高級ドレスシューズに定評のあるダンヒルの「メイド・トゥ・オーダー」。人気のオーセンティックな3モデルから選べ、アッパーやアウトソールなど、自分の理想とする一足に仕上げることができるのだ。
吉江正倫:写真 Photograph by Masanori Yoshie
[クロノス日本版 2024年3月号掲載記事]
自分だけのシューズを手にする歓び
デザインは写真の「オックスフォードキャップトゥ」(上)と「ダービースプリットトゥ」(下)のほかに、「チェルシーブーツ」を含めた計3型。アウトソールはレザーまたはラバーのダイナイトソール。レザーはフィッシュテールやUターンカーブを選択でき、アウトソールのウエスト部へのイニシャルのあしらいやトゥスチールの装着も可。アッパーは、ミシシッピ産アリゲーター6色(アンティーク調の色付け)、ボックスカーフ7色(ハンドカラーリング&フィニッシュ)、型押しカウハイド4色(アメリカ産ハッチグレイン)から選ぶことができる。価格は、35万8600円~(オックスフォードキャップトゥ)、39万1600円~(ダービースプリットトゥ)、47万3000円~(チェルシーブーツ)。納期は5カ月~(エキゾチックレザーは9カ月~)。
ダンヒルといえば、ウエアからカフリンクスなどのアクセサリーまで、現代の紳士にふさわしいアイテムを提供してきたラグジュアリーハウス。今回紹介するのは「メイド・トゥ・オーダー」のシューズだ。ダンヒルのドレスシューズはクォリティの高さでも知られており、目の肥えた英国シューズ愛好家をも虜にしてきた。英国製(グッドイヤーウェルト製法)ドレスシューズの聖地として知られるノーサンプトンシャーのファクトリーで、厳選された高品質なレザーを用い、熟練の職人たちの手作業で一足一足作られているからだ。
この「メイド・トゥ・オーダー」のベースとなる木型は、ラウンドトゥのオリジナルラストである。底面のポールジョイント(親指の付け根から小指の付け根までの横幅)を広めに取った木型で、日本人の足にフィットしやすい設計であり、エレガンスと履きやすさのバランスの良さが特徴だ。
プレタポルテとの違いはアッパーの革、ライニング、アウトソールの仕様を選べること。基本となるデザインは人気があり実用性の高い「チェルシーブーツ」をはじめ、「ダービースプリットトゥ」「オックスフォードキャップトゥ」の3型を展開している。このシューズの一番の魅力は、アッパーの種類とその質の高さだろう。例えば、手仕上げでカラーリングとフィニッシングを施した写真のカーフレザーのほかに、濃淡が美しいミシシッピ産のクロコダイルがあり、アンティーク仕上げを施していて、いやらしさがない。旅行の際に履くとクラシックな佇まいになること間違いなしだ。ロシアンカーフを彷彿させるハッチグレイン(型押しのカウハイド)もあり、そちらもなんとも風合いがあっていい。ハッチグレイン素材とスプリットトゥのU字型の切り替え部の相性などは、靴好きにはたまらないはず。
木型から起こすビスポークシューズと違って、どんなデザインでもできるわけではないが、オーセンティックなモデルをより自分好みに仕上げられる「メイド・トゥ・オーダー」は魅力的だ。英国シューズに興味のある方はダンヒルならではのクラフツマンシップを堪能してほしい。
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