スイス・ルツェルン発の時計ブランド、オックス・アンド・ジュニアは、ミニマルなデザインに革新的な機構を搭載したユニークな腕時計を作り続けている。ブランドを率いるのは、ルートヴィヒ・エクスリン博士だ。2023年末に同ブランドが発表した「オックス・セレーネ・ネブラ」は、人類最古の天文盤をモチーフにしたムーンフェイズウォッチだった。
人類最古の天文盤「ネブラ・ディスク」をモチーフに採用
2023年末、オックス・アンド・ジュニアはムーンフェイズ機能を搭載する「オックス・セレーネ・ネブラ」コレクションの新作を発表した。同ブランドによると「ネブラ・ディスク」をモチーフにしたこの文字盤の仕上げが、オックス・アンド・ジュニアの製品で最も注目を集めているという。
独特な文字盤の模様は、2012年から2013年にかけて、スイス人の顧客がネブラ・ディスクをモチーフにした文字盤を求めたことから作られたものだ。
ネブラ・ディスクとは、1999年にドイツで出土した、金で装飾された青銅の円盤である。金は太陽、月、そして星々を模しているとされ、この円盤は青銅器時代に作られた人類最古の天文盤だと考えられている。ネブラ・ディスクの研究はまだ続いているが、オックス・アンド・ジュニアにとっては、オックス・セレーネ・ネブラに搭載されているムーンフェイズ機構にぴったりのモチーフだった。
ルートヴィヒ・エクスリン博士が開発したこのムーンフェイズ機構は、3478.27年で1日のみの誤差が生じる驚異的な精度を誇る。そして、ETA製の自動巻きムーブメントCal.2824-2をベースとした、5つのパーツの遊星歯車機構によって制御されている。
文字盤の中心は地球を表し、12時の位置にある大きな点は太陽を表す。月が太陽と反対位置の6時に来ると、満月となる。12時の位置で、月が太陽と地球の間に隠れていれば新月だ。新月を表すのは、6時の位置にある暗い円である。
独特なデザインの時間表示と日付表示
オックス・セレーネ・ネブラは、もちろん時刻表示と日付表示も備えている。
文字盤外周にある31個の穴は日付表示だ。10分ごとのバーインデックスは、日付の読み取りやすさにも貢献する。例えば、30分のインデックスは15日に位置する。この表示様式に慣れれば、日付表示は直感的に認識できるようになるだろう。
2分間隔に配された日付用の穴により、時刻は分単位・秒単位でも視認できる。穴は偶数の分表示、穴と穴の間は奇数表示となるのだ。日付表示の穴の直径と、穴同士の間隔は、分針の幅とぴったり同じになっている。
超高精度なムーンフェイズ機能を搭載
ETA 2824-2をベースとしたムーブメントは、反時計回りにムーンディスクを回転させる5つのパーツからなる遊星歯車機構を備えている。この月齢の動きは、月齢周期を29.5306122449日として計算する。つまり、1日分の誤差が発生するまで、3478.27年もの年月がかかるのだ。一般的なムーンフェイズウォッチが周期をおおよそ29.5日としているため2年後には1日の誤差が生じるのと比べると、驚異的な精度といえるだろう。
ムーブメントが収められているのは、同じくルードヴィヒ・エクスリンがデザインしたグレード5のチタン製ケースだ。ケースサイズは直径39mmと42mmの2種類があり、プロダクトデザイナーのザビーナ・ブラガーが手掛けた、エコペル社製のストラップが付属している。
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