高い視認性と優れた性能を持ち、そのデザインや機能性、ストーリー性からファンが多いパイロットウォッチ。2023年も、各ブランドから数々の新作が発表された。その中から、WatchTime編集部が選んだ注目の3モデルを紹介しよう。
ゼニス「パイロット ビッグデイト フライバック」
自動巻き(Cal.El Primero 3652)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。ブラックセラミックケース(直径42.5mm)。10気圧防水。172万7000円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861
ゼニスは「パイロット ビッグデイト フライバック」で、従来のパイロットウォッチラインのレトロな外観から脱却し、新世代に訴求する現代的なデザインを完成させた。ブラック文字盤や暗所でも読み取りやすいホワイトの針とインデックス、ツールウォッチらしいマットブラックのセラミックケースなどの従来のパイロットウォッチの要素が、波型パターンの文字盤や大型の日付表示とスタイリッシュに組み合わせられている。
またパイロット ビッグデイト フライバックは、フライバック機構を備えた自社製のエル・プリメロキャリバー 3652を搭載する。デイトの切替わりは0.007秒、2枚のディスクが切替わって安定するまでは0.03秒だ。これはなめらかな押し心地のプッシャーとともに、ゼニスがいかに高い技術を持ち、精度を重視しているかを表している。ストラップには交換可能なブラックとグリーンの2本のラバーストラップが付属するので、ミリタリー調にもカジュアルにも使うことができる。
ロンジン「ロンジン スピリット フライバック」
自動巻き(Cal.L791.4)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。Tiケース(直径42mm、厚さ17mm)。10気圧防水。80万9600円(税込み)。(問)ロンジン Tel.03-6254-7350
ロンジンは、航空産業の初期において重要な役割を果たした。というのも、航空業界におけるパイオニアたちの多くが、スイス・サンティミエを拠点とするロンジンの時計を愛用していたからだ。同時に、今日私たちが知る限り、ロンジンはフライバック機能を備えたクロノグラフ腕時計を作った最初のメーカーであったと言われている。「ロンジン スピリット フライバック」は、その系譜をひとつの時計に集約したものだ。
私たちはステンレススティール製モデルに続いて発表された、チタン製モデルに特に感銘を受けた。端正な文字盤は、数字に干渉することなく積算計に十分なスペースを確保している。ブレスレットのリンクは高品質な仕上げだ。搭載されているムーブメントは約68時間のパワーリザーブを持ち、シリコン製ヒゲゼンマイによって耐磁性を向上させている。なお、ロンジン スピリット フライバックにはブレスレット仕様とNATOストラップ仕様の2種類が用意されている。
ブレゲ「タイプ 20 2057」
自動巻き(Cal.7281)。34石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.1mm)。10気圧防水。258万5000円(税込み)。(問)ブレゲ ブティック銀座 Tel.03-6254-7211
1950年代にブレゲがフランス軍に納入していたパイロットウォッチをオリジナルとする「タイプ XX」。「タイプ 20 2057」は、その歴史を掘り下げ、歴史にインスパイアされたデザインと最新技術を融合させたモデルだ。両方向回転ベゼル、マッシュルーム型のプッシャー、手袋をしたままでも操作しやすい大型のリュウズなどは、オリジナルモデルから引き継いだ意匠である。
ブレゲがフランス軍に時計を納入していた当時、最も重視されていたのは精度だった。これにならって、ブレゲは本モデルで3万6000振動/時という高い振動数と、シリコンを採用したヒゲゼンマイ、ガンギ車を搭載することで、精度を極限まで高めた新しいムーブメントを開発したのである。
また、航空業界のパイオニアたちにとって重要だったフライバック機構に加え、約60時間の長いパワーリザーブを備えている。もちろん、必須となる高い視認性もだ。タイプ 20 2057では、ブラック文字盤にミントグリーンの蓄光塗料を組み合わせ、さらにフライトの際に重要な分積算計を大きくすることによって視認性を確保している。控えめな4時半位置のデイト表示に対し、インデックスや時分針、分積算計は目立つように配置されている。
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