ノモス グラスヒュッテのパートナーであるメルリン・シュヴェルトナーが来日した。それに伴い、彼は新しい「クラブ」をお披露目してくれた。これはノモス グラスヒュッテの5つめのコレクションであり、エントリーモデルとして企画されたものだ。一時期カタログから落ちていたが、2023年復活を遂げた。
広田雅将(本誌):取材・文 Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]
エントリーの域を脱した新しいクラブ
1985年、スペイン生まれ。ノモス グラスヒュッテ パートナー。スペインのESADEを卒業後、バレアレス諸島大学で経営学を学び、ノモス グラスヒュッテでインターナショナルセールスに従事。2015年から新しく起こったノモス・アメリカの副社長を務め、19年より現職。創業者ローランド・シュヴェルトナーの後継者である彼は、いち早くオンラインビジネスに着手し、アメリカのみならず、全世界のセールスを統括する。
「ノモス グラスヒュッテのコレクションでは、クラブは一番新しいモデルでした。2007年に発表されましたね。時が経つにつれてクラブのコレクションは拡大しましたが、後にラインナップから外しました。しかし、時を経て、多くの国からリローンチの要請があったのです。そこで、オリジナルモデルのリニューアルを行い、それに伴い、多くを変更しました。さて、では何カ所変わったと思いますか?」
彼がまず紹介したのが、2007年に発売された初代クラブだ。見た目は最新の刷新モデルに似ているが、文字盤と針を含め、合計12カ所が変わったとのこと。
「新しいモデルは数字が大きくなり、インデックスと針にはルミノバが施されています。そして針が長くなり、先も尖っています。しかしケースサイズは変わっていません」。分のインデックスを文字盤の外周に出した結果、文字盤が少し大きく見える。また、風防が少し盛り上がっている。理由は「時計をぶつけたときにベゼルを傷めないため」。裏蓋は当初と変わらずねじ込み式で、防水性を備えている。
「そもそもクラブは、卒業の時のギフトをイメージした腕時計でした。機械式時計へのエントリーモデルとして考えたのですが、今はスポーティーバージョンとなった。それでブレスレットを加えました」
筆者の好みは、自動巻きのネオマティックを載せたクラブスポーツのラインだ。サイズは直径37mmと39mmで、針もダイヤモンドカットに仕立てられ、かなりまともなブレスレットが付いている。
「インデックスは、文字盤を彫り込み、そこにスーパールミノバを流し込んでいます」。20気圧の防水性能と併せて、かなりタフに使っても問題なさそうだ。ノモスグラスヒュッテの常で、種類はかなり多い。しかし、どのモデルも、ねじ込み式の裏蓋になったにもかかわらず、薄さというノモス グラスヒュッテの特徴を守っている。
「私たちはスポーツウォッチの防水性で多くのことを学びました。そして、パッキンの進化も非常に役立っていますね」。キープコンセプトで着実に進化を遂げるノモスグラスヒュッテ。新しいクラブ(特にスポーツ)は、機械式時計に興味を持つ人にとって、かなり良い選択となるに違いない。
全面刷新されたノモス グラスヒュッテのエントリーモデル。デザインが詰められたほか、主にケースの質感も大きく向上した。裏蓋は初出時の2007年から変わることなく、ねじ込み式を採用。高い気密性を実現している。万人にお勧めできる良作。手巻き(Cal.α)。17石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約43時間。SSケース(直径36mm、厚さ8.2mm)。10気圧防水。25万3000円(税込み)。
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