G-SHOCKの新たなるアイコンとして人気を集めている、“フルメタル” 5000シリーズの「GMW-B-5000」。今回は、レトロフューチャーな文字盤が特徴の、2023年新作「GMW-B5000BPC-1JF」を実機レビューする。
Text and Photographs by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
2023年11月7日掲載記事
アイコンの最新作。“フルメタル”G-SHOCK「GMW-B5000BPC-1JF」
2018年に登場した“フルメタル”G-SHOCK「GMW-B-5000」。樹脂ケースで親しまれてきたG-SHOCKの初号機、オリジンを、金属製のケースおよびブレスレットで構成させた当シリーズは、G-SHOCKの新たなるアイコンとして高い人気を集めている。この人気に比例して、バリエーションも年々拡充されているが、「GMW-B5000BPC-1JF」は23年10月に登場した最新作だ。
クォーツ。タフソーラー。SSケース(縦49.3×横43.2mm、厚さ13mm)。20気圧防水。8万9100円(税込み)。
スペックは既存のGMW-B-5000に同じ。G-SHOCKの個性ともなっている耐衝撃構造や20気圧防水は言わずもがな、モバイルリンク/アプリ連携機能によって、フルメタル5000シリーズらしい高い利便性を得ている。基本的なスタイルにも変化はなく、メタル製の外装はサテン仕上げとポリッシュ仕上げがコンビネーションされており、また、液晶ディスプレイのレンガパターンも健在だ。本作はステンレススティールにブラックIPを施すことで、“オールブラック”を醸し出しているが、このスタイルも「GMW-B5000GD-1JF」などでおなじみだろう。
そのため本作はコスメティックチェンジといった位置付けだ。では、最新GMW-B5000BPC-1JFの特徴が何かと言うと、液晶ディスプレイを彩るブルーおよびグリーンのグラデーションカラー。「マルチカラーとグラデーション」をまとった新しいフルメタルシリーズとして、本作を入れて計4種のモデルが同時リリースされたが、いずれも色彩豊かな文字盤が与えられており、遊び心を感じさせるバリエーションと言えよう。一方で初号機を想起させるレンガパターンや文字盤内周の赤いラインと、グラデーションカラーのデザインバランスにも優れており、手堅いプロダクトとしてまとまっている。
そんな本作を、レビューしていこう。
レトロフューチャーを感じる意匠
前述の通り、本作は従来からあったGMW-B-5000に、マルチカラーとグラデーションを添えたことを特徴とする。文字盤外周にはブルーとグリーンのグラデーションカラーが蒸着されており、さらに内周にレッドのライン、そして20BARの防水表記がイエローと、豊かな色彩が用いられている。このグラデーションの色調がどこかレトロフューチャーで、そもそもGMW-B-5000自体が伝統的なG-SHOCKのデザインコードであることと相まって、40代、50代の、かつてG-SHOCKから時計好きの入り口に立った世代に刺さるのではなかろうか。
外装についてもすでに述べている通り、ステンレススティールにブラックIP加工を施すことでオールブラックとなっている。ケース、ブレスレットともにサテン仕上げとポリッシュ仕上げがコンビネーションされており、メリハリの効いた意匠であることも特徴だ。こういった仕上げの手法は近年よく用いられるが、外装に立体感を与えてくれる。
今回レビューした個体はすでに何人かに着用されていたのだろう。外装表面に付いた擦れが目立って少し気になったが、遠目で分かるといったほどではない。何より、タフネスをキャラクターとするG-SHOCKは、アクティブに使ってこそ味が宿るものとも言える。
外装はマッシブだが装着感もまずまず
本作の公称値によるケースサイズは、直径49.3mm、厚さ13mm。重量が167gだ。フルメタル5000シリーズの外装はマッシブで、チタン合金を使ったモデル以外は、ヘッドも重い。一般的に薄くて軽い時計の方が、装着感に優れる。しかしブレスレットも肉厚で重厚感があるためバランスが良く、安定している。
フルメタル5000シリーズはブレスレット調整が容易であることも、装着感の向上に寄与している。コマの連結はバネ棒式となっており、比較的簡単に脱着ができる。外せるコマが多いため手首が細い人でも愛用できる点は、人気の理由のひとつだろう。
加えてバックル部分での微調整も可能であるため、手首にフィットさせやすい。しかし、エンドピースから繋がる最初のコマが大きく、また連結部の遊びが少ないため、自身の手首が細いことも手伝って、少し浮いてぐらついてしまう点は気になった。とは言え装着感は「慣れ」の問題もあるだろう。
なお、自身でのブレスレット調整はメーカーからは推奨されていない。慣れていないとブレスレットを痛める原因となるため、調整時は購入店舗などで相談したい。
https://www.webchronos.net/features/42973/
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モバイルリンク/アプリ連携機能が満足度を底上げする!
本作の満足度を向上させるのが、モバイルリンク/アプリ連携機能である。この連携機能は、対応携帯電話に専用アプリ「CASIO WATCHES」をダウンロードし、さらにBluetoothと連携することで、時刻合わせやアラーム設定、時には携帯電話探索機能をスマートフォン上で行うことができるのだ。
GMW-B-5000のプッシャーはやや押しづらく、また多機能ゆえに操作が煩雑で覚えきれないといったシーンに何度か直面してきた。その点、CASIO WATCHESのユーザーインターフェースは優れており、普段スマートフォンを使っているのであれば、すぐに利用することができるだろう。操作音やライト、パワーセービングなどといった時計の各種設定もスマートフォン上で行い、時計に送ることができる。個人的な話となって恐縮だが、最も利便性を感じたのが携帯電話探索機能だ。時計とスマートフォンが接続できる距離にあることが前提だが、時計の設定を“FIND”モードとすることで、オンデマンドでスマートフォンの音を鳴らすことができる。
本作に限らず、この連携機能によっていっそうG-SHOCKを身近に感じ、かつ使いこなせるようになったユーザーも多いのではないだろうか。
今後のバリエーション展開も楽しみ!
フルメタルG-SHOCKの5000シリーズ最新作となるGMW-B5000BPC-1JFをレビューした。
40年続いてきた伝統的なデザインコードを、メタル外装で実現したGMW-B5000(23年はG-SHOCK誕生40周年に当たる)。このキャラクターはそのままに、レトロフューチャーなデザインを添えた本作は自分自身の好みにずばり刺さったということもあるが、80年代、90年代にG-SHOCKを所有してきた年齢層の所有欲をくすぐるディテールが備わっていると思える。
定価は税込みで8万9100円と、ステンレススティール製の高機能デジタルウォッチと考えれば価格のバランスは良く、手も出しやすい。
一方で本作のデザインが好みでなくとも、バリエーション展開の豊富さはG-SHOCKの持ち味だ。より硬派なデザインを楽しめるオールブラックモデルや、40周年記念として打ち出されたリクリスタライズドモデルなど、ぜひ自身に合ったバリエーションを選んで欲しい。さらにカシオは本作のリリースに当たり「今後もフルメタルモデルの展開を強化」していくと述べているため、いっそう充実した選択肢を我々ユーザーに提供してくれるだろう。
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