「ブラックベイ 58」は、数あるチューダーウォッチの中でも、特に高い人気を誇るコレクションだ。絶妙なサイズ感と汎用性の高さを特徴に持ち、さらに性能面にも優れている。ブラックベイ 58の魅力とおすすめモデルを見ていこう。
チューダー「ブラックベイ 58」とは
チューダー「ブラックベイ」には、さまざまな派生コレクションが存在し、「ブラックベイ 58」もその中のひとつだ。どのような特徴や魅力があるのか、まずはブラックベイ 58について深く理解しておこう。
往年の名機に敬意を表したモデル
ブラックベイ 58は、チューダーのダイバーズウォッチ、「Ref.7924」に敬意を表した時計だ。“58”という数字は、Ref.7924が発表された1958年にちなんだものである。
Ref.7924は、チューダーが初めて200m防水を実現したモデルでもある。そのリュウズの大きさから命名された、通称「ビッグクラウン」と呼ばれていた同機は、ドーム型の文字盤や細いラグなどの特徴を持つ。
ブラックベイ 58は、1958年に「Ref.7924」が誕生してから60周年の年に発表された。ケースサイズや特徴的なプロポーションは、オリジナルモデルから忠実に継承したものである。
絶妙なサイズ感
ブラックベイ 58の最も大きな特徴は、39mmというケースサイズである。39mmのケース径は、1950〜60年代のダイバーズウォッチに多く見られたケースサイズだ。
一般的なダイバーズウォッチはケースサイズが大きく、メンズ時計のケース径は40mmを超えるモデルが多い。
39mmというケース径は、多くの日本人男性にフィットしやすい絶妙なサイズ感だ。ケースの厚さや時計全体の重量も抑えられており、デイリーユースでのストレスを感じにくい。
信頼性の高いムーブメント
ブラックベイ 58には、自社製ムーブメントCal.MT5400とCal.MT5402が搭載されてきた。このふたつのムーブメントは、約70時間のロングパワーリザーブを誇り、いずれもC.O.S.C. (スイス公認クロノメーター検定)認定を取得。精度の高さも折り紙つきだ。
さらに2024年にはCal.MT5450-Uが登場。GMT機能が付加されたこのムーブメントは、METAS(スイス連邦計量・認定局)によるマスター クロノメーター認定機なのだ。1万5000ガウスという耐磁性能に代表される、厳格なテスト項目を突破した本機の登場は、時計市場でのチューダーの存在感をいっそう高めている。
なお、ブラックベイ 58の一部のモデルは、ダイバーズウォッチとしては珍しいトランスパレントバックだ。搭載ムーブメントの精緻な機械美が堪能できる。
ファッションを選ばない汎用性
ブラックベイ 58の大きな魅力として、ファッションを選ばない汎用性も挙げられるだろう。洗練されたクラシカルなデザインは、スーツと組み合わせても違和感がない。
一部のモデルには、メタルブレスレットとは別に、付け替え可能なストラップが用意されていることも魅力だ。本体との組み合わせをスタイルやシチュエーションに応じて楽しめる。
チューダーは腕時計にファブリックストラップをいち早く採用したブランド。フランスの伝統技法を用いて生み出されるファブリックストラップは、今やチューダーのアイデンティティの一部となっている。
チューダー「ブラックベイ 58」の現行モデル
ブラックベイ 58の現行モデルを紹介する。それぞれの魅力を確認し、どれを選ぼうか迷った際の参考にするとよいだろう。
「ブラックベイ 58 GMT」Ref.M7939G1A0NRU
自動巻き(Cal.MT5450-U)。34石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。SSケース(直径39mm、厚さ12.8mm)。200m防水。64万3500円(税込み)。
2024年にコレクションに加わった、新作「ブラックベイ 58 GMT」。前述したマスター クロノメーター認定のCal.MT5450-Uを搭載しており、1万5000ガウスの耐磁性能を有している。もちろん精度や堅牢性、信頼性にも優れている。
さらに本作は、GMT機能と日付の早送り機能を併載していることも特筆すべき点だ。時針を動かして第2時間帯を合わせるタイプのGMTウォッチは、一般的には日付の早送り機能が付いていない。日付を逆戻しすると、早送りのためのバネが壊れてしまうためだ。しかしCal.MT5450-Uはこの両立を実現したことに加えて、針を逆戻しして日付を戻した直後に、さらに針を進めると、日付はクイックチェンジではなくゆっくりと切り替わるというセーフティー機能をも付けられている。
ヴィンテージウォッチをほうふつとさせる、アルミベゼルによるブラック×レッドの配色のベゼルといった意匠も、時計愛好家の心をくすぐるだろう。
「ブラックベイ 58」 Ref.M79030N-0001
自動巻き(Cal.MT5402)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。200m防水。56万1000円(税込み)。
Ref.M79030N-0001は、2018年に発表されたブラックベイ 58の初代モデルだ。2018年はチューダーが日本初上陸を果たした年であり、このモデルは、瞬く間にチューダーのフラッグシップモデルとなった。
ベゼルに配されたアラビア数字と、12時位置に見られるレッドのアクセントカラーが、ヴィンテージ感あふれるデザインに仕上がっている。ムーブメントは両方向回転ローターシステムを備えたCal.MT5402が搭載されている。
時針と秒針は、チューダーを象徴するスノーフレーク針が採用されている。
「ブラックベイ 58 925」 Ref.M79010SG-0002
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。シルバーケース(直径39mm、厚さ12.7mm)。200m防水。65万100円(税込み)。
「ブラックベイ 58 925」は、ケース・リュウズ・ベゼルに「シルバー925」が使われているモデルである。シルバー925は往年の時計でよく採用されていた素材であり、シルバー特有の黒ずみが発生しにくいといわれている。
文字盤・ベゼル・ストラップのトープは、クラシカルかつ上品なカラーだ。トープとはフランス語で「モグラ」を意味し、カラーとしてはブラウンがかったグレーの色味である。
ブラックベイ 58 925は、コレクションで初めてトランスパレントバックが採用された。マニュファクチュールムーブメントCal.MT5400の動きを、ケースバックから鑑賞できる。
「ブラックベイ 58 ブロンズ」 Ref.M79012M-0001
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブロンズケース(直径39mm、厚さ11.9mm)。200m防水。ブティック限定モデル。68万900円(税込み)。
「ブラックベイ 58 ブロンズ」のブロンズ製ケースは、いにしえの船やダイビングの装備からインスピレーションを得ている。ベゼルとブレスレットもブロンズ製だ。
チューダーの初代ダイバーズウォッチにも見られる、リュウズガードがないデザインを特徴に持つ。また文字盤に3・6・9の数字を配した、ブラックベイ 58では唯一のモデルでもある。
ブレスレットの“T-fit”クイックアジャストクラスプは、チューダー独自のアジャスティングシステムだ。この機構により、8mmの範囲内でブレスレットの長さを5段階で調節できる。
「ブラックベイ 58 18K」 Ref.M79018V-0006
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径39mm、厚さ12.7mm)。200m防水。448万8000円(税込み)。
2024年にはGMTウォッチのほか、ゴージャスな18Kイエローゴールド製モデルのブラックベイ 58も発表された。ツールウォッチのイメージが強いチューダーの中では、珍しいポジションのモデルと言える。
また、深みのあるグリーンをベースに、ゴールドカラーがちりばめられた「ゴールデングリーン」がカラーとして組み合わされていること、そしてツヤのないマットなベゼルインサートを備えていることから、ギラギラしすぎない、シックで落ち着いた意匠にまとめあげられている。
ずっしりと重厚感のある18Kイエローゴールドが、手元で抜群の存在感を放ってくれるだろう。
ブラックベイ 58は新たなダイバーズウォッチのスタイル
チューダーのブラックベイ 58は、200m防水を誇る初のチューダー ダイバーズウォッチに敬意を表して誕生したモデルだ。絶妙なサイズ感や高い汎用性は多くの人を魅了する。
ムーブメントの性能も高く、チューダーらしい意匠も随所に表現されている。ブラックベイ 58は、あらゆるライフスタイルに対応できるダイバーズウォッチの新たなスタンダードだ。
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