。サファイアクリスタル製ケースバックの下では3本のアームを持つローターが回転し、その形状は911のステアリングホイールをインスパイアしている。
タグ・ホイヤー カレラ クロノスプリント×ポルシェは、シルバーカラー文字盤のステンレススティールモデル、そしてベージュ文字盤のローズゴールドモデルがラインナップされている。いずれも911のエンボスが施されたカーフストラップが合わせられている。
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