“成功者の時計”。ロレックスのデイデイトがたどった歴史とその魅力を解説

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2024.08.18

ロレックスの「デイデイト」は誕生以来、ブランドの最上位ラインとして広く愛されている。稀少な素材や高い技術から生まれるデイデイトは、“成功者の時計”と呼ばれることもある。デイデイトがたどった歴史と変遷から、その魅力を探っていこう。

デイデイト


デイデイトの始まり 1950〜1960年代

「デイデイト」は日付と曜日を表示するカレンダー機構だ。ロレックスは、ふたつの回転盤によるデイデイト表示を実現した先駆者である。

“成功者の時計”と称されることもあるロレックスのデイデイトは、20世紀半ばにブランドの最上位ラインとして生まれた。その歴史は、1956年に発表した初代モデルから始まる。

初代「Ref.6511」の誕生

デイデイト

デイトに加え、フルスペルの曜日をダイアル12時位置の窓に表示する世界初のカレンダー腕時計として、1956年に誕生したのが「デイデイト」。サファイアクリスタルにはデイト表示を判読しやすくするためのサイクロップレンズを備えており、これは後のオイスター パーペチュアル コレクションの他モデルにも採用されるようになった。

ロレックスは56年、バーゼルの見本市で初代デイデイト Ref.6511を発表したとされている。3時位置には日付窓が備えられ、ラウンド型のケースに沿ってカーブを描く12時位置の開口部に、フルスペルの曜日が表示される仕様だ。

各曜日に対応した日付を表示できる仕組みは、当時、ほかの時計にはなかった。Ref.6511は2枚の回転盤を使って、曜日と日付を表示している。曜日表示の間に7個の窓があるディスクを日付リングの上に重ねることによって、その曜日に対応した日付を文字盤の3時位置に表示する仕組みだ。

Ref.6511のブレスレットは、一般の時計に用いられるようなステンレススティール製ではない。18Kゴールド(金無垢)を用いたプレジデントブレスレットを採用したことが、デイデイトが特別な時計として誕生したことを物語っている。


今日の形に近づくデイデイト 1970〜1980年代

1970年代の後半から80年代にかけて、ロレックスはデイデイトを進化させて現行モデルに近づけている。その歴史を語る上で欠かせないのが、サファイアクリスタルの風防と薄型化されたケースだ。薄型ながら抜群の防水性と耐久性を誇るケースは、現在のデイデイトが持つ特徴として挙げられる。

サファイアクリスタル風防の採用

ロレックスは、70年代後半からサファイアクリスタルの風防をデイデイトに採用し始めた。それまでデイデイトの風防に使われていたのは、プラスチックである。

サファイアクリスタルは、モース硬度9という非常に硬い鉱物だ。硬度のレベルとして、ダイヤモンドに次ぐ硬さといえば分かりやすいだろう。プラスチックはもちろん、強化ガラスよりも壊れにくい。風防がサファイアクリスタルに変わったことで、デイデイトの防水性能は大きく向上した。

サファイアクリスタルの風防は、1970年代後半から1980年代後半にかけて作られたデイデイトのRef.18038とRef.18039に採用されている。

厚みのあったケースが薄型に

デイデイトのケースは80年代まで、カマボコケースと呼ばれる厚めのケースだった。しかし80年代の後半から作られ始めたRef.18238とRef.18239は、ケースの厚みを抑えてスマートな時計に仕上げられている。

ムーブメントの進化も見逃せない。前のモデルに搭載されていたムーブメントを改良し、より安定するよう工夫が施されている。デイデイトはこの段階で、機能性、デザイン面ともに現行モデルに近い姿になったといえるだろう。


デイデイトは新たなステージへ 1990年代以降

ロレックスは1990年代以降も、デイデイトを進化させ続けている。それまでの強みを生かしつつ、より最上ラインの時計としてふさわしいモデルを展開しており、2023年にも新しいデイデイトが誕生している。

プラチナを採用したシリーズが登場

デイデイト 40

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト40」Ref.228236
プラチナ製のケースとブレスレットを採用した、現行の「デイデイト 40」。プラチナ特有の光沢とアイスブルーダイアルとの組み合わせによって、モダンな雰囲気も放っている。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。Ptケース(直径40mm)。100m防水。

90年代に入り、ロレックスはデイデイトにプラチナを採用したモデルを発表した。Ref.18206シリーズである。

プラチナはゴールドよりも採掘量が少なく、稀少価値が高い最高級素材だ。ゴールドをしのぐ重厚な光沢を持ち、加工性にも優れている。プラチナ時計は他の素材を使ったものより高価だが、腐食しにくいため、長く愛用し続けられるのが魅力だ。

Ref.18206を皮切りに、90年代のデイデイトは続々とバリエーションを増やしていく。この頃のヴィンテージモデルを見れば、ロレックスがデイデイトに注力していたことが感じられるだろう。

より“成功者の時計”にふさわしいモデルが追加

デイデイト 36

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト36」Ref.128395TBR
エバーローズゴールドのケースにグリーンアベンチュリンのダイアルを組み合わせた「デイデイト 36」。ベゼルとインデックスにはダイヤモンドがセットされ、極上のエレガンスを漂わせる。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18Kエバーローズゴールドケース(直径36mm)。100m防水。

ロレックスは2000年頃から、ブレスレットの仕上げ方や素材を工夫し、より高級感のあるデイデイトを発表していった。エバーローズゴールドのような新素材の登場も見られる。

その後もデイデイトの進化はとどまることなく、2023年には「オイスター パーペチュアル デイデイト 36」が誕生した。ラインナップは18ct エバーローズゴールドモデル、18ct ホワイトゴールドモデル、18ct イエローゴールドモデル」の3種類だ。

デイデイト 36

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト36」Ref.128398TBR
イエローゴールドケースとカーネリアンというオレンジ色の石から切り出したダイアルとの組み合わせによって、温かみのある表情を生み出した「デイデイト 36」。変色しにくいゴールド製のインデックスにはダイヤモンドがセットされている。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径36mm)。100m防水。

ダイアルは、グリーンアベンチュリン、ターコイズ、カーネリアンという、地中海沿岸を思わせる装飾石で作られている。素材ごとの特色を生かし、モデルによって違った個性を演出する時計だ。インデックスとローマ数字、ベゼルにはダイヤモンドが配されている。

品質の高い宝石をぜいたくに使った新しいデイデイトは、まさに成功者の時計と呼ぶにふさわしい。

デイデイト 36

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト 36」Ref.128399TBR
ホワイトゴールドケースとターコイズダイアルにより、上品さと軽快な雰囲気を両立させた「デイデイト 36」。こちらも、ベゼルとインデックスにダイヤモンドをセットした豪奢な1本だ。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWGケース(直径36mm)。100m防水。

例年、もちろん2024年にもデイデイト36、デイデイト40ともに新作モデルが追加されており、ロレックスが力を入れているコレクションであることが分かる。

ロレックス デイデイト 新作

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト36」Ref.128395TBR
「スカイドゥエラー」にも採用されているブルーグリーン文字盤を採用した2024年新作モデル。インデックスには10個のバゲットカットダイヤモンドが、ベゼルには60個のトラペーズカットダイヤモンドがセッティングされている。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KERGケース(直径36mm、厚さ12mm)。100m防水。


ロレックスのデイデイトが歩んだ道に思いをはせる

デイデイト 40

ロレックス「オイスターパーペチュアル デイデイト40」Ref.228239
外装やムーブメントのたび重なる改良を経てたどり着いた現行の「デイデイト」。写真はホワイトゴールドのケースを用いた「デイデイト 40」で、上品な輝きを放つサンレイ仕上げのダイアルにローマンインデックスを組み合わせ、コレクションに一層のエレガンスを与えている。自動巻き(Cal.3255)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWGケース(直径40mm)。100m防水。

ロレックスのデイデイトは、金無垢の初代モデルで華々しくその姿を現した。その後、デザインや機能の面で数々の変更が加えられ、バリエーションを増やしている。歴史を振り返れば、デイデイトが特別な時計であることが分かるだろう。

この多彩なバリエーションの中から、ロレックスの歴史や技術にも思いをはせつつ、ぜひ最上級のタイムピースを手に取ってみてほしい。


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