ベストドレッサー賞の受賞経験もある俳優ムロツヨシが愛用する腕時計はチューダー

さまざまなジャンルの有名人が愛用する時計に着目して紹介する「セレブウォッチ・ハンティング」。今回は、舞台やCM出演などで幅広く活躍し、2023年には大河ドラマ「どうする家康」の豊臣秀吉役の怪演で注目を浴びた、実力派俳優のムロツヨシが愛用するチューダーの腕時計に注目した。

沼本有佳子:文
Text by Yukaco Numamoto
[2024年3月17日掲載記事]

幅広い層から人気を集める好感度俳優のムロツヨシ

ムロツヨシ

Photo by Pasya/AFLO
2019年のベストドレッサー賞授賞式で撮影されたムロツヨシ。

「ご近所さんだったら嬉しい俳優ランキング」(18歳未満の子どもと同居している全国の20~50代男女500人を対象とした調査、エー・ビー・シー開発株式会社 主催)で、綾瀬はるかに次いで2位にランクインしたことがあるムロツヨシ。投票にともない、フレンドリーで親切そうなイメージや、面白い言動に期待するという声が多く集まった。ちなみに、回答者を女性限定にした場合は、1位がムロツヨシだったそうだ。

 ムロツヨシは別のインタビューで「モテて大変なのではないでしょうか」という質問を受けていた。これに対して「自分のファンだ、という人に会ったことがない。『友達がファンで、妻がファンで……』という人ばかりで、本人には会ったことがないからモテるとは思わない」と返していた。そういう機転のきく回答を即座にできるところがムロツヨシの魅力のひとつでもある。

 そのほかにも、東京理科大学に一浪で入学した時には同級生たちが「学びたいことがあって入学した」と語っていたのに対し、自分は偏差値の高い大学に入りたいという気持ちで入学したことが恥ずかしく、「彼らのように夢を持つ側の人間になりたい」と3週間で中退した驚きのエピソードも持っている。

 俳優を目指すきっかけとなったのは、ファンだった深津絵里が出演する舞台「陽だまりの樹」を観に行き、1幕のラストシーンで段田安則が涙を流す芝居を見て感銘を受けたことにある。1999年から下積み時代があり、2005年に映画出演を果たす。2008年からは舞台「muro式」を定期的に開催し、2018年、42歳でエランドール賞新人賞を受賞した。2023年の大河ドラマ「どうする家康」でムロツヨシは奥行きのある豊臣秀吉の人物像を演じた。これは2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」で演じられる豊臣秀吉にも大きな影響を与えるのではないだろうか。


ムロツヨシが愛用するのはチューダー「ブラックベイ 58 925」

2021年12月26日に自身のインスタグラムに投稿された写真。

 2021年12月26日にムロツヨシは、オリジナルのベアブリックが完成した記念の写真を投稿した。このとき着用されていた腕時計は、チューダーのダイバーズウォッチ「ブラックベイ 58 925」であるようだ。

「ブラックベイ 58 925」は、一般的なダイバーズウォッチにしては小ぶりな直径39mmというサイズ感のため、ヴィンテージのテイストがある。「ヘリテージ ブラックベイ」に比べると直径は2mm小さく、厚さは3mm薄い。2mmの違いは着用感に差が出る。腕が細めの一般的な日本人にも心地よく感じられるサイズだ。

「ブラックベイ 58 925」の名は200mの防水性能を誇るチューダー初のダイバーズウォッチであるRef.7924、通称「ビッグ クラウン」が発表された1958年に由来している。

 搭載されるキャリバーMT5400は特徴的な仕上げが施された時針、分針、秒針を備えている。堅牢性、耐久性、信頼性と精度を兼ね備えたムーブメントは、2ヵ所で固定されたトラバーシングブリッジによって維持される可変慣性テンプを有している。また、耐磁性シリコンバランススプリングを備えるほか、スイス公認クロノメーター認定を取得している。約70時間のパワーリザーブがあることも特長のひとつである。

 付属するストラップはチューダーのアイコン的存在のひとつでもあり、フランスのサン・テティエンヌ地方で150年以上続く家業が生み出した伝統的な手法、ジャカード織りの技術を用いて生産されている。

ブラックベイ 58 925

チューダー「ブラックベイ 58 925」
自動巻き(Cal.MT5400)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。シルバーケース(直径39mm)。200m防水。

 ムロツヨシは日本メンズファッション協会が主催している「ベストドレッサー賞」を2019年に受賞している。高校生の頃から憧れのブランドを持ち、ファッションが好きなことが私服の雰囲気から見ても伝わるムロツヨシ。その受賞の際にもお世話になっているスタイリストの名前を出すなど、気遣いができるところも幅広い層から愛されるポイントだろう。

 俳優として成功してからはあえて値段を見ずに服を買うこともあり、レジで驚いたりしているというが、チューダーの時計を購入した時はどうだったのだろうか。

 主張しすぎないトープカラーのダイアルと、さまざまなスタイルに馴染むファブリックストラップを持つ「ブラックベイ 58 925」は、ムロツヨシの深い審美眼によって選ばれた一本である。本作はシルバー925製のケースも大きな特徴である。シルバーの特性として硫化による経年変化が挙げられるため、本来は汗などの影響を受けやすい腕時計には適さない素材だと言われている。しかし、チューダーではあえてシルバー、またブロンズなどの素材を使用することでこの変色を楽しめるものとしている。個性ある魅力で我が道を行く、ムロツヨシの時計として面白いチョイスだと感じた。


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