2023年8月の再始動と「7.5号」の発売以降、一気に存在感を高めた大塚ローテック。そんな同社より、ブランドの顔だったレトログラードウォッチの「6号」が改良版第2号として発表された。
ブランドを代表するレトログラードウォッチの新仕様版。文字盤上で使用されるフォントは、高速道路の標識等で使用される“公団ゴシック”に着想を得て、片山が起こしたもの。細かいサイズでも文字が認識できるように、漢字の一部パーツを省略するなど、デフォルメされている。なお、同作は限定販売ではないが、生産体制が追いつくまでは数カ月に一度の抽選によって時計を販売する。次回抽選は3月を予定。自動巻き(Cal.MIYOTA9015)。26石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SSケース(直径42.6mm、厚さ11.8mm)。日常生活防水。38万5000円(税込み)。
[クロノス日本版 2024年3月号掲載記事]
レトログラードウォッチの「6号」が新仕様で復活
カーデザイナー/プロダクトデザイナーの片山次朗が立ち上げた大塚ローテックは、独特の時刻表示と計器を想起させるようなデザインが特徴のブランドだ。かつては片山が設計から製造、修理に至るまでをひとりで行っていたが、2023年より東京時計精密のサポートを得るようになった。このタイミングでいったん、全モデルの販売を停止したのち、同年8月より改良版の「7.5号」を発売している。
今回発売された「6号」は、そんな7.5号に次ぐ、新仕様での復活だ。変更点はモジュール部分と外装に集中しており、前者はレトログラード機構の安定性向上を目的とした設計見直しが中心だ。なお、各部品の加工精度も同時に上がっており、こちらもこれに寄与している。外装に関してはケースの工法が切削から鍛造に切り替えられ、加えて使用するステンレススティールを304から316Lに、風防をミネラルガラスからサファイアクリスタルにアップグレードしている。なお、ベゼルに留められた8つのビスのうち、旧作では4つがラグの固定に使われていたため、これらが12-6時側に寄ってしまっていた。しかし、新仕様ではケースの裏側からイモネジでラグを留めるように固定方法を変えたため、ビスが等間隔に並べられ、見栄えも良くなった。
これら仕様変更はすべて量産、そして長期間にわたっての使用を念頭に置いた改良にほかならない。より良い素材を用いて製品の質感を高め、多くの時計師が直せるように設計を改めることで、永続的な使用を可能にする。ユーモアたっぷりに自身を〝ローテク〞と称した東京・大塚発のニッチなウォッチメーカーは、今、ブランドとして熟成し、世界に向かって羽ばたこうとしている。
https://www.webchronos.net/features/108543/
https://www.webchronos.net/news/102801/
https://www.webchronos.net/news/102963/