さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回はスタンフォード大学にフルスカラシップ(全額給付奨学金)で進学を決めた花巻東高校を3月1日に卒業したばかりの佐々木麟太郎が愛用するG-SHOCKに注目した。
Text by Yukaco Numamoto
[2024年3月3日掲載記事]
スタンフォード大学への狭き門をくぐり抜けた佐々木麟太郎
プロ野球でも、日本の大学野球でもなく、米国カリフォルニア州にある名門、スタンフォード大学に進学した佐々木麟太郎。このニュースに驚いた方も多いのではないだろうか。しかも、全体の5%ほどしか受けることができないというフルスカラシップ(全額給付の奨学金)での入学だ。
佐々木麟太郎は大谷翔平や菊池雄星を輩出した花巻東高校の後輩にあたり、超高校級スラッガーである。高校野球史上最多となる140本塁打を生み出している。佐々木麟太郎の体格は身長184cm、体重113kgで、パワーみなぎる長打力が持ち味である。
父は花巻東高校野球部の監督を務める佐々木洋監督だ。野球部の監督であり、父でもあるという親子関係はともすれば難しそうだが、佐々木家の場合は全面的に良い方向に動いたと思われる。アメリカの大学からのオファーは複数あったと言われているが、スタンフォード大学の野球部監督からの「父親のように預かっていきたい。彼の人生に寄り添って、次のステージにいけるように」という言葉が佐々木洋監督と佐々木麟太郎に響いたそうだ。進路を決めるにあたり、日本のプロ野球も日本の大学も検討していたとのことだが、NPB、MLBからの指名を2年、3年と2度受けられるという、より可能性が広い道を選んだそうだ。
スタンフォード大学はまさに文武両道を目指せる大学である。佐々木麟太郎自身も「野球人生だけで決断したわけではありません。自分自身の人生の考え方で『一瞬の喜びではなく一生の喜びで』と意思を持って最終的に決断しています。野球だけにこだわっていませんし、学業という部分でも自分としてはこだわっていた部分があったので」と語っている。
スタンフォード大学は2021年から3年連続でカレッジワールドシリーズに進出する野球強豪校である。ホームページには背番号3をつけてスタンフォード大学のユニフォームを着た佐々木麟太郎の姿と共に、「近年、アメリカで大学野球をプレーする最も注目度の高い海外からの有望選手かもしれない。彼のパワーバットは我々のプレースタイルに合致し、全米タイトルを争って優勝するという我々の目標達成に即戦力として貢献してくれることを期待している」というコメントも掲載されている。
人生の岐路に立つ佐々木麟太郎が着用するのは、花巻東高校カラーの「G-SHOCK」
2024年2月20日に岩手県花巻東高校で取材を受けた際の佐々木麟太郎の手首を見ると、G-SHOCKの「DW-5900JT-6JF」と思われる腕時計が写っていた。レトロフューチャー感を表現したJOYTOPIAシリーズのうちの、ポップなカラーリングの一本である。トランスパレントの樹脂ケースとベルトが個性的なモデルだ。お気付きの方も多いかもしれないが、花巻東高校のカラーは藤紫色で、偶然の一致とは思えない。花巻東高校での高校生活は自分自身のアイデンティティの一部という佐々木麟太郎流の自己表現なのではないだろうか。
1983年の発売以降、G-SHOCKは進化を常に続けている。タフネスと機能性、実用性、ファッション性だけではなく、コレクタブルアイテムとしての稀少性を持つモデルも多く存在する。クラシックな定番シリーズも色や素材を変えるだけで印象が大きく変化する、その面白さが多くのファンの心をつかんで離さない。
本作のベースモデルとなったのはG-SHOCK初期のデジタルベーシックモデルDW‐5900Cで、従来の液晶搭載モデルと比べて斬新な3つのデジタルグラフィックを搭載する。まず海外で先行発売された後に日本へ逆輸入され、ブレイクした背景がある。2018年のG-SHOCK生誕35周年でも復刻モデルとして登場したことを覚えている方も多いのではないだろうか。発売当初のデザインが忠実に再現された、現在でも高い人気を誇るモデルのひとつである。
これから始まるアメリカの生活、そしてその先で佐々木麟太郎がどんな時計を選んでいくのか、引き続き注目していきたいと思う。
デジタルクォーツ。電池寿命約5年。樹脂(縦51.4mm×横46.8mm、厚さ15.5mm)。20気圧防水。1万5950円(税込み)。
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