俳優としての存在感を増す板尾創路がカンヌで着用したのはロレックス

さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は吉本芸人の中でもシュールな芸風と、そのナチュラルな演技が評価されている板尾創路がカンヌ国際映画祭で着用したロレックスに注目した。

沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
[2024年2月4日掲載記事]

「気持ち悪い演技、怖い演技」が評価される板尾創路

板尾創路

2009年のカンヌ国際映画祭で撮影された一枚。左側から井浦新、是枝裕和監督、主演を務めた韓国の女優ぺ・ドゥナ、板尾創路。

 板尾創路といえば、俳優ではなく、ダウンタウンの番組に長年出演したことから芸人として認識されている方が多いかもしれない。1963年生まれの板尾は今年61歳を迎える、ベテランのキャリアを持つ人物である。元々お笑いを見るのは好きだったが、やる側ではないという気持ちもあったという。中華料理店としておなじみの「551蓬莱」に就職していた時期もあったが、退職して島田紳助の自宅にケーキを持って、弟子入りを志願した。結局、弟子入りではなく吉本興業のタレント養成所であるNSCの4期生となり、「ホンコン・マカオ」というコンビを組んでいた。ちなみに、現在のコンビである130Rの蔵野孝洋(ほんこん)ではなく、板尾創路が「ホンコン」だったそうで、当時の相方も別の人だ。

 芸人としての板尾創路は独特の存在感や間合いを持っているが、演技においても同じことが言えそうだ。コントで何かの役柄を演じることと、映画やドラマで役柄を演じることは、板尾創路にとっては特別違うことではないようである。出演の幅が自然と増えていったのも、その自然な演技力を見ると納得だ。板尾創路が出演する映画やドラマでは度々「気持ち悪い」「怖すぎる」という褒め言葉が多くの視聴者から聞かれる。これはもちろんそういう役を与えられた上でのことだが、他の人には出すことができない雰囲気は監督やプロデューサーに魅力的に映ることだろう。出演ドラマや映画の本数から、もはや吉本芸人というよりは、俳優と言った方がしっくりくるほどである。


板尾創路がカンヌ映画祭のフォトコールで着けていたのはロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」

オイスター パーペチュアル サブマリーナー

板尾創路がカンヌ映画祭のフォトコールで着けていた腕時計のアップ。ロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」と思われるモデルが写っている。

 2009年、カンヌ国際映画祭で是枝裕和監督の「空気人形」が「ある視点」部門で上映された。そのフォトコールに参加した板尾創路の手首を見ると、ロレックスの「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」と思われる腕時計が着用されていた。

 サブマリーナーは1953年に水深100mまでの防水性能を備えたダイバーズウォッチとして発表されて以来、現在もロレックスを象徴するモデルのひとつとして君臨している。特徴的な目盛り入りの回転ベゼル、視認性の高いディスプレイ、蓄光素材が施された針とアワーマーカーは、多くの人がイメージするダイバーズウォッチの要素だ。

 魅力的なデザインだけでなく、プロフェッショナル仕様の実用性と耐久性を伴っていることが多くの人の心を引き付け続ける理由のひとつだろう。サブマリーナーの逆回転防止ベゼルには60分の目盛りが刻まれており、グローブをはめた手でも回しやすく、カチカチと心地よい音を立て、ダイバーは時間を管理することができる。また、耐蝕性に優れたセラクロムベゼルインサートは紫外線や海水などの影響により腐食することがない。

 板尾創路が着用している当時(2009年)の個体だと、搭載されるムーブメントはCal.3130のRef.14060M(2001年から2012年に製造された)ではないかと考えられる。現行モデルよりもケースサイズは1mm小さく、ケース厚は12.55mmと現行モデルとほぼ変わらない。このモデルから6時位置に王冠の透かしが入り、2007年にムーブメントのクロノメーター化を図り、インナーリングに刻印が入った。

 1953年には水深100mだった防水性能は水深300mにまで高まり、3重密閉構造のトリプロックリュウズは水や埃からムーブメントを保護してくれる。「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」はリゾート地でのイベントへのお供として、オフタイムからレッドカーペットでの着用までを1本でカバーしてくれる万能選手的な存在といえる。実際に、「タイタニック」の監督であるジェームス・キャメロン監督は潜水艇の窓からタイタニック号を見たときも、アカデミー賞の授与式でも正装にサブマリーナーを着用していたというエピソードを語っている。

 板尾創路がこの時に「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」の着用を選んだことも汎用性の高さに起因すると考える。この写真ではおそらくクロムハーツの細めのバングルを時計と同じ腕に着用し、ファイアーパターンに虎と龍が描かれたハードなデザインのシャツと古着のデニムをコーディネートしている。ロレックスをカジュアルに着けこなすコーディネートではないだろうか。華やかなカンヌ映画祭といえども、アメリカンカジュアルな装いをはじめ、自由な雰囲気を自然体で楽しんでいる様子がうかがえる。

 安心して日常使いを続けられる実用性とデザイン、汎用性の高さを備えた懐の深いロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」のように、派手さはなくとも、静かな中に秘める実力を備えた板尾創路の才能の数々を見ることをこれからも楽しみにしたいと思う。

オイスター パーペチュアル サブマリーナー

2020年発表モデルのロレックス「オイスター パーペチュアル サブマリーナー」。Ref.124060。自動巻き(Cal.3230)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SS(直径41mm)。300m防水。



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