正規時計販売店COMMON TIMEは、ジラール・ペルゴを輸入販売するソーウインド ジャパンとともに、継続的にフランソワ・ペルゴを〝偲ぶ会〟を行ってきた。今回、COMMON TIME横浜元町本店で店長を務める今西織恵さんに、この取り組みやジラール・ペルゴの購入層について取材した。見えてきたのは、店舗スタッフ、顧客ともにジラール・ペルゴというブランドに親しむ心である。
[2023年12月2日公開記事]
フランソワ・ペルゴが降り立ち、生涯を送った横浜という地
COMMON TIME横浜元町本店は、ジュエリー専門店のCHARMY(チャーミー)が展開する正規時計販売店だ。幅広い高級時計ブランドを取り扱う中で、特に注目したいのがジラール・ペルゴである。なぜなら横浜はジラール・ペルゴ創業家一族のひとりであり、スイス人時計師であったフランソワ・ペルゴが、1860年に降り立った地であるためだ。フランソワ・ペルゴが来日した時代の横浜は、まだ前年に開港したばかり。日本の時間感覚は西洋とは大きく異なっていた。そんな中、時計師であり、同時に商人でもあったフランソワ・ペルゴは、日本市場へ西洋式時計を輸入し、その普及に尽力した。
その後もフランソワ・ペルゴは日本でビジネスを続けていき、1877年に日本で永眠する。長らくフランソワ・ペルゴの墓地は所在不明であったが、作家の松山猛氏によって2000年代、横浜外国人墓地に眠っていることが特定された。
COMMON TIMEとソーウインド ジャパンは、継続的にフランソワ・ペルゴの墓の整備や、墓参を行ってきた。日本の時計市場を切り開き、その後の発展に貢献したひとりであるフランソワ・ペルゴを偲び、その存在をユーザーに認知させる活動は、ジラール・ペルゴと日本の時計市場を密にするとともに、不定時法に代えて定時法が採用されることで、徐々に時計が根付いていく時代背景に思いを馳せるきっかけを、ユーザーに与えている。また、こういった活動によって、時計愛好家やジラール・ペルゴ ファンが、横浜が同ブランドにとって縁の深い土地であることを知り、結果として店舗とブランドにとっても、購買に留まらないユーザーとの接点として、横浜を拠点に双方向な関係性を構築していけるだろう。
今回話を聞いたCOMMON TIME横浜元町本店の店長・今西織恵さんからも、横浜を特別視する顧客や、その顧客のニーズに応える店舗としての使命感が伝わってきた。
〝ジラール・ペルゴの聖地〟という声も。COMMON TIME横浜元町本店
COMMON TIME横浜元町本店でジラール・ペルゴを購入する顧客は、どんな層なのだろうか? 今西さんにうかがった。
「最近、ジラール・ペルゴを購入してくださるお客様の年齢層は20代前半〜60代以上と、幅広くなったと感じています。主に近隣の都県からお客様がいらっしゃいますが、『ジラール・ペルゴを買うなら聖地、横浜で!』と、九州からご来店してくださったことがありました」
そんな、幅広い層から愛されるジラール・ペルゴの魅力を、今西さんはこう分析した。
「(デザインが)かっこいい、きれいというだけでなく、ジラール・ペルゴは語れる歴史が多いところが魅力。また、ジラール・ペルゴを使い始めたことをきっかけに時計好きになったという声もいただきました。こういったきっかけを作るブランドというのも、魅力のひとつです」
聖地と呼ばれる場所に店舗を構えるだけあって、ジラール・ペルゴの知識や見識を店舗スタッフは深く求められるだろう。今西さんは店長として、普段どのような教育や研修を行っているのだろうか?
「スタッフが自発的に(ブランドや製品に対して)興味を持つことが一番大切だと思います。そんな中、当店は横浜に住むスタッフが多いせいか、(ジラール・ペルゴへの)強い関心を感じています」
もちろん、研修にも力を入れている。
「先日、ジラール・ペルゴのアンバサダートレーニングの一環として、当店のスタッフがスイスに招待してもらいました。このスイスで学んだ内容を、ほかのスタッフにも共有しました。また、ジラール・ペルゴの新作モデルについて学べるセミナーをブランド側に開催してもらう予定です。このように、ブランドに協力してもらいながら自分自身もジラール・ペルゴについて学びを深めてきました」
ジラール・ペルゴは意欲的に新作をリリースしており、中には一目見ただけでは機構や、どの部分がコアとなるポイントなのかを理解しづらいモデルもある。とはいえ、店舗スタッフは新作こそ顧客から説明を求められるシーンも多い。現場で必要な知識をセミナーでしっかりと身に付けられることは、心強いに違いない。
本作のスペックは以下の通り。
自動巻き(Cal.GP08400-2164)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。Tiケース(直径45mm、厚さ12.18mm)。30m防水。世界限定250本。496万1000円(税込み)。
COMMON TIMEとジラール・ペルゴの関係性は、店舗やブランドに対してポジティブな印象を与える。なぜならフランソワ・ペルゴの墓参は取り組みとしてユニークであると同時に、地域振興の一面もあるためだ。今西さんは、フランソワ・ペルゴに関する自社やソーウインド ジャパンの取り組みについて、どのように考えているのだろうか。
「ここ数年、新型コロナウイルスの影響もあり、お客様を交えたイベントを行うことが難しい状況でした。そのためフランソワ・ペルゴの墓参はスタッフのみで行っていたのですが、昨年久しぶりにお客様に(墓参への参加を)募ったところ、こちらの想定を上回る多くのお客様からすぐに『参加したい』とのお声をいただきました。中には、ジラール・ペルゴを買ったその日から〝偲ぶ会〟を楽しみにしていたという、うれしいお声もいただいております。2023年は12月18日にソーウインド ジャパンとフランソワ・ペルゴの功績をたたえるイベントを開催します。より深くお客様にジラール・ペルゴを知っていただける、そんな機会になればと考えております」
顧客にとってはもちろん、今西さんにとっても特別な存在であるジラール・ペルゴが、これからどう市場での認知度を高めていくのかを、最後に尋ねた。
「YouTubeやSNSで発信していくことも大切だと思いますが、何よりお客様ご自身に(ジラール・ペルゴを)好きになっていただく、知っていただくことが大切だと感じます。そのためにも私たちは、ご来店くださるお客様へ、ジラール・ペルゴの魅力をお伝えできるように知識を深めていく。このことが認知度向上につながっていくと思います。
COMMON TIME横浜元町本店 店舗情報
〒231-0861
神奈川県横浜市中区元町3-120
TEL:045-662-0041
営業時間:11:00~20:00
フランソワ・ペルゴの功績をたたえるイベントが開催!
2023年12月18日(月)、フランソワ・ペルゴの命日に合わせて〝偲ぶ会〟が執り行われ、墓参の後にはホテルニューグランドで関係者のみの招待制のイベントも予定されている。
本イベントは、現在ジラール・ペルゴが日本とスイスとの架け橋となっていることに寄与したフランソワ・ペルゴの功績をたたえるとともに、時計産業のさらなる発展を願うことが目的だ。
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