【インタビュー】ドルチェ&ガッバーナ グループCEO「アルフォンソ・ドルチェ」

2024.01.27

非時計専業メーカーとして、2017年から「アルタ オロロジェリア」コレクションによって高級時計ビジネスに参入したドルチェ&ガッバーナ。手作業を強調するのは他社に同じだが、横溢するイタリアンテイストが、同社のプロダクトに際立った個性をもたらした。取材に応じてくれたのは創業家出身で同グループCEOのアルフォンソ・ドルチェだ。

広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]


時計は、職人技を保護するという使命の〝集大成〟です

アルフォンソ・ドルチェ

アルフォンソ・ドルチェ
ドルチェ&ガッバーナ グループCEO。1965年、イタリア生まれ。創業者であるドメニコ・ドルチェの実弟。84年、同社の設立に携わった後、ライセンス部門のディレクターに就任。同グループの責任者を歴任した後、CEOに就任。ビューティーや不動産など、ファッション以外の分野にも積極的である一方、イタリアの職人技を保護する姿勢を打ち出している。曰く「(時計分野の未来については)時間をください!」。

「オートクチュールであるアルタ モーダ コレクション(女性用)、アルタ サルトリア コレクション(男性用)に続いて、時計の分野でも本当にユニークで掛け替えのないものを作りたいと考えました。私たちの顧客は、一生に一度の機会を常に求めていますからね」。その帰結が、高級時計のオートクチュール版である「アルタ オロロジェリア」コレクションである。

「(このコレクションは)単に身に着ける美しいものというだけではなく、イタリアの職人技を保護するという使命や懸命な努力といった私たちの集大成を体現しているのです」。当初、ドルチェ&ガッバーナが意図したのは、オートクチュールの顧客層だった。しかし「〝普通の〞コレクターズウォッチを超えるものに出会いたいという新しいお客様もまた、この時計に惹かれて私たちのもとを訪ねてくださいますね」とドルチェは語る。ビジネスが好調なことは、ドルチェ&ガッバーナが着々と内製化を進めていることからもうかがえる。

「アトリエは急拡大しており、新規の雇用も検討しています。当初は特定のプロフェッショナルなプロフィールに焦点を当てていました。その後、より広いプロフィールを持つ金細工職人やパターンメーカーを迎え入れました。その際は、ドルチェ&ガッバーナの美学にとって最も重要な工程(フィリグリー、エンボス、チゼル、エングレービングなど)に興味を持ってくれるかも重視しました。今働いてくれているのは、単なる金細工職人というだけでなく、何カ月も続く作業と、無限の忍耐を必要とする真の芸術作品を創る情熱に突き動かされた人たちですね」

 加えて、アルタ オロロジェリアは、今やミニッツリピーター、トゥールビヨン、モノプッシャークロノグラフといった複雑機構を搭載するに至った。しかし、ドルチェのスタンスはあくまでも冷静だ。

「この業界は、私たちが敬愛し、深く尊敬する偉大な先人たちが多くを占めています。そして、私たちにとって、市場シェアは必ずしも最重要項目ではないのです。忍耐と献身が必要という事実を認識し、今後も変わらぬ方向性でウォッチビジネスを進めていきたいと思っています」

マニファットゥーラ イタリアーナ レオナルド

ドルチェ&ガッバーナ「マニファットゥーラ イタリアーナ レオナルド」
イタリアに傾倒するドルチェ&ガッバーナならではの大作。デザインモチーフはレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿にあった「キアラヴァッレ・クロック」。24時間表示とムーンフェイズ表示付き。自社工房で行う彫金の出来栄えは見事の一言。自動巻き(Cal.DG01.05)。38石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KPGケース(直径45mm)。世界限定10本。984万5000円(税込み)。



Contact info: ドルチェ&ガッバーナ ジャパン Tel.03-6833-6099


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