2024年のトレンドスタイルとも相性良し! ノモス「クラブスポーツ ネオマティック39」を着用レビュー

2024.01.16

コンテンポラリーな打ち出しで人気を得ているノモス・グラスヒュッテの「クラブスポーツ」。新たにコンパクトかつ薄型のムーブメントを搭載した、ケースサイズ39mmの「クラブスポーツ ネオマティック 39」が2023年に登場した。ベージュやグレーなどのニュアンスカラーを文字盤に用いたエレガントな時計は、どのようなポテンシャルを秘めた1本なのか。ファッションおよび時計の記事を手掛けるジャーナリストがインプレッションを行った。

長谷川剛:文・写真
Text & Photographs by Tsuyoshi Hasegawa
[2024年1月16日公開記事]


スポーティー&エレガントのみならずお洒落にも最適? 

 メンズファッションを軸に活動してきた自分にとって、腕時計はメカアイテムであると同時に、装いに欠かせない装身具だ。ゆえに時計を見た時に、着こなしの観点からも色々と考えてしまう。この腕時計を取り入れると服装の印象はどう変化するのか、などなど。そういった意味で非常に可能性を感じたのが、今回のノモス・グラスヒュッテの「クラブスポーツ ネオマティック39」だ。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

ノモス・グラスヒュッテが新たな展開として打ち出した「クラブスポーツ ネオマティック39」。スポーティーで堅牢なステンレススティールケース&ブレスレットのモデルは20気圧の防水仕様。ノモスの専有技術を脱進機に加えたノモススウィングシステムを擁した自動巻きCal.DUW3001を搭載している。パワーリザーブ約43時間。SSケース(直径39.5mm、厚さ8.5mm)。20気圧防水。ソリッドバックの場合47万3000円、シースルーバックの場合51万7000円(いずれも税込み)。

 そもそもノモス・グラスヒュッテの「クラブ」は、2007年に発表されたシリーズであり、学生や新社会人など、いわゆるフレッシャーズをターゲットとしてスタートしている。機械式時計の入門的なシンプルモデルをベースに、その後オートマティックモデルやデイト付き、明るいカラーを採用したキャンパスシリーズなどが加わり、バリエーションを充実させてきた。

 「クラブスポーツ ネオマティック42」のリリースは21年。そして23年に、さらに薄型でコンパクトなムーブメント、Cal.DUW 3001を搭載した39mmケースの新作が登場したのである。これまでノモス・グラスヒュッテのコレクションでは、ほとんどのモデルが細身ベゼルを擁したドレスウォッチ的なケースデザインを踏襲してきた。しかし「クラブスポーツ」は、堅牢で力強い太枠ベゼルを採用。安定感漂う3連コマのブレスレットと相まって、スポーティーかつクリーンな仕上がりとなっている。また、裏蓋はねじ込み式を採用し、20気圧防水を実現させるなど、スマートにして実用的なモデルとして完成している。


優しげなアンバーカラーがお洒落ゴコロを刺激する

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

このアンバーと呼ばれるブロンズカラーの文字盤は新色のひとつ。その他、タバコ(ブラウン)やスモーク(グレイブラウン)もラインナップ。非常にしゃれており、どのカラーも来季のリゾートファッション等につながる色合いである。

 今回インプレッション用にピックアップしたモデルは、非常に優しげでエレガントな雰囲気を放つアンバー文字盤モデル。アクティブな日常使用に耐える1本であるか、そしておしゃれに使えるものであるかも含め、じっくり見ていきたい。

 まずは時刻セッティングから始めてみる。リュウズは径も十分だが、ワイドな幅を持つ形状がポイントだ。しっかり指でつまめるところは、手巻きのミリタリーウォッチを彷彿とさせる。そして引き出して操作を試みたが、グラつきはなく、微妙な分針調整もピタリと決められた。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

自動巻きモデルの場合、リュウズ形状を控えめにするモデルも多い。しかしご覧の通り、しっかり指でつまみやすい大きさとなっている。だが、大きめになると今度は着用中に、リュウズ自体を引っかけてしまうリスクが出てくる。しかしこのモデルに関しては、テスト着用時に何かに当たることはなかった。

 次にブレスレットであるが、3連コマはガッチリしすぎることなく適度に余裕をもって組み付けられており、装着感はほどよく柔軟。終日の着用でも手首に違和感をもたらすことはなかった。プッシュ式のフォールディングクラスプも開け閉めに引っ掛かりや違和感はなく、力の入れ具合を意識するまでもなくスムースに開け閉めが行える。また、バックルには微調整機構が付いており、好みのフィットを得られるところもポイントだ。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

3連コマのブレスレットは、適度な遊びを備えつつカッチリ組まれている。両わきのコマをサテンに、中央をポリッシュに仕上げており、光の反射によってははっきりコンビ風に見えることも。フォールディングクラスプはプッシュ式だが、軽い力で開閉可能。

 ブレスレットに関し少し気になったのはケースとの接続部。クイックリリース式のバネ棒を擁しており、簡単な工具にて脱着できるところがポイント。しかし、これが非常にクイックならざる場合がある。ハメ込みに微妙な勘どころがあり、恐らくビギナーでは取り付けの際に結構な時間を消費するはずだ。ただし、一旦ハマってしまえば問題はない。ほぼ緩みなくガッチリ固定できることを付記しておきたい。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

クイックリリース式のスプリングバーは、脱着に慣れるのに幾分かコツを要する。ちなみにこのメタルブレスレットのほかに、ナイロン製の耐水ストラップのモデルも用意されている。

 今回ピックアップしたモデルの文字盤は、先述したとおり優しくエレガントなアンバーカラー。サンレイ仕上げとの組み合わせにより、軽やかで華やかな印象を持つ。インデックスは白色のスーパールミノバを用いた飛びアラビア数字式。クセのない書体、白色との取り合わせは、クリーンにして判別も非常に容易である。強い光源にさらすと、その淡いトーンや光の受け方からややフラットに見えがち。しかしアラビア数字のインデックスやペンシルハンドが存在感を持つスタイルゆえに、時刻確認に関して問題はなさそうである。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

サンレイ加工が施された文字盤は、光を受けるとややギラつきを見せる。光の強さにもよるが、テスト時には時刻判別ができないほどの晴れの日はなかった。


見た目も中味も興味深い新型ムーブメントを搭載

 ケースバックからのぞくのは自社製の自動巻きムーブメントCal.DUW 3001。ノモス・グラスヒュッテが次世代のために7年を掛けて開発した機械であり、厚みがわずかに3.2㎜という、極めてスレンダーなムーブメントだ。角穴車を薄く仕立てるほか、摩擦係数を軽減する新素材を積極的に採用している。また、主ゼンマイを含め香箱自体も薄くしてはいるものの、トルクロスを可能な限り減らすため、歯車の角度を最適化させ伝達効率を高めているという。恐らくだがスモールセコンド仕様であるのも、このスマートな薄仕立てに貢献しているものと思われる。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

ケースバックはシースルー式であり、自社製自動巻きムーブメントCal.DUW 3001の観賞が可能。いわゆるグラスヒュッテストライプ仕上げやペルラージュなどの端正な仕上げも見て取れる。薄仕立てのムーブメントによりケース自体も非常に薄手。自動巻きにしてケース厚8.4㎜は非常に素晴らしい数値だ。

 そんなエレガントでスタイリッシュなスポーツウォッチは、一体どんな装いに合わせるべきか。優しいアンバーカラー文字盤にモダンなホワイトインデックス、そしてクリーンなスティールブレスレットといったパッケージに対し、自分らしくコーディネートするなら、同系色のスエードブルゾンスタイルが似合うと考えた。


ライトトーンのトレンドスタイルとも絶妙に相性良し! 

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

アンバー文字盤に合わせるならソフトなカラーのコーディネートがセオリーだ。ベージュ系をメインとした寛いだ着こなしに、優しい色合いの腕時計がナチュラルにマッチ。パンツはチノパンでもグレースラックスでも良いだろう。

 着こなしのイメージとしては自然豊かな郊外、もしくは公園をゆったり散策する休日である。ブルゾンの内側には手編み感あるローゲージニットをセット。柔らかで暖かみあるニットアイテムも、時計の持つソフトなキャラにマッチするはずだ。これまで自分は、こういった装いには、引き通し式のファブリック製バンドの時計を付けてきた。しかしテキスタイルバンドは水分や汗と相性が悪い。このブレスレットタイプのクラブスポーツ ネオマティックなら、恐らく夏でも問題なく快適に使えるだろう。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

淡いカラーの装いのジーンでは、やはり時計も淡い文字盤のものを合わせるのがお約束。試しにブラックを基調とする時計に着け替えてみたが、やはりチグハグ感はいなめない。

 また、スエードブルゾンでなくても、ベージュやライトブラウンなどのテーラードジャケットと合わせても、イイ雰囲気になりそうだと感じた。そしてこのテストを行っている期間は、ちょうど24年春夏期のアパレル展示会が行われるタイミングだった。

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

ノモス クラブスポーツ ネオマティック

このふたつの画像は、日本を代表するセレクトショップであるビームスの、2024年・春夏期展示会に参加した際のスナップ。ベージュやオフホワイトなどをベースに、淡いカラーを取り入れた提案がなされていた。ところどころにスポーツ要素(アスリート的ではなく)を取り込んでいることも特徴。

 大手セレクトショップのメンズ・プレゼンテーションでは、来季のスタイルとして、淡いベージュを軸とした軽快でスポーティーなコーディネートを前面に押し出していた。まさにこういったコーディネートに、優しいカラー文字盤の時計はマッチするものであり、デカ厚ダイバーズなどの肉食時計よりも、どこか北欧顔の穏やかな薄型時計が似合う気がしたのである。

 メンズの大人ファッションに関する装いのトレンドとしては、軽快で着心地よく、そして適度にスポーティーなスタイルがこれからの主流。であれば、このノモス・グラスヒュッテのような1本を用意しておくことは、装いの完成度を高めるためにも非常に有効である。

 軽快なスポーティースタイルに軽やかにマッチしつつ、20気圧防水などの実用性もしっかり兼備。パワーリザーブ約43時間については異論もあろうが、ギリ合格と言えなくもない。このクラブスポーツ ネオマティックのライバルとなるのは、ロンジンのコンクエストやタグ・ホイヤー カレラ デイトあたりだろうか? 

 しかしスマートさやエレガントなルックスではノモスに軍配が上がる。果たして多くの人はどのポイントを重視し購入に至るのだろう? 実に興味深いところではある。


Contact info: 大沢商会 Tel.03-3527-2682


ノモス グラスヒュッテのスポーツモデル「クラブ スポーツ ネオマティック 39」が登場

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