開催間近のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024はシティイベントに注目! 時計都市ジュネーブの“大時計祭り”へ

世界の時計業界、唯一無二のビッグイベントとして、開催まで1カ月を切った「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ(WATCHES AND WONDERS GENEVA)2024」(略称W&WG2024)。以前からこのコラムで指摘してきたが、出展ブランドの数や新作ウォッチと同様に注目したいのが、ジュネーブ市の各所で開催される「In The City」と名付けられたさまざまなイベントだ。今回はようやく発表されたその内容をご紹介しよう。どれも時計愛好家なら「ジュネーブに行こう!」と思う魅力的な内容だ!

渋谷ヤスヒト:取材・文 Text by Yasuhito Shibuya
[2024年3月16日公開記事]


5年越しの「時計都市ジュネーブ」戦略がついに本格始動!

 スイス・ジュネーブで開催されていた時計フェア「サロン・インターナショナル・オート・オルロジュリ」(略称SIHH)が、現在の「ウォッチズ&ワンダーズ」という名称に変更されたのは、2020年1月から世界に波及した新型コロナウイルス危機が始まる以前の2019年10月のこと。ちなみに、この名称はかつて2013年から3年間、香港で開催された、時計業界よりも顧客を主体にした時計フェアに使われた名称。筆者も2021年に、2015年のこのフェアと、その後の「アジア時計都市No.1香港」についてこのコラムでレポートしている。ご興味のある方は下記の記事をお読みいただきたい。

協定破りの「中国化」でどうなる? 時計都市・香港の未来

https://www.webchronos.net/features/58869/

 例年1月開催だったSIHHから3月のW&WGへ。フェアの改名と時期の変更、そしてパブリック・デイ(一般公開日)を設けたのは、主催者側がこのフェアを「時計業界のシークレットイベント」から「スイス時計発祥の地・ジュネーブにふさわしい高級時計の祭典」に生まれ変わらせるためだ。そして、この戦略の背景には、このイベントを後援し、世界の時計愛好家に「ジュネーブがスイス時計発祥の地」であること、さらにW&WGを「絶対に見逃せない、ぜひ訪れたい世界時計祭り」にしていきたいジュネーブ市、ジュネーブ州の存在がある。

 筆者は2019年の秋の段階で「新しいW&WGはジュネーブの町おこしイベントになる」と、長年お世話になっている現地の通訳さんから聞いていた。ただ、新型コロナウイルス禍明けで第1回のW&WGではその変身の準備が整わず、この取り組みは事実上見送りになっていた。

 そして、この戦略が発動したのは昨年、2023年のW&WGになってからだった。「In The City」と銘打って開催されたのは、ふだんは購入を希望するカスタマーだけに限られているジュネーブ市内にある高級時計ブランドのブティックの「固く閉じられたドア」を一般の人々にも開放する、気軽に時計を見られるようにする「Boutique animations(ブティック・アニメーション)」と、高級時計のブティックが並ぶローヌ通りに近い湖畔に位置するジェネラル=ギザン通りで開催された「Nocturne(ノクターン)」と名付けられた人気DJによるストリート・ライブイベントであった。

2023年のW&WG期間中に会場であるパレクスポ外のジュネーブ市内、ローヌ川沿いで開催されたDJイベント。ストリートで人々は大いに盛り上がった。

 だが昨年、主催者側の広報担当者から筆者は「まだ本気とはほど遠い。来年にご期待ください」と言われていた。そして、その言葉通り、今年2024年のW&WGの「In The City」イベントは、ついに「ジュネーブがスイス時計発祥の地であること」そして「W&WGが世界で唯一無二、最大の時計フェアであること」をアピールするものになっている。ついにジュネーブ市とジュネーブ州の産業&観光戦略が発動したのだ。


ジュネーブ市内や博物館のガイドツアーから時計作り体験まで

 今年、「In the City」のアクティビティとして用意されたプログラムは、大別して昨年のふたつから3つ(ノクターン、ガイドツアー、ウォッチメイキングワークショップ)に増えた。その中には、時計好きなら絶対に一度は訪れたい「パテック フィリップ・ミュージアム」の見学ツアーや、ジュネーブのガイドツアーが。さらに、大人、子供、それぞれに時計作りを体験するワークショップのプログラムなども用意されている。

 また「Boutique animations(ブティック・アニメーション)」で訪問・見学可能な時計ブランドの数もその中身も昨年とは比較にならないほど充実した内容になっている。

 今回、ジュネーブに行かれる方はW&WG2024の下記のページからぜひその内容を確認していただきたい(ただし英文)。その充実ぶりにきっと驚くはずだ。

【W&WG2024 公式ページ】
https://www.watchesandwonders.com/en/geneva-2024/in-the-city

W&WG期間中にジュネーブ市内で開催されるシティイベントの開催地は、レマン湖から流れ出るローヌ川沿い左岸の主に上の画像のエリアである。©Google


2024年 ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブの一般オンラインチケットが2月6日より販売開始!

https://www.webchronos.net/news/109113/
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2023傑作選 ランキング10

https://www.webchronos.net/ranking/100620/
2024年の“世界時計祭”は4月9日から15日まで。「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024」最新情報

https://www.webchronos.net/features/104304/