ロレックスの「オイスターパーペチュアル ヨットマスター(以下ヨットマスター)」は、ヨットや海でのレジャーを楽しむ時計愛好家に選ばれる時計だ。ヨットマスターは誕生から現在に至るまで、どのような歴史をたどってきたのだろうか。ブランドとヨット界の歴史から、ヨットマスターの系譜までを紹介しよう。
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ロレックスとヨットの歴史
ヨットスポーツ向けのラグスポライン「ヨットマスター」は、ロレックスの中では比較的新しいコレクションだ。しかし、ロレックスは1950年代からヨットとのつながりが深いブランドだった。
ロレックスとヨットの関係性を知ることで、ヨットマスターの歴史や変遷をより興味深く学べるだろう。
1958年 ヨットクラブとパートナーシップを結ぶ
ロレックスの時計は2023年現在、「SailGP」「52スーパーシリーズ」というヨットレースのオフィシャルタイムピースに選ばれている。ロレックスとヨット界との関係は非常に深い。
ロレックスが最初にヨットクラブとパートナーシップを結んだのは、1958年のことである。このときパートナーシップを結んだのは、ニューヨーク・ヨットクラブだ。それ以来、世界各地のヨットクラブとつながりを持ち、ヨットというスポーツを支援し続けている。
ヨット界への思いは、ロレックスがヨットマスターを発展させる原動力となった。ヨットレースでは、高精度のクロノメーターで正確な位置を把握する必要がある。そこでロレックスは、ビーチでのリゾートを想定して作られた「ヨットマスター」にとどまらず、本格的なヨットスポーツのための「ヨットマスター ll」もリリースするに至った。
ヨットマスターの歴史と系譜
ヨットマスターは1990年代に入ってから登場した、プロフェッショナル コレクションだ。ロレッックスの全コレクションの中では「サブマリーナー」の上位に位置付けられている。
ヨットマスターはどのような変遷をたどってきたのだろうか。コレクションの始まりから、新世代ムーブメントを搭載するに至るまでの歴史をのぞいてみよう。
1992年 初代ヨットマスターを世に出す
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1992年にヨットマスターを発表したロレックスは、ヨット界とのつながりをより強固なものにした。1992年にヨットマスターを発表したロレックスは、ヨット界とのつながりをより強固なものにした。
初代ヨットマスターは、Ref.16628を含むイエローゴールドのシリーズである。日付表示を拡大するサイクロップレンズは、サファイアクリスタル製の頑強なものだ。搭載されていたムーブメントCal.3135は、深夜に日付が一瞬で変わる機構を備えていた。
1999年 ロレジウムのヨットマスターが登場
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写真は現行モデルの"ロレジウム"。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×Ptケース(直径40mm、厚さ11.5mm)。100m防水。
ロレックスは1999年、ロレジウムモデルのヨットマスターを生み出した。ロレジウムは904Lステンレススティール(オイスタースチール)と950プラチナを組み合わせて作られた素材だ。
一部をステンレススティールにすることで価格を下げ、以前のモデルより手が届きやすい時計として売り出したことで、ロレジウムモデルのヨットマスターは一躍、人気モデルとなる。
現行モデルにもロレジウムモデルのヨットマスターがある。例えば、ケース径40mmのRef.126622だ。60分目盛り入りの両方向回転ベゼルを備え、セーリング時間を計測できるようになっている。
2019年 Cal.3235搭載のヨットマスターを発表
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ロレックスは、2019年に完全自社製の新世代ムーブメントCal.3235を搭載したヨットマスターを発表する。ロレジウムの現行モデルとして先に紹介したRef.126622や、Ref.126655である。
ロレックスは2015年からCal.3235を導入している。Cal.3135から、約9割のパーツが新規に作り起こされたCal.3235に世代交代する形となった。脱進機の効率を高める工夫が施されたほか、リュウズの回転方向に対して針の回る方向が逆になっている。
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自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。Tiケース(直径42mm、厚さ11.6mm)。100m防水。
2023年新作のチタン製ヨットマスター Ref.226627に搭載されているのも、このCal.3235だ。Ref.226627には、ロレックスが特別に採用したグレード5のチタン合金であるRLXチタンが用いられている。
多彩な現行モデルのバリエーション
90年代から続く変遷の中で、さまざまなモデルがラインナップされてきたヨットマスター。現行モデルでは、直径42mm、40mm、37mmのケースサイズが用意され、さらにその中で素材や意匠のバリエーションが展開されている。中には稀少で入手しづらいモデルもあるが、ぜひ自分に合った1本を見つけてほしい。
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自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径42mm、厚さ11.6mm)。100m防水。
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ファルコンズアイ文字盤を備えた、稀少なモデル。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWGケース(直径42mm、厚さ11.6mm)。100m防水。
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自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS×18KERGケース(直径40mm、厚さ11.5mm)。100m防水。
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自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KERGケース(直径40mm、厚さ11.5mm)。100m防水。
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自動巻き(Cal.2236)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。SS×Ptケース(直径37mm)。100m防水。
ヨットマスターllの歴史と系譜
「ヨットマスターll」は、ヨットマスターの上位モデルとして登場した時計である。ビーチでのリゾート向けのヨットマスターと違い、本格的なヨットレースのために作られた。ロレックスではデイトナと並ぶクロノグラフとして、現在も新しいモデルを発表し続けている。
ヨットマスターllの歴史や変遷も知り、気に入る1本を選ぶ参考にしてみよう。
2007年 本格的なヨットスポーツ用モデルとしての誕生
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ヨットマスターの初代モデルを世に出した15年後の2007年、ロレックスはヨットレース向けのプロフェッショナルラインとしてRef.116688とRef.116689を発表する。ヨットマスターllの初代モデルだ。
カウントダウン機能が付いた「レガッタ クロノグラフ」のリングコマンドベゼルが内部のメカニズムと連動する仕様で、レースがスタートするタイミングに合わせてセットすることが可能になっている。誤差の修正ができるのも、ヨットマスターとの違いとして挙げられる。
見た目の特徴は44mmと大ぶりなケースサイズだ。40mmのヨットマスターに比べて、主張が強くなっている。
なお2017年には、すべてのモデルで針とインデックスのデザインが変更された。現在生産されているのは、プロフェッショナルラインの代名詞ともいえるベンツ針(メルセデス針)とドットインデックスを備えたモデルである。
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自動巻き(Cal.4161)。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KYGケース(直径44mm、厚さ13.9mm)。100m防水。
2013年 オイスタースチールモデルの登場
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自動巻き(Cal.4161)。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径44mm、厚さ13.9mm)。100m防水。
ヨットマスターllからオイスタースチールモデルが登場したのは、2013年だった。Ref.116680は、ヨットマスター IIに搭載されていたCal.4160の改良版であるCal.4161を載せ、カウントダウンの性能を向上させている。
オイスタースチールはロレックス独自のメタル素材だ。ステンレススティールと比べて現状で耐蝕性が高い。非常に硬度の高いオイスターケースは、この素材なくして生み出されなかった。
Ref.116680のケースとブレスレットは、オイスタースチールでできている。目盛り入りのベゼルには、ブルーのセラミックが採用された。こちらも初代ヨットマスターllと同様、現在生産されているのはベンツ針とドットインデックスの時計である。
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自動巻き(Cal.4161)。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SS×18KERGケース(直径44mm、厚さ13.9mm)。100m防水。
なお、現行のラインナップには、オイスタースチールと18Kエバーローズゴールドのロレゾールモデルも存在する。赤みの入ったエバーローズゴールドが差し色として加わることで、スポーティーと華やかさが調和した1本に仕上がっている。
ロレックスとヨットの歴史を腕元に
ロレックスのヨットマスターやヨットマスターllを手に取ると、ブランドとヨット界の歴史を感じられるだろう。そのつながりは1958年から65年を超える、非常に長いものである。
ヨットマスターの初代から現行モデルに通じるモデルチェンジまで、ヨットマスターの変遷は多い。時計の歩みを感じながら、気に入る1本を選んでみると楽しみが広がるはずだ。
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