さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、イタリア・セリエAのヴェロ・バレー・モンツァとの契約を2023年に発表した、バレーボール日本代表選手の高橋藍が「自分へのご褒美」として購入したグランドセイコーの腕時計に注目した。
Text by Yukaco Numamoto
［2024年3月10日掲載記事］
コロナ禍を乗り越えてワールドワイドに活躍する高橋藍
身長188cmという体格を持ち、21世紀生まれの選手として初めてバレーボール日本代表選手に選出された高橋藍。高校3年の時にはキャプテンに就任し、全日本バレーボール高等学校選手権大会（通称：春高バレー）へ出場して優勝。自身も最優秀選手賞の受賞を遂げ、チームを勝利に導いている。2020年の当時はコロナ禍まっただ中であった。東京オリンピック2020を控え、国際大会も軒並み中止や延期が続き、アスリートとしては非常に厳しい期間だったと思われる。
特に本来であれば、高校を卒業し、順風満帆な選手生活が待っていたはずであるが、精神的に辛い時期だったのではないだろうか。進学先の日本体育大学では兄である高橋塁とともに全日本学生選手権（全日本インカレ）に出場し、準優勝している。延期となった東京オリンピック2020（2021年開催）や、アジア選手権にも出場し、多くの点数を決めている。
高橋藍の転機となったのは2021年の全日本インカレ終了後である。イタリア・セリエAの男子プロバレーボールクラブチーム、パッラヴォーロ・パドヴァに1年の期限付きで入団し、翌年も契約を更新し、引き続きイタリアでプレーをしている。
イタリアバレーボールは世界トップクラスの強豪である。2023年6月にはセリエAのヴェロ・バレー・モンツァとの契約を発表した。2024年1月の試合中に左足首を負傷し、戦列を離脱していたが、多くのファンから寄せられた心配する声に「しっかり治して強くなって戻ってきます」と答え、現在では復帰している。
高橋藍が「自分へのご褒美」として購入したのはグランドセイコーの「スポーツ コレクション」Ref.SBGE201
高橋藍が選んだ時計は、グランドセイコーのグランドセイコー「スポーツ コレクション」Ref.SBGE201だ。機械式時計に用いられる主ゼンマイを動力源としながら、クォーツ式時計と同等の高精度を実現した第三の機構である「スプリングドライブ」にGMT表示機能を備えたモデルだ。
この時計の見どころのひとつが、なめらかな秒針の動きである。赤いGMT針はブラックダイアルの上を滑るように動き、スイープ運針をより印象的なものにしている。回転ベゼルの表面はリング状にくり抜いたサファイアガラスが採用され、奥行きと透明感を出している。リュウズは4時位置に配置され、手首の動きを妨げない実用性と快適な装着感を実現している。搭載されるキャリバー9R66は機械式の主ゼンマイによる大きなトルクと、クォーツ式のIC・水晶振動子による制度制御を兼ね備える。
グランドセイコーの腕時計は海外で活躍する多くの人が選ぶ“賢者な時計”だと感じる。グランドセイコーは日本が誇るものづくりを体現したメーカーであり、クラス感を持ち合わせている。良くも悪くも、分かりやすく高価なブランドの時計、モデルの着用は国によっては非常に危険な目に遭うことも考えられる。そういった視点から見てもグランドセイコーの時計は控えめでありつつ、誇るべきところは強く主張したい、そんな日本人の芯の強さが表れている時計だと筆者は考える。
著名なアスリートがグランドセイコーを選ぶのは、グランドセイコーの真摯なものづくりへの姿勢に共感する点もあると思うが、海外でも日本人として国内有数の高級腕時計ブランドの素晴らしさを伝えたいという気持ちもあるのではないだろうか。大谷翔平がグランドセイコーのアンバサダーを務めていることは時計愛好家ならずとも知られているが、高橋藍にもチームメイトやイタリアの友人たちからの視線が集まることだろう。
自動巻きスプリングドライブ（Cal.9R66）。30石。パワーリザーブ約72時間。SS（直径44mm、厚さ14.7mm）。20気圧防水。75万9000円（税込み）。
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