G-SHOCKの最上位ラインに位置付けられる、「MR-G」シリーズ。今回は、カシオの2023年売上本数データをもとに、本シリーズで今年最も売れた人気ランキングを紹介しよう。
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2023年12月14日公開記事]
G-SHOCK「MR-G」2023年人気ランキングを発表
“耐衝撃性”というキャラクターがアイコンとなっているG-SHOCK。誕生から40年を経て、数々の名作が輩出されており、現行だけに絞ってもバリエーションは非常に豊富だ。
そんな多彩なG-SHOCKの中でも、近年カシオが注力しているのが「MR-G」シリーズである。MR-Gは1996年に誕生した、G-SHOCKの最上位ライン。G-SHOCKのタフネスはそのままに、最上級の仕上げを施すことで、「高級G-SHOCK」という一大ジャンルを確立した。この上質な仕上げのために、凹凸の多いG-SHOCKの外装パーツを細分化することで平面を作り、細部まで磨きを加えている。また、下地処理にザラツ研磨を用いるなど、徹底した仕事ぶりがうかがえることも本作の特徴のひとつである。なお、メタル素材が用いられているところは「フルメタル5000」と同様だが、MR-Gのメタルはチタンだ。高硬度なチタンに仕上げを与えるところも高級機らしい要素であり、かつ大型モデルが多いG-SHOCKを、メタル素材でありながらも軽やかに使えるという利点はユーザーにとって大きい。さらに一部モデルにはプラチナのような白い輝きを有しつつ、純チタンの約4倍の硬度となるCOBARION®(以下コバリオン)や、純チタンの約3倍の硬度を持つDAT55Gなどといった高性能チタン合金を用いるなど、“匠の技”と最先端テクノロジーを融合させたシリーズとなっており、G-SHOCK愛好家をうならせる存在である。
今回はそんなMR-Gの中から、2023年に最も売れたモデルTOP5をカシオから聞いた(売上本数ベース)。2023年、最高峰G-SHOCKの頂点に立った1本とは?
第5位: 「MRG-B5000D-1JR」
タフソーラー。64Ti×コバリオン+チタンカーバイドケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。41万8000円(税込み)。
第5位にランクインしたのは、22年にMR-Gシリーズに追加された、バリエーションモデル「MRG-B5000D-1JR」だ。“オリジン”として知られる初代G-SHOCK「DW-5000C」の意匠をよみがえらせながら、MR-Gのコンセプトのもと、上質な外装仕上げがもたらされている。
前述の通り、“オリジン”をはじめ、G-SHOCKのケースフォルムは凹凸が多く、こういった形状に均等に仕上げを与えることは難しい。カシオはこの課題を解決するために、本作のパーツを25個までに細分化。パーツごとに研磨を施し、MR-Gとして“最高峰”の上質さを獲得した。なお、G-SHOCKとしての耐衝撃性を維持するために、ベゼルパーツの間に緩衝体を入れたマルチガードストラクチャーを搭載していることも特筆すべき点だ。
「DW-5000C」をきっかけに、時計好きになったという声を聞くことがある。ノスタルジックでありつつも、大人になったDW-5000Cユーザーのキャリアステージにマッチした高級G-SHOCKとして適した1本ではないだろうか。
第4位: 「MRG-B2000B-1AJR」
タフソーラー。Tiケース(縦54.7×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。34万6500円(税込み)。
第4位にランクインしたのは、日本の伝統色「勝色(かちいろ)」をモチーフとした「MRG-B2000B-1AJR」だ。21年に発表されたモデルである。
日本では古来より、鎧や甲冑に濃紺の勝色が用いられた。武士にとっては「勝つ色」とされ、験担ぎに好まれたのだ。本作では、この勝色をモチーフとしたカラーを、ロゴや文字盤見返し、針などにあしらい、アクセントとした。ブラックカラーと、同じくアクセントとなっているゴールドカラーが相まって、勇ましくも洗練された印象をもたらしている。なお、ケースとブレスレットには深層硬化処理とDLC処理の二重加工がなされることで表面が硬化され、質感を末長く楽しむことができる。
和のテイストは、勝色だけではない。文字盤に和柄のひとつである“鱗紋”をあしらい、さらに文字盤外周には扇や屏風をイメージしたパターンが施された。インデックスは、刀の反りを想起させる曲面形状だ。この曲面には挽き目加工が与えられており、シャープなエッジと併せて作り込まれていることが分かる。なお、山形カシオのナノ加工技術によって実現されている。
太い時分針と合わせて、力強い印象の1本だ。とはいえチタン素材を基調としているため、大ぶりながら軽量で、着け心地の良さを味わえるのもMR-Gらしい特徴のひとつだろう。
第3位: 「MRG-B5000B-1JR」
タフソーラー。Ti×コバリオンケース(縦49.4×横43.2mm、厚さ12.9mm)。20気圧防水。48万4000円(税込み)。
第5位でシルバーメタリック調のMRG-B5000D-1JRを紹介した。第3位にランクインしたのは、同じくDW-5000Cを再現した「MRG-B5000B-1JR」だ。ただし本作は、“オリジン”の黒い樹脂ケースを彷彿とさせるカラーリングを備える。
本作もまた、ノスタルジックでありながら山形カシオが誇る最先端テクノロジーが用いられている。とりわけ素材の面では、メリットが多い。ケースに高硬度の64チタン、ブレスレットにDAT55G、ベゼルトップにコバリオンを採用。それぞれのパーツは磨き上げられており、“オリジン”の意匠を高級時計に求められるクオリティで再現した、傑作機となっている。第3位の人気というのも納得だ。
第2位: 「MRG-B2000B-1A4JR」
タフソーラー。Tiケース(縦54.7×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。34万6500円(税込み)。
第2位は、「赤備え」とも称される「MRG-B2000B-1A4JR」だ。第4位にランクインしたMRG-B2000B-1AJRと同様に、日本の武具をモチーフとしたシリーズ。本作は22年に発表された。
赤備えは、戦国時代から江戸時代にかけて見られた部隊編成のことで、武具を朱塗りに統一したことを特徴とする。当然ながら、戦場で朱色は目立つ。そのため武勇に秀でた武将が率いる精鋭部隊がこの編成を採ることが多く、武田軍や真田軍が代表として知られている。
本作は赤備えを再現するため、日本の伝統色「深紅(こきべに)」をロゴ、文字盤の見返しやインダイアル外周、秒針にあしらった。MRG-B5000B-1AJR同様にブラックのチタン製ケースとブレスレットが、ゴールドカラーのリュウズやインデックス、そして深みのあるレッドと融合し、重厚感のある意匠に仕上がっている。刀の反りをイメージしたインデックスや文字盤外周の屏風、扇モチーフも手伝って、細部まで特別感を楽しめる高級G-SHOCKではないだろうか。
第1位: 「MRG-BF1000R-1AJR」
タフソーラー。Tiケース(縦56×横49.8mm、厚さ16.9mm)。20気圧防水。59万4000円(税込み)。
23年、MR-Gコレクションで最も売れたモデルは「MRG-BF1000R-1AJR」だ。今年発表された最新作で、発売から1年が経たず、かつMR-Gシリーズの中でも高価格帯に位置するにもかかわらず、No.1人気というところに本作の実力を感じる。
本作は、G-SHOCKの「マスター・オブ・G」の、ダイバーズウォッチラインにあたる「フロッグマン」をMR-Gに落とし込んだモデルだ。フロッグマンのアイコニックな左右非対称ケースや、ISO規格の200m潜水用防水に代表される高いスペックはそのままに、チタン素材を用い、かつ高級感を備えている。
フロッグマンの形状もまた凹凸が多く、非常に複雑である。しかし本作にも、MR-Gらしい上質な仕上げが与えられた。なお、組み上げられるパーツはリュウズ、ボタン、ビス、防水性を保つOリングや緩衝体を含めると70以上に及ぶとのこと。
なお、今回紹介しているMR-Gの全ての現行モデルはモバイルリンク/アプリ連携機能を搭載しており、専用アプリ「CASIO WATCHES」をダウンロードし、Bluetoothでスマートフォンと連携することが可能だ。さらに本作はダイバーズウォッチらしく、スマートフォン上でタイドポイントを設定することで、任意の港の時刻をデュアルタイム時分針に表示させたり、ダイビングログを撮影画像とともにタイムライン表示させたりといった機能も備えている。
高級時計としても高機能なスポーツウォッチとしても、チェックしておきたい1本だ。
2024年もMR-Gの拡充に期待!
23年、カシオの売り上げデータをもとに、MR-Gの中で最も売れたモデルTOP5を紹介した。現在、販売されているMR-Gの現行品は13種。この中から多彩なモデルがランクインしており、MR-Gが幅広い層の顧客にアプローチしていることが分かる。
冒頭でも述べた通り、カシオはMR-Gシリーズに注力している。24年は、どんな新作が投入されるのだろうか? 今年の人気ランキングの顔触れを見ると、ついつい期待してしまう。
https://www.webchronos.net/features/95281/
https://www.webchronos.net/features/81022/
https://www.webchronos.net/features/97417/