高級時計業界で年々存在感を増すドルチェ&ガッバーナ。その根底に流れるのは“ファット・ア・マーノ”の精神だ。新作「マニファットゥーラ イタリアーナ ミラノ」によって、同メゾンが愛する創業地、ミラノに思いを馳せる。
イタリア・ミラノを象徴するドゥオモ大聖堂に着想を得たデザインが荘厳な印象をもたらす。ダイアルとケース、ブレスレットには職人による彫金が与えられ、“ファット・ア・マーノ”(手作り)のブランド哲学を感じさせる。装飾的なダイアルながらも視認性の確保に貢献しているのが立体的な針だ。2017年に本格的に高級時計業界へ参入したドルチェ&ガッバーナが、そのノウハウを着々と積み上げていることが分かる。外装に引けを取らないムーブメントは、ジュネーブのムーブメントメーカーMHCの協力によって実現したもの。サテン仕上げのブリッジに施された面取りがコントラストを生んでいる。自動巻き(Cal.DG01.01)。30石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約58時間。18KWGケース(直径42.5mm)。世界限定10本。935万円(税込み)。
Courtesy of Dolce&Gabbana
Text by Tsubasa Nojima
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]
創業地ミラノに思いを馳せる新作「マニファットゥーラ イタリアーナ ミラノ」
イタリアを代表するラグジュアリーファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナ。同メゾンは1985年、デザイナーであるドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナによって誕生した。その根底に流れる哲学は〝ファット・ア・マーノ〞(手作り)。それは、新作である「マニファットゥーラ イタリアーナ ミラノ」にも感じ取れる。
モチーフとしたのは、イタリア経済の中心地であり、歴史や芸術の都市、そして同メゾンの創業地でもあるミラノだ。ダイアルには、ドゥオモ大聖堂を想起させる装飾が与えられ、ケースに施されたエングレービングが、その周囲を飾る。
同メゾンの高級時計は、ミラノの自社工房で生み出される。デザイナーが構築したイメージは、ここの職人によって魂を吹き込まれるのだ。インデックスの役割を果たすダイアル上層は、糸鋸によって切り出され、ゴールド製のケースとブレスレットには、エングレービングツールを用いて丹念に彫金が施されていく。
搭載するマイクロローター式自動巻きムーブメントはスイスのムーブメントメーカーとの共同開発によるもの。過度な装飾を避けながらも、有機的に分割されたブリッジと、そこに加えられた面取りは、装飾が施された外装とも調和を生む。
同メゾンは、2017年に発表した「アルタ オロロジェリア」によって、本格的に高級時計製造の世界に足を踏み入れた。このコレクションは、ラインナップすべてがユニークピース。今作の属する「マニファットゥーラ イタリアーナ」コレクションも各モデルわずか10本と、生産数が限られている。工業化の流れとは逆行するファット・ア・マーノの精神は、かつての時計製造がそうであったように、職人の息遣いすら届けてくれるのだ。
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