1995年に誕生した「ザ・シチズン」。現在では光発電システム「エコ・ドライブ」を搭載し、高精度と優れた金属加工技術により時計愛好家を引きつけてやまない。シチズンがなぜこれほど多くの人に愛されているのか。2023年に登場した新モデルとあわせて、ザ・シチズンの魅力を余すことなく紹介しよう。
メーカー旗艦ライン「ザ・シチズン」の美
ザ・シチズンは、シチズン時計の数あるブランド中で旗艦ラインに位置する。1995年の誕生以来、シンプルかつハイクオリティな時計をリリースしてきた。高級感のあるデザインや高い品質から、ザ・シチズンの時計は多くのエグゼクティブたちに愛されている。
視認性の高い普遍的な文字盤デザイン
ザ・シチズンの時計が持つ特徴としてまず挙げられるのは、視認性を高めた文字盤だ。インデックスは多面形状に仕上げ、角度を問わず時刻を判別できるようにした。さらにカバーガラスには光の反射を抑える「クラリティ・コーティング」が採用されている。
非常にシンプルな文字盤には、無駄な装飾がない。ザ・シチズンが重視するのは、優れた視認性と使いやすさ、年齢を問わず着けられる普遍的な美しさである。
シンプルな造形ながら高級感も十分という点が、ザ・シチズンの魅力だ。一部のエコ・ドライブモデルでは、文字盤に柔らかな風合いの和紙を使って日本らしい高級感を演出している。
マニュファクチュールならではの妥協ない仕上がり
シチズンは世界でも有数の「マニュファクチュール」だ。マニュファクチュールとは、部品から完成形の時計まで、一貫して自社で製造できるブランドを指す。
ザ・シチズンの時計は全て、シチズン時計の工場で製造されたパーツを「南信州高級時計工房」に集めて組み上げられる。ホコリやチリが徹底的に排除され、シチズンのコレクションの中で、高級モデルだけを扱っている工房だ。
類いまれな技術を持つ「時計組立マイスター」によって、ザ・シチズンの時計は丁寧に組み立てられていく。ケースの仕上げやプレス加工、研磨などは専任の職人が担う。
多くの職人たちが己の技術と経験を駆使し、美しく品質の高い時計を作り上げているのである。
実用性に注力するザ・シチズン
ザ・シチズンが力を入れているのは、見た目の美しさだけではない。「時を正確に刻む」というシチズン時計の理念を体現すべく、高精度な時計を展開してきた。長期の無償保証や無償点検といったサポートも、実用的な時計を求める人にとって大きな魅力である。
限りなく正確な1秒を刻む精度
ザ・シチズンには機械式の時計も、光発電「エコ・ドライブ」の時計もある。いずれの駆動方式でも、高い精度を実現した。
特にクォーツ時計の精度は驚異的だ。厳選した水晶振動子だけを使用し、自社製造とすることで年差±5秒、年差±1秒という高い精度を実現している。
年差±5秒のモデルでは、完成した水晶振動子を半年寝かせた後、周波数の特性を見極めている。年差±1秒のモデルの場合、採用の基準がさらに厳格だ。「ATカット型水晶振動子」を採用し、エイジングを重ねて安定させる過程で周波数を調べ、経時変化がより少ないものを厳選している。
最長で10年の無償保証・無償点検
*「シチズン オーナーズクラブ」に未登録の場合は、1年間のメーカー保証となる。
「ザ・シチズン」は、最長10年間の無償保証や無償点検のサービスを用意している。ザ・シチズンをはじめシチズン時計の特定ブランドを購入すると登録できる特別なクラブ「シチズン オーナーズクラブ」に加入すれば、無償保証・無償点検のサービスが利用できる仕組みだ。
保証期間内なら、特に異常がなくても無償点検を受けることができる。外観から基本的な動き、ムーブメントの残留磁気検査まで、時計の健康状態をシチズン時計の工場で多角的に調べるサービスだ。
時計内部の部品が壊れてしまったときは、ザ・シチズンの時計を作っている「南信州高級時計工房」で、時計組立マイスターが修理してくれる。時計の実用性を長く保つために、ザ・シチズンは労力を惜しまない。
ザ・シチズンが展開する3つのシリーズ
ザ・シチズンには2023年12月現在、3種類のシリーズがある。機械式の「メカニカル」と、光で発電できる「年差±1秒 エコ・ドライブ」「年差±5秒 エコ・ドライブ」だ。それぞれの特徴を押さえて、気に入るモデルを選ぼう。
メカニカル
自動巻き(Cal.0200)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40.0mm、厚さ10.9mm)。5気圧防水。104万5000円(税込み)。世界限定200本。
「メカニカル」は名前の通り、機械式時計を展開するシリーズだ。日差-3〜+5秒の「Cal.0200/0210」を搭載している。2023年12月時点のラインナップは、数量限定モデルを含む3モデルだ。いずれも特定店でのみ販売されている。
自動巻き(Cal.0210)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.2mm)。10気圧防水。88万円(税込み)。※特定店限定モデルで、「シチズン フラッグシップストア」及び「シチズン プレミアムドアーズ」のみの取り扱い。
「Ref.NC0207-07A」はセラミックスのベゼルと姫路黒桟革のストラップを組み合わせ、清廉なイメージに仕上げた1本である。「Ref.NC1000-51E」「Ref.NC1001-58A」はいずれも、2023年12月9日に発売された新作だ。Ref.NC0207-07Aは5気圧防水だが、新作2本は10気圧防水となっている。
自動巻き(Cal.0210)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.2mm)。10気圧防水。88万円(税込み)。※特定店限定モデルで、「シチズン フラッグシップストア」及び「シチズン プレミアムドアーズ」のみの取り扱い。
年差±1秒「エコ・ドライブ」
光発電エコ・ドライブ(Cal.0100)。フル充電時約8カ月間駆動(パワーセーブ作動時)。18KYGケース(直径37.5mm、厚さ9.1mm)。5気圧防水。特定店限定50本。220万円(税込み)。
シチズン時計の技術力を余すことなく堪能できるのが、年差±1秒「エコ・ドライブ」だ。1年間稼動し、1秒しか狂いが出ないというのは、業界では類を見ない屈指の精度といえるだろう。時を刻むという時計本来の役割に重点を置き、常に高みを目指してきたザ・シチズンの努力が見て取れる。
動力は光発電「エコ・ドライブ」なので、巻き上げや定期的な電池交換は必要ない。ラインナップは特定店限定販売の6本。中でも50本限定の「Ref.AQ6032-03P」は、ケースに18Kイエローゴールドと文字盤に「土佐清帳紙」を採用し、高級感あふれる仕上がりとなっている。
年差±5秒「エコ・ドライブ」
光発電エコ・ドライブ(Cal.A060)。年差±5秒。フル充電時約1.5年可動(パワーセーブ作動時)。スーパーチタニウム™ケース(直径38.3mm、厚さ12.2mm)。10気圧防水。世界限定500本。45万1000円(税込み)。
「エコ・ドライブ」搭載のザ・シチズンには、年差±5秒のシリーズもある。年差±1秒のモデルと比べれば精度が低く感じるかもしれないが、一般的なクォーツ時計の精度は月差±20秒ほど、年差に換算すれば240秒だ。年差±5秒は実に驚くべき精度だと分かるだろう。
現在、ザ・シチズンには現行モデルが16本あり、その中には日本の伝統文化を取り入れたモデルが揃う。一部を除き、特定店以外でも販売されているので、特定店まで足を運ぶのが難しい人におすすめのシリーズでもある。
2023年11月9日には、世界限定500本の新作「Ref.AQ4100-65W」が登場した。伝統技法「砂子蒔き」で和紙の上にプラチナ箔を散らせ、舞い散る雪のような美しさを表現している。
ザ・シチズンで至高のひとときを
ザ・シチズンは、シチズン時計の中でも旗艦に位置するブランドだ。価格はもちろん安いとはいえないが、それに見合うだけの品質を誇る。年齢を選ばない普遍的なデザインは、これからの人生をともにするタイムピースとして価値があるだろう。
シチズン時計は光発電モデルが有名ではあるが、ザ・シチズンには機械式の時計も用意されている。幅広い時計愛好家から愛されるザ・シチズンは、今後も高みを目指して技術を尽くしていくはずだ。
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