2023年に40周年を迎えたG-SHOCK。フルゴールドケース&ブレスレットのG-SHOCK「G-D001」が、ユーモアたっぷりのプレゼンテーションと共に公開された。これは、カシオ計算機の若手が「Break the Boundary(限界を打ち破れ!)」というキーワードを掲げ、ベテランのバックアップのもと「完全に新しい、新コンセプトモデル」としてクリエートしたものだ。これまでのG-SHOCKと最も違う部分、いちばん衝撃的なケースの造形だ。
[2023年12月15日公開記事]
世界でたった1本の革命的なG-SHOCK!
2023年に40周年を迎えたG-SHOCK。同年11月9日、米ニューヨーク時間18時(日本時間11月10日午前8時)、ニューヨーク市マンハッタンの「マンハッタン・センター」で、開催された「G-SHOCK 40周年記念イベント ショック・ザ・ワールド ニューヨーク2023」。この場所で、G-SHOCKのまったく新しい歴史が始まった。
ここで開催されたプレスカンファレンスにおいて、“G-SHOCKの父”として知られるカシオ計算機の伊部菊雄(いべ・きくお)シニアフェローから、フルゴールドケース&ブレスレットのG-SHOCK「G-D001」が、ユーモアたっぷりのプレゼンテーションと共に公開された。これは、カシオ計算機の若手が「Break the Boundary(限界を打ち破れ!)」というキーワードを掲げ、ベテランのバックアップのもと「完全に新しい、新コンセプトモデル」としてクリエートしたものだ。
プレゼンテーションに先立って上映されたビデオでは、伊部菊雄氏がG-SHOCK開発当時の自分と共演! 大喝采を浴びた。記者会見の後、グランドボールームではコロンビア出身のレゲトン系人気シンガーソングライター「J.バルヴィン」のパフォーマンスも披露された。
この時、世界中から集まったメディアやジャーナリスト、招待客たちは大きくどよめいた。その外観、製品コンセプトとデザインが、これまでのG-SHOCKはもちろん、35周年の際に発表された初のフルゴールドモデル「G-D5000」とはまったく違う、あまりに斬新なものだったからだ。
AIとともに創造した独創的な“有機形状ケース”
真正面から見たその姿は、機械式のスケルトンウォッチ、そしてケースサイドから見ると、腕時計というよりも生き物の骨格やクルマのスペースフレームを思わせる。その複雑な造形は、スイスのハイエンドな時計ブランドのスケルトンモデルと比較しても、飛び抜けて独創的で大胆、衝撃的なものだ。どこか生き物のような生命感をも感じる。
(YouTubeの公式動画より)https://youtu.be/7YcfvJMJx8E?si=eknLdITzluyxxqzk
何とこのケースのデザインは、カシオの開発チームが社内で「ジェネレーティブデザイン」と呼ぶG-SHOCK史上、そしておそらく時計史上初めて「AIと人間が共に創造した」という。
「G-SHOCKの40年の歴史の中で蓄積された『時計が落下したときに、どの部分にどのような力がかかるのか』というデータをコンピューターに入力。それをベースにAIが素材の特性や加工強度を計算して造形する。その造形を人間のデザイナーが修正して“デザインに息を吹き込む”。この工程を何度も繰り返して完成した」とG-SHOCKの公式YouTubeチャンネル「CASIO G-SHOCK」のコンテンツで開発陣は述べている。また、イベント開催前日の午後、会場のマンハッタン・センターで行われたリハーサルの後、バックヤードの控室で伊部氏からもそううかがった。
「コンピューターが創ったデザインはそのままでは使えない、人間では考えられないものなんです。それを人の手で何度も何度も修正することで完成しました」と伊部氏は語ってくれた。
あくまでYouTubeのコンテンツで公開されている範囲で、まだ深い取材はできていないが、自動車の衝突解析のように、コンピューターシミュレーションによる構造解析も行ったという。
緩衝材ゼロで耐衝撃構造を実現!
その結果、すべて18Kイエローゴールド製のケースなのに、すなわち構造材は金属だけなのに「樹脂などの緩衝材ゼロ」で従来のG-SHOCKと同じ耐衝撃性を実現した。これは、まさに耐衝撃構造の革命と言える。もちろん「20気圧防水」という、G-SHOCKのもうひとつの条件も満たしている。
この点だけでも、これまでのMR-GやMT-G、メタル系のG-SHOCKとは異次元の技術だ。これまでの耐衝撃構造は、ハッキリ言えば本体の樹脂やαゲル緩衝材なしに実現はできなかった。今回、AIとの共創によるジェネレーティブデザインで、その壁をついに超えたのだ。その意味で、これまでのメタルモデルとは異次元の“新世代のメタルモデル”の登場と言えるのだ。
しかもその素材は、ピュアな18Kイエローゴールドである。ステンレススティールよりもはるかに軟らかい18Kゴールド素材で「アブソリュート・タフネス」を実現したのだ。これも時計の歴史に残る画期的な偉業だ。
さらにトリプルセンサーこそ搭載していないが、アナログスポーツウォッチのG-SHOCKとしての機能も申し分ない。世界6局の標準電波対応の電波ソーラー(タフソーラー)機能、日付表示機能、ストップウォッチ機能を備えている。
そう、これはカシオが世に送り出した比類なきタフネスを備えた“異次元のG-SHOCK”である。すなわち、“異次元の高級時計”がここに爆誕したのだ。高級時計の歴史に、カシオの手によって新たな1ページが書き加えられた。あなたが時計愛好家なら、その価値はすぐに理解できるはずだ。
しかも、この唯一無二のコンセプトモデルは、G-SHOCK史上初めて、時計愛好家なら誰もが知っている名門オークションハウス「フィリップス」が、ニューヨークで開催した時計オークション(2023年12月9日〜10日開催)にチャリティー出品され、バイヤーズプレミアム(落札者が支払う手数料)を含め、40万50USドル(約5671万5089円、1USドル=141.77円、日本時間2023年12月15日午前9時36分現在、以下同)で落札された。
バイヤーズプレミアムを除くその収益金31万5000USドル(約4465万7550円)は環境保護団体に寄付されることになっている。すなわちこれは、世界の時計オークションをリードするフィリップスが、本気で時計オークションに掛ける価値を認めた初のG-SHOCKでもあるのだ。
そして、YouTubeの公式動画をご覧になった方ならすぐに分かるだろうが、ただ1本だけしか生産されないこのコンセプトモデルは、今後出てくる製品を先取りした、コンセプトもデザインも機能もすべてが新しい、新世代というか異次元の“ラグジュアリーG-SHOCK”の第1号モデルである。コンセプトと銘打ってはいるが、すでに製品と言って良い完成度を持つ。
このユニークピースに注ぎ込まれた技術は、即製品化が可能なものだ。ごくごく近い将来、この技術を搭載した、これまでの「MR-G」を超えるプレミアムな“ラグジュアリーG-SHOCK”が2024年以降、製品として登場することが期待される。そして、それは過去にG-SHOCKに興味などなかった時計愛好家や富裕層を魅了するに違いない。果たして、それがどんなものになるのか、今から期待は高まるばかりだ。
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