幅広いユーザーのニーズに対応した、多彩なコレクションを有するオメガ。さらに同一コレクション内にもバリエーションが多数あり、どのモデルを購入したらよいか迷ってしまうこともあるだろう。そこで今回は、オメガの広報担当者が、人気の高いモデルから個人的なおすすめを5本選び、順位付けしたランキングを紹介する。
Text by Chieko Tsuruoka(Chronos-Japan)
[2023年12月22日公開記事]
オメガの広報担当者が、人気モデルからおすすめを厳選
長い歴史の中で培われてきたハイレベルな技術力と開発力を背景に、極めて高品質な高級時計を製造してきたオメガ。こういった、性能や審美性を突き詰めた製品のクォリティは言わずもがな、ブランド戦略も傑出しており、高い知名度と幅広いユーザーからの人気を獲得している。さまざまなユーザーのニーズに対応する、多彩なコレクションを取りそろえているのもオメガの特徴のひとつだ。NASAの月面着陸プロジェクトに携行された歴史的背景を持つ、アイコニックな「スピードマスター ムーンウォッチ」や、優れた性能とタウンユースにもマッチした意匠を備える「シーマスター」、ドレッシーな「デ・ヴィル」など、一体どのモデルが良いのか迷ってしまうこともあるだろう。
そこで今回、オメガの広報担当者に、人気モデルのうち、個人的におすすめしたい5本をピックアップしてもらい、順位付けしていただいた。
人気モデルというと、定番どころばかりがランクインするかと思いきや、特に文字盤カラーで意外な結果を見ることができた。
第1位「スピードマスター ムーンウォッチ」
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。50m防水。123万2000円(税込み)。
オメガの人気モデルのうち、広報担当者がおすすめする。第1位には、「スピードマスター ムーンウォッチ」の名前が挙がった。
オメガといえば、このモデルの顔をまずイメージするファンも多いだろう。名前の「ムーンウォッチ」が示すように、1965年にNASAの公式装備品に採用され、69年のアポロ11号をはじめ、月面着陸や宇宙船内外での活動に携行された歴史を持つシリーズだ。
加えて、搭載される手巻きムーブメントがレマニアのアルバート・ピゲが設計したCal. 27 CHRO C12の系譜を継承していたり、60年代に誕生した第4世代から大きくデザインを変えず、アイコニックな意匠を受け継いでいたりと、何かと時計愛好家の心をくすぐるキャラクターを備えている。さらに現行モデルはマスター クロノメーターに準拠。現代オメガがスタンダードとする、高性能を獲得した。
現行スピードマスター ムーンウォッチのステンレススティールモデルには2型がある。ヘサライト風防のRef.310.30.42.50.01.001と、サファイアクリスタル風防のRef.310.30.42.50.01.002だ。広報担当者の話によると、どちらも売れるモデルだが、サファイアクリスタル風防の方が、「圧倒的」に人気が高いという。
「スピードマスターの歴史に引かれるお客様はヘサライト風防のモデルを選ばれますが、人気というとサファイアクリスタル風防のモデルです」
ちなみに、社内で人気のモデルを聞いたところ、やはりスピードマスター ムーンウォッチだという。しかも、男女問わず人気であり、今回の企画にあたってヒアリングした際に、その場にいた女性スタッフ4人全員がムーンウォッチを着用していたほどだ。
本作は、年代や性別を超えて、タイムレスにおすすめできる1本である。
第2位「シーマスター ダイバー300M」
自動巻き(Cal.8800)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.6mm)。300m防水。91万3000円(税込み)。
オメガの広報担当者が2番目におすすめしたいと挙げたのは、ケース径42mmの「シーマスター ダイバー300M」だ。2018年にリニューアルして以来、ダイバーズウォッチとしての高性能と、セラミックス製の光沢あるダイアルやベゼルに代表される高いデザイン性、そして多彩な文字盤カラーや素材のバリエーションを有するコレクションだ。これだけ多彩だと、さまざまなユーザーがお気に入りの1本を見つけやすいだろう。実際に広報担当者も、「エントリーモデルというポジションでありながら、40代〜50代のお客様にもご購入いただいています」と語る。
自動巻き(Cal.8800)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.6mm)。300m防水。91万3000円(税込み)。
コレクション全体が人気というのは分かるが、では、いったいどのモデルがよく売れているのだろうか? 人気モデルの代表格はブラック文字盤のRef.210.30.42.20.01.001だった。定番のブラック文字盤はさまざまなシーンで使いやすく、人気が集中するのは納得だ。
しかし、ブラック文字盤の次に人気のモデルを聞いた時、驚かされた。というのも、ブルーやホワイトではなく、グリーン文字盤のRef.210.30.42.20.10.001が挙がったためだ。確かにここ数年ほどで、オメガに限らず、グリーン文字盤を備えたモデルは増えた。その多くは発色がよく、またニュアンスカラーであったりディープカラーであったりと、多種多彩だ。とはいえ“定番外し”といった印象は拭えず、ブルーやホワイトを抑えてグリーン文字盤モデルが人気という話には驚かされた。
「初めてご購入になるお客様というより、2本目以降の(高級時計を購入する)方が流れてくるモデルなのではないかと思います」と、広報担当者は分析する。
ちなみに、3番目に人気のモデルは18年の誕生からレギュラーモデルとしてラインナップされるブルー文字盤だが、広報担当者のおすすめは4番目に人気のサマーブルーコレクションだ。
自動巻き(Cal.8800)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.6mm)。300m防水。96万8000円(税込み)。
サマーブルーコレクションは、23年、シーマスター誕生75周年の節目に登場した計11本のモデルの総称だ。防水性に応じた濃淡を表現したブルー文字盤を備えた11モデルは、これまでのブルーとは異なる色合いを実現した。「シーマスター ダイバー300M」は、まだ太陽光が届く浅瀬から深海へと続くかのようなグラデーションカラーの文字盤を備えている。レーザー加工によって文字盤に施されたシーマスター ダイバー300Mの特徴的なウェーブ模様と相まって、同コレクションの他のモデルとも違った雰囲気を持つに至った。スタイリッシュなデザインは、オールシーズンで身に着けたい1本だ。
第3位「シーマスター ダイバー300M 007エディション」
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。Tiケース(直径42mm、厚さ13mm)。300m防水。155万1000円(税込み)。
第3位としてピックアップされたのは、第2位に同じくシーマスター ダイバー300Mの「007 エディション」だ。2021年10月に公開された映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」の作中でジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグが着用し、かつ彼の意見を取り入れてデザインされたスペシャルエディションである。
モダンなテイストの強いシーマスター ダイバー300Mだが、本作はマット仕上げのケースにトロピカルブラウンカラーのアルミニウム製ベゼルとダイアル、そしてヴィンテージ調の蓄光塗料がクラシックな風合いを醸し出している。素材はチタンであるため、見た目の精悍さとは相反して軽量であることも大きな特徴であり、本作を実際に触ったユーザーは驚くと広報担当者は語る。
「ボンドウォッチの人気は衰えず、映画の影響は大きいです。しかし、映画の影響を超越してデザイン的な人気があります。(チタン素材で軽いため)着け心地からもおすすめです」
「007 エディション」にはメッシュブレスレットのほか、NATOストラップのモデルも販売されている。映画のファンであってもそうでなくても楽しめるスペシャルエディションだ。
第4位「シーマスター アクアテラ」41mm
自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.2mm)。15気圧防水。96万8000円(税込み)。
第4位として名前が挙がったのが、「シーマスター アクアテラ」41mmモデルの、ブルー文字盤だ。シーマスター ダイバー300Mとは異なり、本シリーズはブルーがNo.1人気を誇るという。
シーマスターの中にあっては回転ベゼルを持たないモデルで、加えて、本作はチークコンセプトと称される横方向のラインを備えた文字盤意匠を持つ。ケースとブレスレットはポリッシュ仕上げの面が多く、きらびやかな印象を与えるのもシーマスター アクアテラの特徴のひとつだ。
シーマスター アクアテラもまたバリエーションが豊富であり、サイズや素材、文字盤カラーが多彩だ。ちなみに本作の次にメンズで人気の文字盤カラーを聞いたところ、ブラック、そしてグリーンが挙げられた。
自動巻き(Cal.8900)。39石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm、厚さ13.2mm)。15気圧防水。96万8000円(税込み)。
2020年にコレクションに追加されたシーマスター アクアテラのグリーン文字盤は、シーマスター ダイバー300Mのグリーンとはまた違った発色だ。グリーンは“定番外し”な色調だが、全体的にシンプルなデザインであるため、ジャケットの袖口からさりげない存在感を放ってくれることだろう。
第5位「シーマスター ダイバー300M ブラック ブラック」
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。ブラックセラミックケース(直径43.5mm、厚さ14.5mm)。300m防水。146万3000円(税込み)。
最後に挙がったのは、外装がブラックでまとめられた「シーマスター ダイバー300M ブラック ブラック」だ。2021年に発表されたモデルである。
今回の企画は人気モデルから選ぶという趣旨であるため、ベーシックなモデルばかりが並ぶと予想していた。そのため、オールブラックという、グリーン文字盤以上に“定番外し”な本作が挙げられたことには、少し驚いた。
「(人気モデルというと)シーマスター ダイバー300Mやシーマスター アクアテラの(今回取り上げているモデル以外の)カラー違いが並ぶ中、そこに割って入るのが漆黒のこのモデル」(オメガ広報担当者)
本作がユニークなのは、カラーだけではない。セラミックス製の文字盤にレーザー加工でウェーブパターンがあしらわれているのは、これまで紹介してきたシーマスター ダイバー300Mに同じ。さらに本作はベゼルにもレーザー加工で梨地模様が施されており、文字盤と同化せず、ユニークな意匠と判読性を両立している。
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