時計業界で半世紀以上のキャリアを持つジャン-クロード・ビバー。自らの名前を冠した超大作が、ついにお披露目なった。仕上げはもちろん、見るべきはパッケージングだ。
カリヨンリピーターとマイクロローター、トゥールビヨンを合わせた超複雑時計。しかし、普段使いできるよう外装にはチタンを採用する。「マーケティングはしない」と語るだけあり、プロダクトの完成度は非凡だ。自動巻き(Cal.JCB-001)。44石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。Tiケース(直径42mm、厚さ13.7mm)。5気圧防水。52万スイスフラン~。
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)
Edited by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)
[クロノス日本版 2024年3月号掲載記事]
カリヨンとトゥールビヨン、マイクロローターを載せた「カリヨン・トゥールビヨン・ビバー」
ビバー創業者。オーデマ ピゲを経てASUAGグループ(現スウォッチ グループ)入社。1982年にブランパンを再興した後、2004年、ウブロCEOに就任。フュージョンをコンセプトに、2年で売り上げを4倍にまで拡大させた後に、LVMHグループウォッチ部門のプレジデントとなる。22年には自らの名前を冠したJCビバー(現ビバー)を興した。
2023年3月の発表以来、鳴りを潜めていたビバー。しかし、12月にはなんとジャン-クロード・ビバー本人が来日して、アワーグラス銀座でプロダクトのお披露目を行った。
彼に直接聞きたかったことをぶつけた。なぜ気鋭のル・セルクル・デ・オルロジェをパートナーに選んだのか?「リピーターにカリヨンとトゥールビヨン、そしてマイクロローターを加えられるメーカーは他になかったから。私たちのカスタムに答えてくれた」。しかし、新興メーカーに不安はなかったのか?
「会社は新しいよ、でもスタッフの経験は長いよ。私は会社とは仕事をしないのだ。私の会社は16カ月しか経っていないけど、私は50年の経験を持っている」
彼が見せてくれたモデルのひとつが、カリヨンリピーターとトゥールビヨン、そしてマイクロローターを載せた「カリヨン・トゥールビヨン・ビバー」である。仕上げは言うことなし。地板と受けは18Kゴールド製。そして受けには196個もの入り角が施される(ただし、その旨をマイクロローターに記載したのは蛇足だろう)。そして文字盤には、薄さ1.15mmのソーダライトをあしらっている。
もっとも、より感心させられたのは全体のパッケージングだ。外装はすべて軽いチタン製。そしてラグを短く切り、弓管も詰めてあるため、細腕でも腕なじみがいい。そう語ったところ、ビバーはしたりという顔をした。しかも、スライダーを持つリピーターなのに、防水性能が5気圧もあるのだ。超複雑時計なのに押し出しが強くないのは、コレクター向けだから、とのこと。
正直価格は途方もない。しかし、名伯楽ビバーがついに完成させた複雑時計は、なるほど納得の完成度だった。
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