多彩なシリーズ展開が行われているG-SHOCK。今回は、陸、海、空、それぞれでの使用を想定した性能が特徴の、「MASTER OF G(マスターオブG)」シリーズにフォーカス。カシオの売り上げ本数データをもとにした、2023年人気ランキングTOP5を紹介する。
Text by Shin-ichi Sato
[2023年12月26日公開記事]
2023年、「MASTER OF G(マスターオブG)」の人気モデルはどれ?
「MASTER OF G」は、堅牢なツールウォッチとして評価の高いG-SHOCKを、さらに「陸G」、「海G」、「空G」として3つの過酷な環境に特化させ、進化させたシリーズである。G-SHOCKの基本性能に磨きをかけつつ、各環境で求められる性能や機能を盛り込んだことで、極限に挑戦し続けるプロフェッショナルに向けたモデルとして仕上げられている。また、そのストイックなスタイリングと性能はタウンユースでも存在感を放ってきた。
そんなMASTER OF Gは、それぞれのステージで多彩なバリエーションが展開されている。2023年は、どのモデルが最も人気となったのか? カシオの売り上げ本数データをもとにした、MASTER OF Gの23年人気ランキングTOP5を紹介しよう。
第5位: 「フロッグマン GWF-1000-1JF」
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ約26カ月(パワーセービング時)。樹脂×SSケース(縦58.3×横52.8mm、厚さ18mm)。200m防水。8万2500円(税込み)。
第5位に、ISO規格200m防水を備えた電波ソーラーモデルである「フロッグマン GWF-1000-1JF」がランクイン。フロッグマンはISO規格に準拠した本格ダイバーズモデルで、「〇〇マン」という命名が初めて用いられたシリーズでもある。その名前は、装備を着用した潜水工作員がカエルのように見えることからそのように呼ばれていることと関連しており、「潜水ガエル」がキャラクターとして用いられている。
世界6局の標準電波を受信可能で、ログデータメモリーやタイドグラフ、ムーンデータの表示機能も備えるため、世界各国でダイビングを楽しむ人に好適なモデルだ。また、ケースが9時側にオフセットしており、時計着用時に手の甲に干渉することを抑えている点や、ケース上面の大型のビス、爪でベゼルを抑えているかのようなシルエットがフロッグマンのデザインコードである。アクティブなライフスタイルに合った構成の1本と言えるだろう。
第4位: 「マッドマスター GWG-2000-1A1JF」
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ約25カ月(パワーセービング時)。樹脂×SSケース(縦61.2×横54.4mm、厚さ16.1mm)。20気圧防水。10万5600円(税込み)。
第4位には、瓦礫や土砂が山積・散乱するようなハードな環境での使用を想定した「マッドマスター GWG-2000-1A1JF」がランクイン。カラーは、ブラックをベースにシャンパンカラーのベゼルを組み合わせたモデルとなる。本作は2021年に発表されたモデルで、マッドマスターの特徴である土砂や泥濘の中での任務に求められる防塵・防泥構造はそのままに、ダウンサイジングを行ったことが特徴だ。小径化は、着用感の向上に寄与している。
このダウンサイジングを実現したのが、カーボンコアガード構造のケース、そして樹脂の中にカーボン繊維を練り込み、金型で熱プレスして押し固めたフォージドカーボンベゼルだ。本作の随所にカーボン特有のテクスチャーが現れており、この外観も本作の大いなる魅力である。
機能面では、電波ソーラーに加えてトリプルセンサーを搭載し、方位、気圧・高度、温度情報を取得可能。キャンプから本格的な登山まで、幅広いニーズに応える性能が人気を押し上げる要因になっているのではなかろうか。
第3位: 「マッドマスター GWG-100-1AJF」
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ約18カ月(パワーセービング時)。樹脂×SSケース(56.2×54.9mm、17.3mm)。20気圧防水。5万3900円(税込み)。
第3位にもマッドマスターから「GWG-100-1AJF」がランクイン。現在、G-SHOCKには、防塵・防泥性能に特化したシリーズとして、「マッドマン」と「マッドマスター」が存在し、マッドマスターにはアナログ表示モデルがラインナップされる。本作は、10万円台の価格帯が多いマッドマスターの中でも、5万3900円(税込み)と、手に取りやすい価格に抑えられている点が、支持を集めているのだろう。
価格が抑えられていても機能は本格派で、ボタンを保護するシリンダー状のパイプと、ボタンに内蔵されたガスケットにより、細かな砂や泥の侵入を防いでいる。特徴的な張り出しの大きいデザインは、災害救助で活躍する特殊車両や工具の武骨なイメージを表現しており、過酷な状況下でも視認性を確保する幅広の時分針と、大型のアラビアインデックスを備えている。
ダークなブルーグレーにも見えるカラーで統一された本作はミリタリーテイストも感じさせる仕上がりであり、現代的なミリタリーファッションとの相性も良さそうだ。筆者ならアーバングレーのECWCS Level7ジャケットと合わせてみたいところだ。
第2位: 「グラビティーマスター GW-3000B-1AJF」
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ約26カ月(パワーセービング時)。樹脂×SSケース(縦50×横49.8mm、厚さ15.5mm)。20気圧防水。4万1800円(税込み)。
第2位には過酷な環境下で活動するパイロットのためのG-SHOCKである「グラビティーマスター GW-3000B-1AJF」がランクイン。G-SHOCKの特徴である耐衝撃性能に加え、高Gでのマニューバを想定した耐遠心重力性能、耐振動性能の3つを備えた「トリプル G レジスト」を備える点が、グラビティーマスターの特徴だ。
本作はブラックをベースに、MA-1等のフライトジャケットの裏地に施されるレスキューオレンジのような鮮やかなオレンジのインデックスや印字が特徴であり、そのコントラストの高さゆえに視認性が高い。また、G-SHOCKには珍しく、アナログ表示のクロノグラフを備え、センタークロノグラフ秒針と3時位置の秒・分積算計、9時位置の100分の1表示によって測定時間を指し示す。
狭いコックピット内での使用を想定しており、G-SHOCKらしいデザインを持ちながら飛び出しの少ないケースシルエットとしつつ、耐摩耗性のあるブラックIPを施している。
さらに、世界6局の標準電波を受信可能で、9時位置にワールドタイム表示を備えるため、タイムゾーンを飛び超える機会の多いパイロットに好適である。
第1位: 「マッドマン GW-9500-3JF」
クォーツ。タフソーラー。パワーリザーブ約26カ月(パワーセービング時)。樹脂×SSケース(縦56.7×横52.7mm、厚さ14.8mm)。20気圧防水。5万5000円(税込み)。
第1位に輝いたのが、過酷な自然環境下でも時計を作動させる、マッドレジスト構造を搭載した「マッドマン GW-9500-3JF」である。現在のラインナップでは、MASTER OF Gはアナログ表示モデルが多い中で、本作はデジタル表示を備えている点が特徴だ。しかもその表示が超大型であり、タフなデジタル時計というG-SHOCKのパブリックイメージを突き詰めたようなコンセプトが、本作の人気の理由だろう。加えて本作は、オリーブカラーのケースとイエローの挿し色も相まってスパルタンなミリタリーツールを思わせる仕上がりとなっている。
フロントボタンと、3つのダイレクトセンサーボタンは操作しやすいよう大型に、さらに泥水を排出しやすい形状になるよう、設計された。シリンダー型のステンレススティール製パーツで保護されることで、いっそう堅牢性が増している。また、ボタンシャフトにガスケットを備え、泥や塵の侵入を防いでいることも特筆すべき点だ。
方位、気圧・高度、温度情報を検知するトリプルセンサーと二層液晶によって実用性も向上させつつ、薄型モジュールやカーボンコアガード構造の採用により、薄型化と小型化が図られている。裏蓋にはマッドマンのシンボルであるモグラのキャラクターがコンパスを持った姿が刻印されていることは、ファンにとってうれしいポイントだ。
タフな「MASTER OF G(マスターオブG)」
G-SHOCK屈指のツールウォッチ、MASTER OF Gの中から、2023年に最も売れたモデル5本を紹介した。
陸、海、空、それぞれのステージで活躍するモデルがバランスよくランクインしており、同コレクションが幅広いニーズに応えていることをうかがえる結果と言えよう。
なお、今回ランクインしたモデル以外にも、非常に多彩なバリエーションがMASTER OF Gでは展開されている。機能で選ぶもよし、デザインで選ぶもよし。自身の使用環境に好適な1本に出会ってほしい。
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