フランスの時計ブランド、イエマは、創立75周年を記念した「ヨッティングラフ トゥールビヨン マレオグラフ 75周年記念限定版」を発表した。ステンレススティールまたはブロンズケースの2モデル展開で、トゥールビヨンとタイドグラフ機能を備えたスイス製手巻きムーブメントを搭載している。
手巻き(Cal.CMM.30)。2万1600振動/時。パワーリザーブ約105時間。SSケース(直径42.5mm、厚さ12.3mm)。100m防水。世界限定75本。169万9500円(税込み)。
[2024年1月10日公開記事]
イエマが100万円台で実現したタイドグラフ搭載トゥールビヨン
「ヨッティングラフ」は、イエマを代表するクラシックモデルである。1968年に誕生したこのモデルは、70年代にコレクションの一部となり、趣味を楽しむための製品を求める世代に対して、スポーティーなフランス製時計として展開された。
ヨッティングラフは、当時活況を呈していたセーリングの世界のために作られている。「趣味を楽しむ」世代が訴求対象だったのだ。この堂々たる自動巻きクロノグラフは100m防水仕様で、70年代らしいデザインでレガッタの時間を表示した。
過去10年間に大きな復活を遂げたイエマは、数年前にヨッティングラフを新バージョンで再登場させた。そして今回、100万円台という手頃な価格の新モデル「ヨッティングラフ トゥールビヨン マレオグラフ 75周年記念限定版」を発表した。ステンレススティール製ケースとブロンズ製ケースのふたつのバリエーションを持ち、トゥールビヨンを搭載している。
ヨッティングラフ トゥールビヨン マレオグラフ 75周年記念限定版には、5年の保証期間がある。世界限定各75本で、ケースバックにはシリアルナンバーが刻まれている。ステンレススティールまたはブロンズ製の、直径42.5mmのケースは100mの防水機能を備える。トゥールビヨンを搭載した手巻きムーブメントは、大型の香箱により約105時間のパワーリザーブを保持し、マレオグラフ(タイドグラフ)機能も備えている。
イエマのマネージング・ディレクターであり、この時計のデザインを担当したクリストファー・ボールによると、本モデルは、過酷な条件にも耐えうるツールウォッチとして考案されたという。
ドーム型のサファイアクリスタル風防、逆回転防止機能付きのダイビングベゼル、2000ガウスの超高耐磁性、5000Gの高耐衝撃性、タイドグラフ付き。つまり、日常使いもできるトゥールビヨン搭載のダイバーズウォッチなのである。
タイドグラフの歴史は19世紀末にさかのぼり、機構としては新しいものではない。比較的新しいタイドグラフを搭載した時計として知られているのは、50年代のホイヤーの「マレオグラフ」、80年代のコルムの「アドミラルズ クラブ」であろう。エルブランからは、クォーツ仕様のものも登場した。
タイドグラフは、月の動きに伴う潮位を表示することができる。もちろん市街地で暮らしている人々にとっては、あまり実用的なものではない。どちらかというと船乗りや海水浴客、サーファーなどマリンスポーツを楽しむ人にとって便利なものだろう。
ヨッティングラフ トゥールビヨン マレオグラフ 75周年記念限定版では、タイドグラフは文字盤の12時位置下に配されている。小さな針が上を向いている時は満潮、下を向いている時は干潮を示し、針は文字盤上を6時間12分7.89秒ごとに半回転し、1回転で12時間25分15.79秒となる。
逆回転防止機能付き回転ベゼルには目盛りが配され、12時位置の三角のインデックスが蓄光塗料で強調されている。ベゼル側面には刻みが施されていて、握りやすいのも特徴だ。
文字盤にはブラックのサンバースト仕上げが施され、オリジナルモデルが成功を収めた1970年代のデザインコードも踏襲されている。レッドとブルーのタイドグラフのカラー、スーパールミノバが塗布されたステンレススティール製のバトン型アプライドインデックスなどだ。
文字盤の6時位置にある開口部からは、トゥールビヨンの動きを楽しめるようになっている。文字盤全体の端正な印象を保つため、イエマのロゴであるYはタイドグラフカウンターの小さな針に落とし込まれている。
ケースバックはサファイアクリスタル製で、ムーブメントが動いている様子を見ることが可能だ。前述のように、ケースはステンレススティールまたはブロンズ製で、ヘアライン仕上げやポリッシュ仕上げが組み合わされている。
自社製のトゥールビヨン搭載ムーブメント、Cal.CMM.30について「すべてがラ・ショー・ド・フォンのオリヴィエ・モリーによって考案・開発されたもので、調整機構はスイス製、ブリッジと地板加工はモルトーの工房で製作されている」とイエマは発表している。
スイス製の調整機構を備えたムーブメントは可変慣性テンプを備え、高い精度を保持する。日差は-3〜+7秒とされる。
このCal.CMM.30は、約105時間のパワーリザーブを保持するために最適化された、単体の大型の香箱を備えている。ジェネラル・レゾーツ(Générale Ressorts)により特別に加工され、輪列とテンプのための十分なスペースの確保とムーブメントの厚さを抑えるため、オフセンターのレイアウトとなっている。
「トゥールビヨンケージのブリッジの構造とKif社による耐衝撃構造により、あらゆる方向において最大5000Gの衝撃、振動、加速度に対して耐性を保持する」とイエマは述べている。
一部にシースルー加工が施された湾曲したブリッジは、上昇する潮の波を彷彿とさせる。従来のギヨシェ装飾の代わりに、イエマはミニマリストな外観をまとわせ、現代的なデザインのアクセントとした。
地板とブリッジのマイクロビーズによるサテン仕上げは、スイスに拠点を置く、装飾コーティングに特化したサプライヤーが最新のALD(Atomic Layer Deposition)技術を用いて加工している。
ストラップは軽量で柔軟、耐久性も高いバイトンの素材を採用している。過酷な使用を想定して開発されており、ステンレススティール316LまたはIPブロンズ製フォールディングクラスプが付属している。
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