「MT-G」は、メタルと樹脂というふたつの素材が融合したG-SHOCKの上位シリーズ。今回は、このMT-Gにおける、カシオの売り上げ本数データをもとにした2023年人気ランキングTOP5を紹介する。
Text by Kento Nii
[2023年12月19日公開記事]
G-SHOCKの上位ライン「MT-G」の年間売上本数TOP5
「MT-G」はG-SHOCKの上位機種として、1999年に登場したシリーズだ。スタンダードラインと最上級ラインであるMR-Gの中間に当たるミドルレンジシリーズであり、新たな素材、構造を次々と設計に取り入れることで、G-SHOCKの中でも独自の路線を走り続けてきた。特徴は、G-SHOCKの初号機から使用されている樹脂にメタルを組み合わせ、それぞれの利点を活かした構造美を追求していることだ。
現行のMT-Gで、この追求の姿勢が顕著に表れているのが、「コアガード構造」に代表される耐衝撃構造だろう。コアガード構造は、モジュールを樹脂製のインナーケースで覆い、メタルの外装でふたをする手法が採られている。この手法により、耐衝撃構造、対遠心重力性能、耐震動構造の3つを兼ねる「トリプルGレジスト」を実現。金属の質感と樹脂が生み出すタフネスを両立しているのである。また、ブレスレットについても同様であり、裏側にファインレジンパーツを埋め込む「レイヤーコンポジットバンド」を採用することで、上質さと快適な装着感を備えた。
これらの構造が生み出す耐久性、実用性は極めて高い水準にあり、重厚感あふれる出立ちも含めて、MT-GはG-SHOCKの上位機として成立していると言える。
現在MT-Gでは、「MTG-B1000」「MTG-B2000」「MTG-B3000」の計3シリーズが展開されている。大まかな機能面は共通しており、ソーラー充電システムであるタフソーラーと、世界6局での標準電波受信が可能なマルチバンド6を搭載。さらに20気圧防水を備えるだけでなく、Bluetoothによるスマートフォンとの連携機能も実装しており、その多機能性も魅力に数えられる。
そんなMT-Gの、2023年売り上げ本数TOP5に輝いたのはいったいどのモデルなのか? 確認していこう。
第5位: 「MTG-B2000YBD-1AJF」
タフソーラー。カーボン×SSケース(縦55.1×横49.8mm、厚さ15.9mm)。20気圧防水。17万500円(税込み)。
まず第5位には、21年10月に発売された「MTG-B2000YBD-1AJF」がランクイン。ステンレススティール製が基本であったベゼルパーツにカーボンを採用し、軽量化を図ったモデルだ。
トータルブラックカラーにレッドで差し色を加えた精悍なビジュアルは、近代スーパーカーのようなスタイリッシュな意匠が魅力と言える。また、質感の違いによって際立つ12角形のベゼルもスポーティーなテイストを強調しており、プライベート、ビジネスカジュアルとの相性の良さがうかがえる。
耐衝撃構造は、モジュールを保護するカーボンモノコックケースを、メタルのベゼルとフレームでさらに覆う「デュアルコアガード構造」を採用する。加えて、ケース側面のベゼルフレームには235枚ものカーボンとグラスファイバーのシートを積層した「カーボン積層フレーム」が採用されており、いっそう耐久性が追求されている。
第4位: 「MTG-B3000BD-1AJF」
タフソーラー。カーボン×SSケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。14万8500円(税込み)。
第4位には、22年登場の「MTG-B3000」シリーズから、「MTG-B3000BD-1AJF」がランクインしている。造形美が際立つブラックケースに、レッドのアクセントカラーでメリハリをつけた一本だ。メタル部にはザラツ研磨を活かしてシャープなエッジを演出し、タフネスながらもエレガンスを体現するモデルに仕上がっている。
MTG-B3000の特徴は、薄型ケースだ。モノコックケースを覆うステンレススティール製の裏ぶたにラグ、リュウズガード、ボタンガードといった機能を与えることで、デュアルコアガード構造のタフネスはそのままに、ケースのスリム化を実現しているのである。
なお、MTG-B3000シリーズは、工具無しでストラップを交換できるワンプッシュ式交換バンド構造を備えている。その日の気分に合わせたバンド交換も楽しめるだろう。
第3位: 「MTG-B1000D-1AJF」
タフソーラー。樹脂×SSケース(縦55.8×横51.7mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。12万1000円(税込み)。
第3位には、「MTG-B1000D-1AJF」がランクイン。18年の登場以来、人気を誇ってきた定番モデルが「MTG-B1000」シリーズで唯一のTOP5入りとなった。
精悍さとメタルの質感が際立つ本作だが、ブレスレットにまで及ぶレッドのアクセントカラーも個性の演出に一役買っており、現在までの根強い人気もうなずける仕上がりを見せている。後継機に比べて価格が抑えられているため、エントリーモデルとしておすすめできる点も魅力と言えるだろう。
耐衝撃構造には「コアガード構造」を採用する。この構造では、ベゼル、裏ぶた、ラグを4つのパイプで接続したボックス型フレームが、モジュールを内包するカーボンファイバー強化樹脂ケースを覆っている。このフレームは、衝撃を軸ではなく面で受け止めることで耐衝撃性を高めており、過去モデルからのダウンサイジングにも貢献している。
第2位: 「MTG-B3000D-1A9JF」
タフソーラー。カーボン×SSケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。14万3000円(税込み)。
第2位は、23年7月に発売したばかりの「MTG-B3000D-1A9JF」となった。ベゼル、ダイアルに差し込まれたゴールドカラーが程よい高級感を演出する一本だ。
ベゼルのゴールドカラーはIP(イオンプレーティング)コーティングによるもので、全面にゴールドIPコーティングを施した後に、ヘアライン加工で凸部のみ地の色を露出させることでこの配色を実現している。ゴールドを全面に押し出さず金属本来の質感をメインとしたことで、汎用性の高さと高級感の両立に成功している点も、高い人気の理由と考えられる。
耐衝撃構造にはデュアルコアガード構造を採用する。もちろん本作も簡単にバンドの付け替えが可能であるため、ウレタンストラップに変更してスポーティーなテイストを強調するのもおすすめだ。
第1位: 「MTG-B3000D-1AJF」
タフソーラー。カーボン×SSケース(縦51.9×横50.9mm、厚さ12.1mm)。20気圧防水。14万3000円(税込み)。
第1位は、「MTG-B3000D-1AJF」だ。「MTG-B3000」シリーズの中でも最もスタンダードなモデルが、2023年で最も人気を集めたMT-Gとなった。
ブラックとシルバーの組み合わせは、G-SHOCKにおける樹脂とメタルの組み合わせを象徴するカラーリングと言える。そういった意味で本作はMT-Gの王道カラーを採用したモデルであり、その高い人気も納得だ。また、モノクロカラーモデルはビジネスでも出番が多いため、デイリーユースウォッチとして押さえておきたい一本である。
なお、ベゼルは、2位のMTG-B3000D-1A9JFと同様に、全面にブラックIPコーティングした後に、ヘアライン加工によってステンレスを露出させる手法が採られている。また、耐衝撃構造には、引き続きデュアルコアガード構造を採用している。
ロングセラーから新作までが勢ぞろい
今回のランキングでは、MTG-B1000、MTG-B2000、MTG-B3000の現行コレクションすべてがバランスよくランクインすることとなった。一方で、最新シリーズであるMTG-B3000が多くランクインしているのは、着実なその進化が評価された結果と考えられるだろう。
2023年までG-SHOCKでは、誕生40周年を祝うキャンペーンが敢行されてきた。そして来たる24年には、MT-Gも誕生25周年を迎える。今後もその独自路線を維持した、さらなる進化を見せてくれるに違いない。
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